一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

6連勝後の勝敗

2020-01-03 00:52:24 | データ
渡辺明三冠が順位戦A級で6連勝。初の名人挑戦に大きく近づいている。
では、過去のA級でいきなり6連勝した例を調べてみよう。6連勝以降の星と、名人戦の結果も記す。

第22期 1968年 升田幸三九段 ○●●挑戦→敗退
第26期 1972年 中原誠二冠 ○○挑戦→奪取
第29期 1975年 大山康晴棋聖 ○●●●2位、大内延介八段 ●○○●挑戦→敗退
第46期 1988年 谷川浩司二冠 ○○●挑戦→奪取
第47期 1989年 内藤國雄九段 ●●●3位
第51期 1993年 米長邦雄九段 ○●○挑戦→奪取
第52期 1994年 羽生善治四冠 ●○●プレーオフ○挑戦→奪取
第57期 1999年 谷川浩司九段 ○●プレーオフ○挑戦→敗退
第60期 2002年 森内俊之八段 ●○○挑戦→奪取
第62期 2004年 森内俊之竜王 ○○○挑戦→奪取
第70期 2012年 羽生善治二冠 ○○○挑戦→敗退
第71期 2013年 羽生善治三冠 ●○○挑戦→敗退
第72期 2014年 羽生善治三冠 ○●○挑戦→奪取
第75期 2017年 稲葉陽八段 ○●○挑戦→敗退
第77期 2019年 豊島将之二冠 ●○○挑戦→奪取
第78期 2020年 渡辺明三冠 ?

出だしから6連勝は、第77期まで16回あった。うち名人挑戦となったのは、プレーオフ2回を含め14回。あとは2位が1回、3位が1回である。
挑戦14回のうち、奪取は8、敗退は6。
第29期は、大山棋聖と大内八段が6連勝で並走した。1975年2月に大山棋聖7勝2敗、大内八段7勝1敗で直接対決があり、大内八段が制勝。初の名人挑戦となり、中原名人との伝説の九番勝負に繋がってゆく。
第47期は、内藤九段が年末までに6連勝。将棋ファンの多くが内藤九段を名人戦の舞台に立たせたく思っていたが、内藤九段は年明けから痛恨の3連敗。長蛇を逸した。
第77期までの6連勝後の勝敗は、プレーオフ2局を除くと、28勝20敗。意外と勢いが止まっているが、これは相性が悪い棋士と当たったことや、挑戦へのプレッシャーがかかったからと思われる。
そんな中、中原十六世名人、森内九段、羽生九段が全勝で駆け抜けたことがあるのはさすがである。ことに羽生九段は第70期から72期まで、2度目の全勝挑戦を含め3期連続で6連勝。A級順位戦の鬼といえる。
さて、渡辺三冠は年明けの3戦、2勝で名人挑戦、1勝でもプレーオフ進出である。いや最悪0勝でも、プレーオフに出られる可能性がある。
渡辺三冠の7回戦の相手は稲葉八段で、早くも明日4日に行われる。注目の戦いはいかに。
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どっちが勝ってもタイトル戦初登場

2019-12-20 00:13:45 | データ
第45期棋王戦挑戦者決定戦は、佐々木大地五段と本田圭四段で争われることになったが、どっちが勝ってもタイトル戦初登場という、初々しいカードだった。
そこで、トーナメント戦の決勝やリーグ戦の挑戦者決定戦などで、「どっちが勝ってもタイトル戦初登場」のケースを調べてみた。対戦の左側が勝った棋士、当時のタイトル保持者を右側に記した(防衛は○、失冠は●)。

1951年 第2期九段戦 南口繁一八段VS金高清吉七段 ○大山康晴九段
1964年 第4期棋聖戦 関根茂七段VS本間爽悦七段 ○大山康晴棋聖
1965年 第6期王位戦 佐藤大五郎七段VS内藤國雄七段 ○大山康晴王位
1967年 第11期棋聖戦 中原誠六段VS板谷進六段 ○山田道美棋聖
1981年 第7期棋王戦 森安秀光八段VS板谷進八段 ○米長邦雄棋王
1989年 第2期竜王戦 羽生善治五段VS森下卓五段 ●島朗竜王
1990年 第57期棋聖戦 森下卓六段VS郷田真隆四段 ○屋敷伸之棋聖
1991年 第32期王位戦 中田宏樹五段VS小林健二八段 ○谷川浩司王位
1992年 第60期棋聖戦 郷田真隆四段VS阿部隆五段 ○谷川浩司棋聖
1996年 第37期王位戦 深浦康市五段VS丸山忠久六段 ○羽生善治王位
2009年 第57期王座戦 山崎隆之七段VS中川大輔七段 ○羽生善治王座
2016年 第87期棋聖戦 永瀬拓矢六段VS村山慈明七段 ○羽生善治棋聖
2016年 第42期棋王戦 千田翔太五段VS佐々木勇気五段 ○渡辺明棋王
2017年 第58期王位戦 菅井竜也七段VS澤田真吾六段 ●羽生善治王位

以上、第45期棋王戦を除いて14回。そして番勝負の勝敗は、タイトル保持者側の12勝2敗である。やはり、タイトル保持者の壁は厚いのだった。
第45棋王戦は、第1局は佐々木五段が勝った。最終第2局は27日(金)である。
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「○○○●」後の勝敗

2019-12-05 00:07:16 | データ
第32期竜王戦第4局は広瀬章人竜王が勝ったが、さすがにホッとしたことだろう。
豊島将之名人は、もし第4局を勝っていたら名人戦に続いてのストレート勝ちで、1年間にどちらも4-0は史上初の快挙だったが、うまくはいかなかった。
では、過去の七番勝負で「○○○●」ときたあと、第5局以降の勝敗はどうだったのか。ちょっと見てみよう。

1954年 第13期名人戦 大山康晴名人 千○○○●○ 升田幸三八段
1958年 第17期名人戦 升田幸三名人 ○○○持●●○ 大山康晴王将
1960年 第1期王位戦 大山康晴名人 ○千○○●○ 塚田正夫九段
1961年 第20期名人戦 大山康晴名人 ○○○●○ 丸田祐三八段
1963年 第22期名人戦 大山康晴名人 ○○○●○ 升田幸三九段
1965年 第24期名人戦 大山康晴名人 ○○○●○ 山田道美八段
1966年 第7期王位戦 大山康晴王位 ○○○●○ 有吉道夫八段
1967年 第26期名人戦 大山康晴名人 ○○○●○ 二上達也八段
1970年 第11期王位戦 大山康晴王位 ○○○●○ 米長邦雄七段
1970年 第9期十段戦 中原誠八段 ○○○●●○ 大山康晴十段
1972年 第11期十段戦 中原誠十段 ○○○●○ 大山康晴王将
1978年 第17期十段戦 中原誠十段 ○○○●●●○ 米長邦雄八段
1981年 第39期名人戦 中原誠名人 ○○○●○ 桐山清澄八段
1983年 第41期名人戦 谷川浩司八段 ○○○●●○ 加藤一二三名人
1984年 第42期名人戦 谷川浩司名人 ○○○●○ 森安秀光八段
1985年 第43期名人戦 中原誠二冠 ○○○●●○ 谷川浩司名人
1986年 第35期王将戦 中村修六段 ○○千○●●○ 中原誠王将
1990年 第3期竜王戦 谷川浩司二冠 ○○○●○ 羽生善治竜王
1991年 第49期名人戦 中原誠名人 ○○○●○ 米長邦雄九段
1992年 第33期王位戦 郷田真隆四段 ○○○●●○ 谷川浩司王位
1994年 第52期名人戦 羽生善治四冠 ○○○●●○ 米長邦雄名人
1994年 第7期竜王戦 羽生善治名人 ○○○●●○ 佐藤康光竜王
1996年 第54期名人戦 羽生善治名人 ○○○●○ 森内俊之八段
1999年 第12期竜王戦 藤井猛竜王 ○○○●○ 鈴木大介六段
2002年 第43期王位戦 谷川浩司九段 ○○○●千○ 羽生善治王位
2003年 第44期王位戦 谷川浩司王位 ○○○●○ 羽生善治竜王・名人
2006年 第55期王将戦 羽生善治王将 ○○○●●●○ 佐藤康光棋聖
2008年 第21期竜王戦 羽生善治名人 ○○○●●●● 渡辺明竜王
2009年 第50期王位戦 木村一基八段 千○○○●●●● 深浦康市王位
2011年 第69期名人戦 森内俊之九段 ○○○●●●○ 羽生善治名人
2012年 第61期王将戦 佐藤康光九段 ○○○●○ 久保利明王将
2012年 第25期竜王戦 渡辺明竜王 ○○○●○ 丸山忠久九段
2017年 第66期王将戦 久保利明九段 ○○○●●○ 郷田真隆王将

これまで「○○○●」の星取りは名人戦14、十段戦3、竜王戦5、王将戦4、王位戦7の計33回あった。
第5局以降は、「○○○●○」19回、「○○○●●○」9回、「○○○●●●○」3回、「○○○●●●●」2回である。要するに、最初に3勝した側が31回タイトルを獲っているということだ。
昭和中期は大山十五世名人の「○○○●○」がやたら目につき、実に8回もある。全盛時の大山十五世名人は、4-0で終わったら主催社が困るだろうと、3連勝後の第4局は緩めたという伝説が残っている。もちろん創作だろうが、NHK杯では放送時間の尺まで気を遣っていた大山十五世名人だけに、ありそうな話ではある。
また谷川九段は1983年に「○○○●●○」で名人を奪取したが、その2年後、同じ星で名人を奪取されてしまった。
いずれにしても負けている側は苦しいが、第4局、第5局の連勝も14回あるわけで、低い数字ではない。もし第5局に広瀬竜王が勝てば、シーソーゲームと同じ星になり、雰囲気的にはほぼ五分になる。
第5局は6日、7日に行われるが、結果やいかに。
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2連敗3連勝

2019-11-07 00:09:06 | データ
タイトル戦五番勝負で、2連敗3連勝のケースを調べてみた。左側が勝者(●●○○○)である。

1967年 第11期棋聖戦 山田道美棋聖-中原誠六段(防衛)
1972年 第21期棋聖戦 有吉道夫八段-中原誠棋聖(奪取)
1973年 第23期棋聖戦 内藤國雄八段-米長邦雄棋聖(奪取)
1977年 第31期棋聖戦 中原誠名人-大山康晴棋聖(奪取)
1982年 第42期棋聖戦 森安秀光八段-中原誠棋聖(奪取)
1984年 第32期王座戦 中原誠王座-森安秀光八段(防衛)
1987年 第35期王座戦 塚田泰明八段-中原誠王座(奪取)
1989年 第14期棋王戦 南芳一王将-谷川浩司棋王(奪取)
1990年 第56期棋聖戦 屋敷伸之四段-中原誠棋聖(奪取)
1998年 第46期王座戦 羽生善治王座-谷川浩司竜王(防衛)
2002年 第73期棋聖戦 佐藤康光王将-郷田真隆棋聖(奪取)
2003年 第28期棋王戦 丸山忠久九段-羽生善治棋王(奪取)
2008年 第79期棋聖戦 羽生善治名人-佐藤康光棋聖(奪取)

かつて棋聖戦は年2期制だったが、王座戦と棋王戦は歴史が新しいので、現在まで169回の五番勝負となる。
結果、「2連敗3連勝」は13回。棋聖戦8、王座戦3、棋王戦2である。そして挑戦者の勝利(奪取)が10、タイトル保持者の勝利(防衛)が3である。計13回は、多いのか少ないのか。
個別だと中原十六世名人が、「●●○○○」が2回、「○○●●●」が5回。棋聖戦に限れば同1回と4回で、意外に勝負弱い。

せっかくなので、「連敗後に連勝したけれど、最終局に負けたケース(●●○○●)」も確認しておこう。これは、左側が敗者となる。

1979年 第4期棋王戦 加藤一二三棋王-米長邦雄八段(奪取)
1987年 第12期棋王戦 高橋道雄棋王-谷川浩司王位(奪取・第3局は持将棋)
1991年 第39期王座戦 谷川浩司王座-福崎文吾八段(奪取・第5局は千日手)
1993年 第63期棋聖戦 谷川浩司王将-羽生善治棋聖(防衛・第3局は千日手2回)
2009年 第34期棋王戦 佐藤康光棋王-久保利明八段(奪取)
2014年 第62期王座戦 豊島将之七段-羽生善治王座(防衛)
2018年 第66期王座戦 中村太地王座-斎藤慎太郎七段(奪取)

こちらは7回。ということは、●●○○ときて、最終局の○が13回、●が7回となる。追いついた側の勝率が.650で、やはり勢いがついているのだ。
また、挑戦者が●●○○とした場合、最終局の勝率は、10勝2敗の.833となる。挑戦権を取った勢いと、追いついた勢いで、とんでもない勝率になるのだ。
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0勝2敗からの逆転劇

2019-11-02 01:37:15 | データ
第32期竜王戦第2局は10月23日・24日に京都府で行われ、豊島将之名人が勝った。豊島名人は2勝となり、広瀬章人竜王はかなり苦しくなった。
ただ広瀬竜王は昨年も0勝2敗の出だしだったし、先ごろの王位戦七番勝負でも、木村一基九段が0勝2敗の劣勢から逆転奪取している。広瀬竜王だって、勝負はまだこれからと、新たな闘志を燃やしていることだろう。
今日は、「七番勝負における0勝2敗からの逆転」をお知らせする。

1947年 第6期名人戦 塚田正夫八段 ●●持○○千○千○ 木村義雄名人
1958年 第7期王将戦 大山康晴前名人 ●●○○●○○ 升田幸三王将
1958年 第9期九段戦 大山康晴王将 ●●○○○○ 升田幸三九段
1959年 第10期九段戦 大山康晴九段 ●●○○○●○ 二上達也八段
1961年 第10期王将戦 大山康晴王将 ●●○○○○ 二上達也八段
1961年 第12期九段戦 大山康晴九段 ●●○○○○ 二上達也八段
1966年 第25期名人戦 大山康晴名人 ●●○○○○ 升田幸三九段
1968年 第7期十段戦 加藤一二三八段 ●●○○●○○ 大山康晴十段
1979年 第37期名人戦 中原誠名人 ●●○○○○ 米長邦雄九段
1987年 第45期名人戦 中原誠名人 ●●○○○○ 米長邦雄九段
1989年 第2期竜王戦 羽生善治六段 ●●持○○○●○ 島朗竜王
1991年 第32期王位戦 谷川浩司王位 ●●○○○○ 中田宏樹五段
1992年 第50期名人戦 中原誠名人 ●●○●○○○ 高橋道雄九段
1992年 第5期竜王戦 羽生善治二冠 ●千●○○○●○ 谷川浩司竜王
1995年 第36期王位戦 羽生善治王位 ●●○○○○ 郷田真隆五段
2005年 第46期王位戦 羽生善治王位 ●●○○●○○ 佐藤康光棋聖
2006年 第19期竜王戦 渡辺明竜王 ●●○○○●○ 佐藤康光棋聖
2007年 第65期名人戦 森内俊之名人 ●●○○○●○ 郷田真隆九段
2008年 第21期竜王戦 渡辺明竜王 ●●●○○○○ 羽生善治名人
2009年 第50期王位戦 深浦康市王位 ●●●○○○○ 木村一基八段
2011年 第52期王位戦 羽生善治二冠 ●●○○●○○ 広瀬章人王位
2015年 第64期王将戦 郷田真隆九段 ●●○○●○○ 渡辺明王将
2018年 第31期竜王戦 広瀬章人八段 ●●○○●○○ 羽生善治竜王
2019年 第60期王位戦 木村一基九段 ●●○○●○○ 豊島将之王位

ここまで24回で、タイトル保持者の14勝、挑戦者の10勝である。
2期連続0勝2敗からの逆転は、1958年~1959年の九段戦の、大山十五世名人の1例のみ。また連敗後の4勝パターンは、

「○○○○」=9回
「○○●○○」=7回
「○○○●○」=5回
「●○○○○」=2回
「○●○○○」=1回

である。第3局から勢いに乗って4連勝、というケースがいちばん多い。逆に第3局か第4局に負けると、勝率がガクンと落ちる。逆転勝利のためには、第4局で追い付くのが絶対条件だ。
棋士別だと、大山十五世名人が6勝1敗、中原十六世名人が3勝0敗、羽生九段が5勝2敗。やはり逆転勝利が多いと、獲得するタイトルも多くなる。
注目の竜王戦第3局は、9日・10日である。
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