羽生善治九段と渡辺明名人とのタイトル戦は2003年から2017年まで、足掛け15年に及ぶ。もちろんこの年数は更新の可能性大である。
ではタイトル戦で、長い期間で戦った同一カードはどれか。トップ20を挙げてみよう。
【第1位】羽生善治九段VS郷田真隆九段=22年8ヶ月
1993年7月13日・第34期王位戦第1局~2016年3月19日・第65期王将戦第6局
【第2位】大山康晴十五世名人VS加藤一二三九段=19年10ヶ月
1960年4月14日・第19期名人戦第1局~1980年3月11日・第29期王将戦第6局
【第3位】中原誠十六世名人VS米長邦雄永世棋聖=19年4ヶ月
1974年1月16日・第23期王将戦第1局~1993年5月21日・第51期名人戦第4局
【第4位】森内俊之九段VS羽生善治九段=18年2ヶ月
1996年4月11日・第54期名人戦第1局~2014年7月5日・第85期棋聖戦第3局
【第5位】大山康晴十五世名人VS升田幸三実力制第四代名人=18年2ヶ月
1953年4月13日・第12期名人戦第1局~1971年6月15日・第30期名人戦第7局
【第6位】大山康晴十五世名人VS中原誠十六世名人=17年5ヶ月
1968年12月20日・第13期棋聖戦第1局~1986年6月3日・第44期名人戦第5局
【第7位】大山康晴十五世名人VS二上達也九段=16年1ヶ月
1959年11月14日・第10期九段戦第1局~1976年1月10日・第27期棋聖戦第3局
【第8位】羽生善治九段VS深浦康市九段=14年11ヶ月
1996年7月11日・第37期王位戦第1局~・2011年7月2日・第82期棋聖戦第3局
【第9位】羽生善治九段VS三浦弘行九段=14年10ヶ月(5429日)
1995年7月8日・第66期棋聖戦第1局~2010年5月19日・第68期名人戦第4局
【第10位】大山康晴十五世名人VS塚田正夫名誉十段=14年10ヶ月(5416日)
1948年4月6日・第7期名人戦第1局~1963年2月2日・第1期棋聖戦第4局
【第11位】羽生善治九段VS佐藤康光九段=14年8ヶ月
1993年10月20日・第6期竜王戦第1局~2008年7月18日・第79期棋聖戦第5局
【第12位】谷川浩司九段VS羽生善治九段=14年4ヶ月
1990年10月19日・第3期竜王戦第1局~2005年2月25日・第30期棋王戦第3局
【第13位】羽生善治九段VS渡辺明名人=14年3ヶ月
2003年9月2日・第51期王座戦第1局~2017年12月5日・第30期竜王戦第5局
【第14位】中原誠十六世名人VS内藤國雄九段=13年10ヶ月
1969年12月17日・第15期棋聖戦第1局~1983年10月11日・第31期王座戦第3局
【第15位】大山康晴十五世名人VS米長邦雄永世棋聖=12年7ヶ月
1970年7月28日・第10期王位戦第1局~1983年3月11日・第8期棋王戦第3局
【第16位】羽生善治九段VS藤井猛九段=11年11ヶ月
2000年8月29日・第48期王座戦第1局~2012年8月23日・第53期王座戦第5局
【第17位】中原誠十六世名人VS加藤一二三九段=9年8ヶ月
1973年4月11日・第32期名人戦第1局~1982年12月21日・第21期十段戦第6局
【第18位】森内俊之九段VS渡辺明名人=9年1ヶ月
2004年10月19日・第17期竜王戦第1局~2013年11月29日・第26期竜王戦第5局
【第19位】中原誠十六世名人VS谷川浩司九段=8年11ヶ月(3263日)
1985年4月3日・第43期名人戦第1局~1994年3月9日・第43期王将戦第6局
【第19位】谷川浩司九段VS佐藤康光九段=8年11ヶ月(3263日)
1990年7月12日・第31期王位戦第1局~1999年6月17日・第57期名人戦第7局
今回の記事は「将棋ペン倶楽部」に投稿してもよかったのだが、見落としがあると取り返しがつかないので、こちらにアップする。
意外な第1位は羽生九段-郷田九段の22年8ヶ月である。郷田四段は1992年・第33期王位戦で谷川王位から王位を奪取。翌期、羽生竜王が挑戦者に名乗りを挙げ、奪取した。これが長い戦いのスタートだった。
郷田五段は2015年・第64期王将戦で渡辺王将から王将を奪取。翌期、羽生名人が挑戦者に名乗りを挙げ、王位戦のときと同じ状況になった。しかしここは郷田王将が退け、全タイトル戦を通じ、うれしい初防衛となった。
ふたりとも年齢が近く、若いころからタイトルを獲っていたため、長期間の顔合わせになったものである。
第2位は大山-加藤戦の19年10ヶ月である。1960年・第17期名人戦で、加藤八段が弱冠20歳で挑戦者に名乗りを挙げた。
それから20年、今度は第29期王将戦で大山十五世名人が加藤王将に挑戦した。結果は大山十五世名人が奇跡の奪取。57歳の誕生日の2日前だった。
……と、いちいち説明を加えていたら長くなるので以下は省くが、第6位・大山-中原戦の17年5ヶ月も興味深い。タイトル戦初バトルは大山十五世名人45歳、中原十六世名人21歳のとき。
それが17年4ヶ月後、大山十五世名人は63歳で中原名人に挑戦した。45歳で初めて戦った相手と、63歳になってもまだ名人戦を戦っている。いかに規格外の出来事だったかが分かる。
タイトル戦に出られる時期は、棋士の全盛期であろう。ゆえにお互いの全盛期がズレてしまうと、いかに超一流棋士といえども、檜舞台で戦える期間は短い。トップ20には、羽生九段が8回、大山十五世名人が6回登場しているが、両棋士のトップランナーとしての息の長さが分かる。
ではタイトル戦で、長い期間で戦った同一カードはどれか。トップ20を挙げてみよう。
【第1位】羽生善治九段VS郷田真隆九段=22年8ヶ月
1993年7月13日・第34期王位戦第1局~2016年3月19日・第65期王将戦第6局
【第2位】大山康晴十五世名人VS加藤一二三九段=19年10ヶ月
1960年4月14日・第19期名人戦第1局~1980年3月11日・第29期王将戦第6局
【第3位】中原誠十六世名人VS米長邦雄永世棋聖=19年4ヶ月
1974年1月16日・第23期王将戦第1局~1993年5月21日・第51期名人戦第4局
【第4位】森内俊之九段VS羽生善治九段=18年2ヶ月
1996年4月11日・第54期名人戦第1局~2014年7月5日・第85期棋聖戦第3局
【第5位】大山康晴十五世名人VS升田幸三実力制第四代名人=18年2ヶ月
1953年4月13日・第12期名人戦第1局~1971年6月15日・第30期名人戦第7局
【第6位】大山康晴十五世名人VS中原誠十六世名人=17年5ヶ月
1968年12月20日・第13期棋聖戦第1局~1986年6月3日・第44期名人戦第5局
【第7位】大山康晴十五世名人VS二上達也九段=16年1ヶ月
1959年11月14日・第10期九段戦第1局~1976年1月10日・第27期棋聖戦第3局
【第8位】羽生善治九段VS深浦康市九段=14年11ヶ月
1996年7月11日・第37期王位戦第1局~・2011年7月2日・第82期棋聖戦第3局
【第9位】羽生善治九段VS三浦弘行九段=14年10ヶ月(5429日)
1995年7月8日・第66期棋聖戦第1局~2010年5月19日・第68期名人戦第4局
【第10位】大山康晴十五世名人VS塚田正夫名誉十段=14年10ヶ月(5416日)
1948年4月6日・第7期名人戦第1局~1963年2月2日・第1期棋聖戦第4局
【第11位】羽生善治九段VS佐藤康光九段=14年8ヶ月
1993年10月20日・第6期竜王戦第1局~2008年7月18日・第79期棋聖戦第5局
【第12位】谷川浩司九段VS羽生善治九段=14年4ヶ月
1990年10月19日・第3期竜王戦第1局~2005年2月25日・第30期棋王戦第3局
【第13位】羽生善治九段VS渡辺明名人=14年3ヶ月
2003年9月2日・第51期王座戦第1局~2017年12月5日・第30期竜王戦第5局
【第14位】中原誠十六世名人VS内藤國雄九段=13年10ヶ月
1969年12月17日・第15期棋聖戦第1局~1983年10月11日・第31期王座戦第3局
【第15位】大山康晴十五世名人VS米長邦雄永世棋聖=12年7ヶ月
1970年7月28日・第10期王位戦第1局~1983年3月11日・第8期棋王戦第3局
【第16位】羽生善治九段VS藤井猛九段=11年11ヶ月
2000年8月29日・第48期王座戦第1局~2012年8月23日・第53期王座戦第5局
【第17位】中原誠十六世名人VS加藤一二三九段=9年8ヶ月
1973年4月11日・第32期名人戦第1局~1982年12月21日・第21期十段戦第6局
【第18位】森内俊之九段VS渡辺明名人=9年1ヶ月
2004年10月19日・第17期竜王戦第1局~2013年11月29日・第26期竜王戦第5局
【第19位】中原誠十六世名人VS谷川浩司九段=8年11ヶ月(3263日)
1985年4月3日・第43期名人戦第1局~1994年3月9日・第43期王将戦第6局
【第19位】谷川浩司九段VS佐藤康光九段=8年11ヶ月(3263日)
1990年7月12日・第31期王位戦第1局~1999年6月17日・第57期名人戦第7局
今回の記事は「将棋ペン倶楽部」に投稿してもよかったのだが、見落としがあると取り返しがつかないので、こちらにアップする。
意外な第1位は羽生九段-郷田九段の22年8ヶ月である。郷田四段は1992年・第33期王位戦で谷川王位から王位を奪取。翌期、羽生竜王が挑戦者に名乗りを挙げ、奪取した。これが長い戦いのスタートだった。
郷田五段は2015年・第64期王将戦で渡辺王将から王将を奪取。翌期、羽生名人が挑戦者に名乗りを挙げ、王位戦のときと同じ状況になった。しかしここは郷田王将が退け、全タイトル戦を通じ、うれしい初防衛となった。
ふたりとも年齢が近く、若いころからタイトルを獲っていたため、長期間の顔合わせになったものである。
第2位は大山-加藤戦の19年10ヶ月である。1960年・第17期名人戦で、加藤八段が弱冠20歳で挑戦者に名乗りを挙げた。
それから20年、今度は第29期王将戦で大山十五世名人が加藤王将に挑戦した。結果は大山十五世名人が奇跡の奪取。57歳の誕生日の2日前だった。
……と、いちいち説明を加えていたら長くなるので以下は省くが、第6位・大山-中原戦の17年5ヶ月も興味深い。タイトル戦初バトルは大山十五世名人45歳、中原十六世名人21歳のとき。
それが17年4ヶ月後、大山十五世名人は63歳で中原名人に挑戦した。45歳で初めて戦った相手と、63歳になってもまだ名人戦を戦っている。いかに規格外の出来事だったかが分かる。
タイトル戦に出られる時期は、棋士の全盛期であろう。ゆえにお互いの全盛期がズレてしまうと、いかに超一流棋士といえども、檜舞台で戦える期間は短い。トップ20には、羽生九段が8回、大山十五世名人が6回登場しているが、両棋士のトップランナーとしての息の長さが分かる。