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一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

4日の大野・植山教室(中編)

2015-07-14 00:20:00 | 大野・植山教室
今日は大野八一雄七段が風邪気味で、グズグズやっていた。思考もまとまらなかったかもしれないが、そこが下手のツケ目である。
指導対局では、上手がこちらに視線をくれたら指すようにしているが、△5二玉と寄られたこの局面、私は指す手がまったく分からず、手が動かない。大野七段は隣の将棋に目をやり、それが2度繰り返された。私は早指しの方なので、これは異例である。
右のSat戦は終わり、Sat氏の快勝。感想戦を行ったが、大野七段に明確な悪手があったようで、中盤の局面から「分岐の2局目」が開始された。
大野七段は自身が不甲斐ない将棋を指すと、時折これをやってくれる。下手にとってはありがたいサービスである。

大野七段3度目のチラ見に、ついに私は▲4三銀成とやった。だが、△6二玉▲7一銀△同玉▲6三桂成△1二飛▲8四桂△8二玉▲7二桂成△8三玉となってみると、これは上手玉を逃している。
以下▲8一成桂△8六歩▲同歩△7七銀成▲5三歩成△8六金▲5四と△8四玉▲6四成桂△8五玉▲8九桂△7六玉▲7七桂(第3図)で、3時休憩となった。
この将棋を入玉模様で粘られるとは…。3時休みまでには勝負をつけて然るべきなのに、何をやってるのだ…。我が終盤力の乏しさに、呆れる思いだ。
植山悦行七段がこの局面を見て、「上手に駒がいっぱいあるからねえ…」と言う。入玉模様の上手を持ちたい雰囲気だった。
ところがこの将棋、休憩明けからおかしな展開になる。参考までに、終局までの手順を記しておこう。

第3図以下の指し手。
△7八金▲5七金△6六歩▲7九歩△7七金引▲4六飛△8九銀▲6六飛△8七玉▲8六飛△同玉▲9七金△8五玉▲8六銀△8四玉▲8五歩△9三玉▲7七銀△5九飛▲8四金△9二玉▲8二金(投了図)
まで、一公の勝ち。

休憩時間にHon氏が来た。Hon氏はいつも滞在時間が短いが、教室には必ず顔を出す。教室になくてはならない存在である。
再開後、大野七段はすぐ△7八金と打った。私は▲5七金~▲4六飛。守備駒がどんどん離れていく。しかしこれで上手玉が捕まっていたらしい。よく分からないが。
…どうも、この将棋を勝っては悪いと、大野七段が緩めてくれたように思えた。この感じ、とくに植山七段に多くある。

感想戦。△5二玉には「やっぱり▲4三銀成でよかったんじゃない?」と大野七段。
しかし以下をやってみると、意外に寄らない。そこで私が恐る恐る「▲5三銀打じゃダメでしょうか」。
大野七段「…ああ、それでいいじゃない」
一公「あ、それでいいんですか。いやこの手は浮かんでたんですが、5三に駒が2つ利いてるのに、重ね打ちするのに抵抗がありまして」
大野七段は苦笑いするばかりである。しかし銀打ちで寄っているのだから、言い訳は利かない。結局私が弱かったわけで、私がもっと終盤力を鍛えればいいのだ。

S君がいるのだが、私とはまだリーグ戦を指したくないらしい。
しかし私だって毎回教室に来ているわけではないし、時期を見ていたら、対局の機会を逸すると思う。
で、3局目はKo君とリーグ戦。前回は私の角落ちで私が吹っ飛ばされたのに、また飛車落ちに戻った。Fuj氏の手合いは厳しい。
Ko君と盤を挟むが、Ko君の様子がおかしい。リュックの中身をゴソゴソやり、それが対局が始まっても続いている。全然将棋盤を見ていない。中盤、私が考えていると、Ko君は何を錯覚したのか、また指した。
さらに数手後、私の考慮中にチェスクロックのボタンを押した。
Ko君、まったく心ここにあらずで、全然局面を考えていない。
まあ小学生も、休みの日にはいろいろやりたいことがあるだろう。将棋教室に来るのも月謝がいるわけだし、無理をして将棋を指すことはないと思う。
この将棋は私が勝った。

4局目は植山七段に教えていただく。なぜか平手戦である。
本局は私が四間飛車に振った。植山七段は玉頭位取りの作戦。私は銀冠にした後、His流で▲3八飛と回った。
私は4筋と3筋の位を奪回し、▲3六銀とプレッシャーをかける。しかし植山七段は△1二玉と寄って涼しい顔だ。
私は▲4八金上と形を整えたが、数手後、上手△3三角、5四銀、6四飛、7四歩。下手▲6六銀、7六歩、7七角、8九桂、9九香…の局面になった。私は泣きの涙で▲6七歩。
やむを得ないとはいえ、いかにも軟弱な受けだ。果たして植山七段に△7五歩と突かれて、シビれた。
ここで投了も考えたが、以前読者から「上手の決め手を味わってから投了してもいいのでは?」というコメントがあったことを思い出し、我慢して指し継いだ。
「やりなおーし!!」
植山七段が珍しく一喝する。見ると、左のOk戦(二枚落ち戦)で、Ok氏がヘンな手を指したらしい。▲9七に角がいるのに、△7四銀取りに▲8六桂と打ったようだ。
むろんOk氏にもOk氏なりの読み筋はあったのだが、言い分はもちろん却下である。
「駒の気持ちになってください」
ここに植山七段の名言が誕生した。
私の将棋は、以下の局面になっていた。

図以下の指し手。△3六歩▲同金△2七歩成▲同金△3八歩
まで、植山七段の勝ち。

上手の勝勢だが、△3六歩からの一連の手順にはシビれた。いや、感動したというべきか。なるほど、これは△7五歩以降も指し継いでよかった。
感想戦では、私が3~4筋の位を張ったのに、植山七段は「まあ、(下手の主張は)それだけだからね」と意に介していないのが衝撃的だった。「こっちも歩をたくさん持ったから」。
私が居飛車を持って似た局面になった時、袖飛車に来られると、いつも位を守るのに汲々としていた。
しかし植山七段の考え方は、「位を取り返されてもいい」のだ。私は目からウロコが落ちる思いだった。
まったく、プロの指し手は一手一手が味わい深い。私がプロと平手戦を指すのはおこがましいけれど、これは平手戦において多く感じるものである。ありがたいことだと思う。
(つづく)
コメント (2)
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