(21日のつづき)
今日は東京・竹橋で第9期マイナビ女子オープン・チャレンジマッチが行われている。Fuj氏はこの戦いが気になるようで、仕事の合間にパソコンで経過を見ている。
女流棋士とアマが混合で戦い出場権を決めるこの大会、私は女流棋士の尊厳が失われるような気がして、あまり好きになれない。
女流棋士になるのは大変なこと。棋戦出場(対局料がもらえること)は当然の権利であるべきと思うのだ。
3時休みが終わり、私は北島忠雄七段に教えていただくことになった。ちなみに、七段に教えていただくのは2度目。前回は惨敗したので、本局は少しでもまともな将棋を指したいと思った。
右では美少年君が平手で挑んでいる。戦型は角換わり相腰掛銀と、格調高い。
私は角を落としていただき対局開始。私は居飛車から早めに▲3六歩と突く。その後すぐに▲3七桂と跳ねるべきだったが1手遅れ、△3四歩と突かれた。今度▲3七桂は△3三桂とされて不可。細かいところだが、ここはもう少し掘り下げるべきだった。
私は▲5八飛と回って、矢倉中飛車の趣。しかし北島七段の△7三桂に隙を感じ、▲7五歩と仕掛けた。以下△8四飛▲7四歩△同飛の後、私は▲7二歩と垂らす。
相手が植山悦行七段なら、「く~っ!! 大沢流ですねえ」と苦笑いするところ。北島七段は静かに怒って?攻めてきた。
△9五歩▲同歩△9七歩、△8六歩▲同歩…△8五歩と、上手は手筋連発。歩だけでこうやって手にしてしまうとは、当然だがさすがプロである。
美少年君のところはひたすら長い。彼はこんなに長考派だったろうか。
私の将棋は、▲7一のと金を手順に取られ、金を端に追いやられたものの、北島七段の攻めをギリギリ受け止めてやれやれ…と思ったら、△6六歩の突き出しがあった。
これを▲同歩は△6七香▲同銀△7七飛成で下手壊滅。私は▲5八金と上がったが、今度は△7二香が詰めろだ。
今更ながら、プロは安い駒で攻めてくるのがうまい。もはや芸術的でさえある。
もうここで投げようと思ったが、もう少し指してみる。△7九歩成を▲同角、と取った。香の利きあるが、しょうがない。
北島七段は「ヒョエー!」と驚きつつ、角を取る。「あなた、こんな無茶な手を指してはいけません」というところだったろう。
以下、北島七段の巧妙な寄せに、私は投了を余儀なくされた。
感想戦。下手が中飛車に振ったのに、▲7五歩と突いたのが欲張りすぎ。普通に▲5六銀~▲4八金と、駒組を進めるのが良かったという。
かくして今回も残念な結果だったが、棋士が変われば指し手も変わり、とても刺激的だった。北島先生、またよろしくお願いします。
3局目はHas氏とリーグ戦。Has氏との対戦は、最初の2局は私が負けたが、その後は私がずっと勝ち続けている。その間、負けたこともあったかもしれないが、あっても1局である。すなわち、この対局では勝ち星を計算していた。
本局は私の後手で、対局開始。Has氏はいつもの四間飛車。生徒に得意戦法は数々あるがHas氏のそれは特殊で、四間飛車美濃囲い一本槍である。Has氏はこの直前Sar君と指し、勝っていたが、それも四間飛車対中飛車だったらしい。
後手番だが急戦で仕掛けたいので、△1四歩を省いて△6四銀~△7五歩と行った。あらかじめ▲7八飛と備えられていたが、何とかなるだろうと思った。
Has氏は▲5六歩と待つ。ここで私が△8六歩と突き捨てたのが、重大な手順前後だった。
Has氏は▲同角と取り、△7六歩に▲同飛。先手が十分の態勢になってしまった。
△8六歩では当然、△7六歩を先にするところ。以下▲同銀△8六歩▲同歩△7二飛なら、いつもの将棋だった。
本譜、次に▲6四角~▲7一銀があるので私は△7三銀引だが、こんな退廃的な手を指すようでは、先が見えている。ここで半分、戦力が殺げた。
ところがHas氏にも甘い手が出て、私に望みが出てきた。しかし…。

第1図以下の指し手。△6五歩▲7七角△6六歩▲同角△同角▲同銀(途中1図)

△2二角▲5五歩△6五歩▲8六歩△8一飛▲6五銀△5五角▲5八飛△6四歩▲5四銀(途中2図)

△5四同桂▲5五飛△4六桂▲同金△5四桂▲4七金(第2図)
私は△6五歩と突き、角交換を果たす。途中1図ではもちろん△9九角の予定だったが、自陣の角のラインに不安を感じ、△2二角と打った。しかしやっぱりシャレすぎで、普通に△9九角と打つべきだった。
数手後△6四歩と打ち、▲5六銀に次の手を考えようと思ったら、Has氏は▲5四銀!(途中2図)
逆側から見たら当然の一手かもしれないが、私はまったく見えておらず、これで負けになっているのに愕然とした。
▲7二角の筋があるので、私は角を見捨てて△同桂と取ったが、数手後▲4七金(第2図)まで進み、先手優勢となった。

第2図ではまだしもここで△4六銀だったが、私は△8六飛と走り、Has氏に落ち着いて▲5九飛と引かれ、以下ボロ負けした。
いやはや、実力とはいえ、この負けは痛い。リーグ戦は9勝3敗と後退。このくらいの星は何人かいるだろうし、もう首位争いから脱落した気分である。
今期の優勝は諦めた。
(つづく)
今日は東京・竹橋で第9期マイナビ女子オープン・チャレンジマッチが行われている。Fuj氏はこの戦いが気になるようで、仕事の合間にパソコンで経過を見ている。
女流棋士とアマが混合で戦い出場権を決めるこの大会、私は女流棋士の尊厳が失われるような気がして、あまり好きになれない。
女流棋士になるのは大変なこと。棋戦出場(対局料がもらえること)は当然の権利であるべきと思うのだ。
3時休みが終わり、私は北島忠雄七段に教えていただくことになった。ちなみに、七段に教えていただくのは2度目。前回は惨敗したので、本局は少しでもまともな将棋を指したいと思った。
右では美少年君が平手で挑んでいる。戦型は角換わり相腰掛銀と、格調高い。
私は角を落としていただき対局開始。私は居飛車から早めに▲3六歩と突く。その後すぐに▲3七桂と跳ねるべきだったが1手遅れ、△3四歩と突かれた。今度▲3七桂は△3三桂とされて不可。細かいところだが、ここはもう少し掘り下げるべきだった。
私は▲5八飛と回って、矢倉中飛車の趣。しかし北島七段の△7三桂に隙を感じ、▲7五歩と仕掛けた。以下△8四飛▲7四歩△同飛の後、私は▲7二歩と垂らす。
相手が植山悦行七段なら、「く~っ!! 大沢流ですねえ」と苦笑いするところ。北島七段は静かに怒って?攻めてきた。
△9五歩▲同歩△9七歩、△8六歩▲同歩…△8五歩と、上手は手筋連発。歩だけでこうやって手にしてしまうとは、当然だがさすがプロである。
美少年君のところはひたすら長い。彼はこんなに長考派だったろうか。
私の将棋は、▲7一のと金を手順に取られ、金を端に追いやられたものの、北島七段の攻めをギリギリ受け止めてやれやれ…と思ったら、△6六歩の突き出しがあった。
これを▲同歩は△6七香▲同銀△7七飛成で下手壊滅。私は▲5八金と上がったが、今度は△7二香が詰めろだ。
今更ながら、プロは安い駒で攻めてくるのがうまい。もはや芸術的でさえある。
もうここで投げようと思ったが、もう少し指してみる。△7九歩成を▲同角、と取った。香の利きあるが、しょうがない。
北島七段は「ヒョエー!」と驚きつつ、角を取る。「あなた、こんな無茶な手を指してはいけません」というところだったろう。
以下、北島七段の巧妙な寄せに、私は投了を余儀なくされた。
感想戦。下手が中飛車に振ったのに、▲7五歩と突いたのが欲張りすぎ。普通に▲5六銀~▲4八金と、駒組を進めるのが良かったという。
かくして今回も残念な結果だったが、棋士が変われば指し手も変わり、とても刺激的だった。北島先生、またよろしくお願いします。
3局目はHas氏とリーグ戦。Has氏との対戦は、最初の2局は私が負けたが、その後は私がずっと勝ち続けている。その間、負けたこともあったかもしれないが、あっても1局である。すなわち、この対局では勝ち星を計算していた。
本局は私の後手で、対局開始。Has氏はいつもの四間飛車。生徒に得意戦法は数々あるがHas氏のそれは特殊で、四間飛車美濃囲い一本槍である。Has氏はこの直前Sar君と指し、勝っていたが、それも四間飛車対中飛車だったらしい。
後手番だが急戦で仕掛けたいので、△1四歩を省いて△6四銀~△7五歩と行った。あらかじめ▲7八飛と備えられていたが、何とかなるだろうと思った。
Has氏は▲5六歩と待つ。ここで私が△8六歩と突き捨てたのが、重大な手順前後だった。
Has氏は▲同角と取り、△7六歩に▲同飛。先手が十分の態勢になってしまった。
△8六歩では当然、△7六歩を先にするところ。以下▲同銀△8六歩▲同歩△7二飛なら、いつもの将棋だった。
本譜、次に▲6四角~▲7一銀があるので私は△7三銀引だが、こんな退廃的な手を指すようでは、先が見えている。ここで半分、戦力が殺げた。
ところがHas氏にも甘い手が出て、私に望みが出てきた。しかし…。

第1図以下の指し手。△6五歩▲7七角△6六歩▲同角△同角▲同銀(途中1図)

△2二角▲5五歩△6五歩▲8六歩△8一飛▲6五銀△5五角▲5八飛△6四歩▲5四銀(途中2図)

△5四同桂▲5五飛△4六桂▲同金△5四桂▲4七金(第2図)
私は△6五歩と突き、角交換を果たす。途中1図ではもちろん△9九角の予定だったが、自陣の角のラインに不安を感じ、△2二角と打った。しかしやっぱりシャレすぎで、普通に△9九角と打つべきだった。
数手後△6四歩と打ち、▲5六銀に次の手を考えようと思ったら、Has氏は▲5四銀!(途中2図)
逆側から見たら当然の一手かもしれないが、私はまったく見えておらず、これで負けになっているのに愕然とした。
▲7二角の筋があるので、私は角を見捨てて△同桂と取ったが、数手後▲4七金(第2図)まで進み、先手優勢となった。

第2図ではまだしもここで△4六銀だったが、私は△8六飛と走り、Has氏に落ち着いて▲5九飛と引かれ、以下ボロ負けした。
いやはや、実力とはいえ、この負けは痛い。リーグ戦は9勝3敗と後退。このくらいの星は何人かいるだろうし、もう首位争いから脱落した気分である。
今期の優勝は諦めた。
(つづく)