一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

タイトル戦で、長期間におよぶ対戦カードはどれか

2020-10-24 01:44:55 | データ
羽生善治九段と渡辺明名人とのタイトル戦は2003年から2017年まで、足掛け15年に及ぶ。もちろんこの年数は更新の可能性大である。
ではタイトル戦で、長い期間で戦った同一カードはどれか。トップ20を挙げてみよう。

【第1位】羽生善治九段VS郷田真隆九段=22年8ヶ月
1993年7月13日・第34期王位戦第1局~2016年3月19日・第65期王将戦第6局

【第2位】大山康晴十五世名人VS加藤一二三九段=19年10ヶ月
1960年4月14日・第19期名人戦第1局~1980年3月11日・第29期王将戦第6局

【第3位】中原誠十六世名人VS米長邦雄永世棋聖=19年4ヶ月
1974年1月16日・第23期王将戦第1局~1993年5月21日・第51期名人戦第4局

【第4位】森内俊之九段VS羽生善治九段=18年2ヶ月
1996年4月11日・第54期名人戦第1局~2014年7月5日・第85期棋聖戦第3局

【第5位】大山康晴十五世名人VS升田幸三実力制第四代名人=18年2ヶ月
1953年4月13日・第12期名人戦第1局~1971年6月15日・第30期名人戦第7局

【第6位】大山康晴十五世名人VS中原誠十六世名人=17年5ヶ月
1968年12月20日・第13期棋聖戦第1局~1986年6月3日・第44期名人戦第5局

【第7位】大山康晴十五世名人VS二上達也九段=16年1ヶ月
1959年11月14日・第10期九段戦第1局~1976年1月10日・第27期棋聖戦第3局

【第8位】羽生善治九段VS深浦康市九段=14年11ヶ月
1996年7月11日・第37期王位戦第1局~・2011年7月2日・第82期棋聖戦第3局

【第9位】羽生善治九段VS三浦弘行九段=14年10ヶ月(5429日)
1995年7月8日・第66期棋聖戦第1局~2010年5月19日・第68期名人戦第4局

【第10位】大山康晴十五世名人VS塚田正夫名誉十段=14年10ヶ月(5416日)
1948年4月6日・第7期名人戦第1局~1963年2月2日・第1期棋聖戦第4局

【第11位】羽生善治九段VS佐藤康光九段=14年8ヶ月
1993年10月20日・第6期竜王戦第1局~2008年7月18日・第79期棋聖戦第5局

【第12位】谷川浩司九段VS羽生善治九段=14年4ヶ月
1990年10月19日・第3期竜王戦第1局~2005年2月25日・第30期棋王戦第3局

【第13位】羽生善治九段VS渡辺明名人=14年3ヶ月
2003年9月2日・第51期王座戦第1局~2017年12月5日・第30期竜王戦第5局

【第14位】中原誠十六世名人VS内藤國雄九段=13年10ヶ月
1969年12月17日・第15期棋聖戦第1局~1983年10月11日・第31期王座戦第3局

【第15位】大山康晴十五世名人VS米長邦雄永世棋聖=12年7ヶ月
1970年7月28日・第10期王位戦第1局~1983年3月11日・第8期棋王戦第3局

【第16位】羽生善治九段VS藤井猛九段=11年11ヶ月
2000年8月29日・第48期王座戦第1局~2012年8月23日・第53期王座戦第5局

【第17位】中原誠十六世名人VS加藤一二三九段=9年8ヶ月
1973年4月11日・第32期名人戦第1局~1982年12月21日・第21期十段戦第6局

【第18位】森内俊之九段VS渡辺明名人=9年1ヶ月
2004年10月19日・第17期竜王戦第1局~2013年11月29日・第26期竜王戦第5局

【第19位】中原誠十六世名人VS谷川浩司九段=8年11ヶ月(3263日)
1985年4月3日・第43期名人戦第1局~1994年3月9日・第43期王将戦第6局

【第19位】谷川浩司九段VS佐藤康光九段=8年11ヶ月(3263日)
1990年7月12日・第31期王位戦第1局~1999年6月17日・第57期名人戦第7局

今回の記事は「将棋ペン倶楽部」に投稿してもよかったのだが、見落としがあると取り返しがつかないので、こちらにアップする。
意外な第1位は羽生九段-郷田九段の22年8ヶ月である。郷田四段は1992年・第33期王位戦で谷川王位から王位を奪取。翌期、羽生竜王が挑戦者に名乗りを挙げ、奪取した。これが長い戦いのスタートだった。
郷田五段は2015年・第64期王将戦で渡辺王将から王将を奪取。翌期、羽生名人が挑戦者に名乗りを挙げ、王位戦のときと同じ状況になった。しかしここは郷田王将が退け、全タイトル戦を通じ、うれしい初防衛となった。
ふたりとも年齢が近く、若いころからタイトルを獲っていたため、長期間の顔合わせになったものである。

第2位は大山-加藤戦の19年10ヶ月である。1960年・第17期名人戦で、加藤八段が弱冠20歳で挑戦者に名乗りを挙げた。
それから20年、今度は第29期王将戦で大山十五世名人が加藤王将に挑戦した。結果は大山十五世名人が奇跡の奪取。57歳の誕生日の2日前だった。

……と、いちいち説明を加えていたら長くなるので以下は省くが、第6位・大山-中原戦の17年5ヶ月も興味深い。タイトル戦初バトルは大山十五世名人45歳、中原十六世名人21歳のとき。
それが17年4ヶ月後、大山十五世名人は63歳で中原名人に挑戦した。45歳で初めて戦った相手と、63歳になってもまだ名人戦を戦っている。いかに規格外の出来事だったかが分かる。

タイトル戦に出られる時期は、棋士の全盛期であろう。ゆえにお互いの全盛期がズレてしまうと、いかに超一流棋士といえども、檜舞台で戦える期間は短い。トップ20には、羽生九段が8回、大山十五世名人が6回登場しているが、両棋士のトップランナーとしての息の長さが分かる。
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初タイトル獲得から二冠までの日数

2020-08-22 00:14:10 | データ
19日・20日は、福岡市にて、第61期王位戦第4局が行われた。ここまで木村一基王位の0勝、藤井聡太棋聖の3勝。世間は藤井棋聖の二冠誕生を望んでおり、木村王位は旗色が悪い。また藤井棋聖が今後4連敗することも考えにくく、第4局以降のどこで藤井棋聖が勝つか、が焦点になっていた。
将棋は木村王位十八番の相掛かりになったが、藤井棋聖も追随し、初日はほぼ互角。しかし2日目の封じ手で、藤井棋聖が飛車を切ったのが英断の好手だったようで、形勢は藤井棋聖に傾いた。
こうなれば藤井棋聖のものである。差はジリジリと広がり、あとは藤井棋聖の収束を待つのみである。17時、藤井七段の△7七角が放たれ、木村王位の投了となった。我が町では、5時を知らせるメロディーが鳴っていた。
これにて藤井棋聖は王位と合わせ二冠、同時に八段に昇進した。18歳1ヶ月で達成とは、何という記録だろう。
昨年秋に永瀬拓矢二冠が誕生したとき、私は10月3日のブログで、「次の二冠達成者は藤井七段になってしまうのだろうか」と書いた。それが1年足らずで、現実のものとなったのだ。
まさに現実離れで、たとえば将棋小説を書く場合、突拍子もない設定は別だが、中学生でデビューしていきなり公式戦29連勝、高校生にして渡辺明三冠からタイトルを奪うなどタイトル2期、棋戦優勝2回で八段昇進、などという設定にすれば、編集部から「夢物語もいい加減にしろ」と一蹴されるであろう。事実は小説より奇なりである。
まったく、私のような凡人とは住む世界が違うのだ。まあ私はプロ棋士を目指してないからまだエクスキューズは利くが、現役奨励会員は藤井二冠をどう捉えているのだろう。18歳以上の奨励会員はいくらでもいるわけで、その時点でこれだけ棋歴を引き離されては、才能の差を見せつけられて、腐ってしまうのではないだろうか。将棋界はとんでもない怪物を生み出してしまった。

藤井二冠の18歳1ヶ月二冠は、羽生善治九段の21歳11ヶ月を抜いて最年少らしい。3年10ヶ月も更新してしまい、この記録を破られることは、私の存命中にはもうあるまい。
また二冠同時戴冠は、私の調べでは藤井二冠で16人目だが、一冠目の棋聖から二冠目の王位までは、わずか35日だった。
これがどのくらい早いか、過去15人の二冠棋士と比較してみよう。
なお今回は、初タイトルを獲った日を起算とする。たとえば、竜王を奪取したが、のちに取られ無冠。そのあと棋王、王座と獲ったとしたら、竜王を獲った日から王座を獲った日までを計算する。

35日 藤井聡太二冠(2020.07.16棋聖~2020.08.20棋聖・王位)
73日 豊島将之竜王(2018.07.17 棋聖~2018.09.27棋聖・王位)
74日 南芳一九段(1988.01.12棋聖~1988.03.25棋聖・王将)
144日 永瀬拓矢二冠(2019.05.11叡王~2019.10.01叡王・王座)
353日 久保利明九段(2009.03.30棋王~2010.03.17棋王・王将)
670日 森内俊之九段(2002.05.17名人~2004.03.16竜王・王将)
742日 大山康晴十五世名人(1950.07.05九段~1952.07.15九段・名人)
908日 中原誠十六世名人(1968.07.19棋聖~1971.01.12十段・棋聖)
1,002日 羽生善治九段(1989.12.27竜王~1992.09.22棋王・王座)
1,640日 高橋道雄九段(1983.09.26王位~1987.03.23王位・棋王)
1,757日 谷川浩司九段(1983.06.15名人~1988.04.05王位・棋王)
1,893日 升田幸三実力制第四代名人(1952.02.12王将~1957.04.18王将・九段)
2,277日 米長邦雄永世棋聖(1973.07.20棋聖~1979.10.13棋王・王位)
2,465日 渡辺明名人(2004.12.28竜王~2011.09.27竜王・王座)
3,156日 佐藤康光九段(1993.12.10竜王~2002.08.01王将・棋聖)
3,684日 加藤一二三九段(1969.01.07十段~1979.02.08棋王・王将)


初タイトルを保持しながら二冠目を獲った例は、藤井二冠から久保九段までと、大山十五世名人、渡辺名人の7例。渡辺名人の竜王は9連覇の最中で、この間はほかに竜王を渡していない。
まったく意味はないが、藤井二冠を除く15人の平均達成日数は1,389日。加藤九段のように、初タイトルから二冠まで10年以上を費やした例もあり、二冠達成がいかに難しいかを物語る。そこを藤井二冠は、わずか35日で達成してしまったのだ。
どうであろう。今後藤井二冠にタイトル戦で勝てる棋士が出るだろうか。七番勝負で4勝、五番勝負で3勝は相当大変である。絶好調時の渡辺名人、豊島竜王くらいしか思いつかない。
この予想が間違っていなければ、今後藤井二冠は、タイトル戦に出るたび勝ち続けることになる。
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女流タイトル戦「○○●●」のあと

2020-08-18 00:31:33 | データ
里見香奈清麗に上田初美女流四段が挑戦する第2期清麗戦第4局は6日に行われ、上田女流四段が勝ち、対戦成績を2勝2敗とした。里見清麗は2勝からの連敗で、このケースは初めてである。
当ブログでは以前、男性棋戦で「○○●●」後の勝敗を発表したことがある(2019年11月7日「2連敗3連勝」)。今回は女流編を調べてみた。

1992年 第18期女流名人戦 中井広恵女流王位 ○○●●○ 林葉直子女流名人
1994年 第20期女流名人戦 中井広恵女流名人 ○○●●千○ 斎田晴子女流二段
1999年 第21期女流王将戦 清水市代女流王将 ○○●●● 石橋幸緒女流二段
2001年 第12期女流王位戦 中井広恵女流五段 ○○●●● 清水市代女流王位
2008年 第19期女流王位戦 石橋幸緒女流王位 ○○●●○ 清水市代女流王将・倉敷藤花
2011年 第22期女流王位戦 甲斐智美女流王位 ○○●●○ 清水市代女流六段
2017年 第43期女流名人戦 上田初美女流三段 ○○●●● 里見香奈女流名人
2017年 第7期女流王座戦 加藤桃子女王 ○○●●● 里見香奈女流王座
2020年 第2期清麗戦 里見香奈清麗 ○○●●? 上田初美女流四段

女流名人戦は第8期から五番勝負、女流王将戦は第17期から第30期まで五番勝負だった。
6棋戦合計109回の五番勝負で、「○○●●」は9回出現。第5局が○は4回、●も4回である。タイトル保持者側の防衛は、8回中6回。
今回の清麗戦は、女流四冠対女流四段の対戦だから、ふつうに考えれば里見清麗が有利だが、ここまで来れば、最終局はどちらに転ぶか分からない。最終局は今日18日だが、結果やいかに。
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ストレート負け

2020-07-28 00:39:32 | データ
やや前の話になるが、9日の第91期棋聖戦第3局のとき、「渡辺明三冠は、タイトル戦でのストレート負けがない」という話題になった。渡辺三冠はその棋聖戦まで、タイトル戦登場35回。猛者ばかりが相手のタイトル戦において、「ストレート負けなし」は隠れた偉業だと思う。
そこで今日は、超一流棋士のストレート負けを記してみる。なおここでいう「超一流棋士」は、9日の記事に登場した16名である。


1956年 第5期王将戦 大山康晴王将 ●●● 升田幸三八段
1970年 第17期棋聖戦 大山康晴棋聖 ●●● 中原誠十段
1973年 第22期王将戦 大山康晴王将 ●●●● 中原誠名人
1975年 第14期十段戦 大山康晴棋聖 ●●●● 中原誠十段
1983年 第8期棋王戦 大山康晴十五世名人 ●●● 米長邦雄棋王
1990年 第15期棋王戦 大山康晴十五世名人 ●●● 南芳一棋王

1962年 第11期王将戦 加藤一二三八段 ●●● 大山康晴王将
1973年 第32期名人戦 加藤一二三八段 ●●●● 中原誠名人
1981年 第39期棋聖戦 加藤一二三十段 ●●● 二上達也棋聖
1985年 第26期王位戦 加藤一二三王位 ●●●● 高橋道雄六段

1968年 第27期名人戦 升田幸三九段 ●●●● 大山康晴名人

1974年 第25期棋聖戦 米長邦雄八段 ●●● 大山康晴棋聖
1980年 第21期王位戦 米長邦雄王位 ●●●● 中原誠名人
1986年 第27期王位戦 米長邦雄十段 ●●●● 高橋道雄王位
1988年 第1期竜王戦 米長邦雄九段 ●●●● 島朗六段
1989年 第47期名人戦 米長邦雄九段 ●●●● 谷川浩司名人

1978年 第3期棋王戦 中原誠名人 ●●● 加藤一二三棋王
1981年 第38期棋聖戦 中原誠名人 ●●● 二上達也棋聖
1993年 第51期名人戦 中原誠名人 ●●●● 米長邦雄九段

1984年 第44期棋聖戦 谷川浩司名人 ●●● 米長邦雄棋聖
1994年 第42期王座戦 谷川浩司王将 ●●● 羽生善治王座
1996年 第45期王将戦 谷川浩司王将 ●●●● 羽生善治竜王・名人
1997年 第46期王将戦 谷川浩司竜王 ●●●● 羽生善治王将
1998年 第11期竜王戦 谷川浩司竜王 ●●●● 藤井猛七段
1999年 第40期王位戦 谷川浩司棋聖 ●●●● 羽生善治王位
2005年 第30期棋王戦 谷川浩司棋王 ●●● 羽生善治三冠

1999年 第24期棋王戦 佐藤康光名人 ●●● 羽生善治棋王
2000年 第49期王将戦 佐藤康光名人 ●●●● 羽生善治王将
2002年 第50期王座戦 佐藤康光王将 ●●● 羽生善治王座
2003年 第52期王将戦 佐藤康光王将 ●●●● 羽生善治竜王
2005年 第53期王座戦 佐藤康光棋聖 千●●● 羽生善治王座
2006年 第54期王座戦 佐藤康光棋聖 ●●● 羽生善治王座

2002年 第60期名人戦 丸山忠久名人 ●●●● 森内俊之八段
2003年 第74期棋聖戦 丸山忠久棋王 ●●● 佐藤康光棋聖

2003年 第61期名人戦 森内俊之名人 ●●●千● 羽生善治竜王
2005年 第74期棋聖戦 森内俊之名人 ●千●● 佐藤康光棋聖
2005年 第54期王将戦 森内俊之王将 ●●●● 羽生善治二冠
2009年 第22期竜王戦 森内俊之九段 ●●●● 渡辺明竜王
2014年 第72期名人戦 森内俊之名人 ●●●● 羽生善治三冠
2014年 第85期棋聖戦 森内俊之竜王 ●●● 羽生善治棋聖

2003年 第16期竜王戦 羽生善治竜王 ●●●● 森内俊之九段
2011年 第59期王座戦 羽生善治王座 ●●● 渡辺明竜王
2015年 第40期棋王戦 羽生善治名人 ●●● 渡辺明棋王

2010年 第58期王座戦 藤井猛九段 ●●● 羽生善治王座

2019年 第77期名人戦 佐藤天彦名人 ●●●● 豊島将之二冠

以上45回。そのうちタイトル失冠は17回。17回のうち14回は、「超一流棋士」による奪取である。

1956年の第5期王将戦は、大山王将が升田八段に3連敗し、タイトル失冠。のみならず、次の香落ち戦も敗れるという大事件となった。
1973年の第22期王将戦は、大山王将が中原名人(四冠)にストレートで敗れ無冠対全冠となり、くっきり明暗が分かれた。

升田九段は1968年・第27期名人戦で、唯一のストレート負けを喫している。

1978年の第3期棋王戦は中原名人が棋王戦初登場。中原名人は当時五冠王。相手は相性のいい加藤棋王で、誰もが六冠王の誕生を予想していた。だが加藤棋王の中飛車破りが冴え、中原名人は自身初のストレート負けを喫した。
中原十六世名人は1993年・第51期名人戦で米長九段に敗れた。名人戦において、名人のストレート負けはこれが初めてだった。

谷川九段はストレート負けが7回あるが、うち5回が対羽生九段である。1995年の第44期王将戦では羽生六冠を挑戦者に迎えたが、4勝3敗で薄氷の防衛とした。
ところが羽生六冠はひとつもタイトルを減らさず、翌期リターンマッチしてきた。結果は谷川王将のストレート負けで、羽生七冠が誕生した。無冠と全冠。1973年の再現となった。
なお谷川九段は翌期リターンマッチしたが、またもストレート負け。この2年の8連敗は痛すぎた。

佐藤康光九段はストレート負けが6回。相手はすべて羽生九段である。谷川九段にもいえるが、「羽生善治」は目の上のタンコブであった。

森内九段も羽生九段にストレート負けを4回喰らっている。それなのに永世名人獲得は森内九段のほうが早かった。将棋の歴史上、七不思議のトップに来るのは森内「十八世名人」と思う。

その羽生九段もストレート負けが3回ある。だが、上記メンバー相手のストレート勝ちは16回もある。これ以外もストレート勝ちを20回達成している。つまりタイトル99期中、ストレート勝ちが36回ということだ。
鬼だ。

こう書いていくとストレート負けしたほうは弱いみたいだが、タイトル戦で戦っている時点で、その対局者は強いのだ。言い換えれば、ほんの少しの何かの差で、スコアが大きく開いてしまう。それもタイトル戦の恐ろしさである。
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タイトル戦の1回目と2回目の戦績

2020-07-09 00:11:26 | データ
当ブログでは、2018年11月18日と19日に、「タイトル戦初出場の棋士の成績」を載せた。
今回は「超一流棋士の初タイトル戦と2度目のタイトル戦の戦績」を載せてみる。
ここでいう「超一流」とは、タイトル戦に10回以上登場し、かつ名人か竜王を獲得した棋士とする(木村義雄十四世名人を含む)。ほかに、登場10回確定の豊島将之竜王・名人と、竜王3期の藤井猛九段、名人3期の佐藤天彦九段も加えた。


1940年 第2期名人戦 木村義雄名人4(○○千千●○○)1土居市太郎八段
1942年 第3期名人戦 木村義雄名人4(○○○○)0神田辰之助八段

1947年 第6期名人戦 塚田正夫八段4(●●持○○千○千○)2木村義雄名人
1948年 第7期名人戦 塚田正夫名人4(●○○●千○○)2大山康晴八段

1948年 第7期名人戦 大山康晴八段2(○●●○千●●)4塚田正夫名人
1950年 第1期九段戦 大山康晴八段2(○○)0板谷四郎八段

1951年 第10期名人戦 升田幸三八段2(●○●●○●)4木村義雄名人
1952年 第1期王将戦 升田幸三八段4(○○●○○)1木村義雄名人

1960年 第19期名人戦 加藤一二三八段1(○●●●千●)4大山康晴名人
1962年 第11期王将戦 加藤一二三八段0(●●●)3大山康晴王将

1967年 第11期棋聖戦 中原誠五段2(○○●●●)3山田道美棋聖
1968年 第12期棋聖戦 中原誠六段3(●○○○)1山田道美棋聖

1970年 第11期王位戦 米長邦雄七段1(●●●○●)4大山康晴王位
1973年 第22期棋聖戦 米長邦雄八段3(●○○○)1有吉道夫棋聖

1983年 第41期名人戦 谷川浩司八段4(○○○●●○)2加藤一二三名人
1984年 第42期名人戦 谷川浩司名人4(○○○●○)1森安秀光八段

1989年 第2期竜王戦 羽生善治六段4(●持●○○○●○)3島朗竜王
1990年 第3期竜王戦 羽生善治竜王1(●●●○●)4谷川浩司王位・王座

1990年 第31期王位戦 佐藤康光五段3(○●●○●○●)4谷川浩司王位
1993年 第6期竜王戦 佐藤康光七段4(●○●○○○)2羽生善治竜王

1996年 第54期名人戦 森内俊之八段1(●●●○●)4羽生善治名人
2000年 第25期棋王戦 森内俊之八段1(●○●●)3羽生善治棋王

1998年 第11期竜王戦 藤井猛七段4(○○○○)0谷川浩司竜王
1999年 第12期竜王戦 藤井猛竜王4(○○○●○)1鈴木大介六段

1999年 第47期王座戦 丸山忠久八段1(●○●●)3羽生善治王座
2000年 第58期名人戦 丸山忠久八段4(○○●●●○○)3佐藤康光名人

2003年 第51期王座戦 渡辺明五段2(●○○千●●)3羽生善治王座
2004年 第17期竜王戦 渡辺明六段4(○●●○○●○)3森内俊之竜王

2011年 第60期王将戦 豊島将之六段2(●○●●○●)4久保利明王将
2014年 第62期王座戦 豊島将之七段2(●●○○●)3羽生善治王座

2015年 第63期王座戦 佐藤天彦八段2(●○○●●)3羽生善治王座
2016年 第41期棋王戦 佐藤天彦八段1(●○●●)3渡辺明棋王

参考:
2020年 第91期棋聖戦 藤井聡太七段2(○○……)0渡辺明棋聖
2020年 第61期王位戦 藤井聡太七段1(○……)0木村一基王位


タイトル戦初登場の戦績は全体的に悪く、佐藤天彦九段までの16名中、勝利は木村十四世名人、塚田名誉十段、谷川九段、羽生九段、藤井猛九段の5名。羽生九段以外の4名は、続く2タイトル戦目も勝利している。これは素晴らしい。
ほかは「初タイトル戦●、2度目のタイトル戦○」の例が最も多く、7名。大山十五世名人、中原十六世名人、米長永世棋聖、渡辺三冠はここに属する。

今日9日は、第91期棋聖戦第3局。言うまでもないが、今日藤井七段が勝てば、17歳で棋聖奪取である。まるでマンガだ。
そしてヘタをすると、私が生きている間、藤井七段を段位で呼ぶ最後の1日になるかもしれない。
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