一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

冬の九州旅行2014・7「松浦鉄道に乗る」

2015-07-02 01:05:34 | 旅行記・九州編
それは、クマの絵だった。マスターは動物の名称を言わなかったが、「あなたの描いた絵はクマだったんでしょう?」のメッセージが聞こえてくるようだった。
もっとも私の描いたのは白クマ、この絵は茶色だったから、厳密には違う。やはり偶然だったのだろうか。



早岐行き最終列車は23時45分だから、まだ時間はある。しかしやることがなく、私は夕方に買ったおにぎりを頬張り、あんでるせんの余韻に浸っていた。
23時45分が近づいてきた。と、構内放送が入った。
「早岐行き列車は、現在遅れております」
この列車の早岐到着は00時03分である。青春18きっぷのルールだと、日付が変わって次の駅に停車するまでが、当日分とされる(ただし、東京近郊などの特定電車区間は、最終電車まで)。よって、早岐までは13日分で有効。そこから佐世保までは新たに料金を払う必要がある。
だが列車が遅れた場合はどうなのか。青春18きっぷは企画モノなので、救済措置があまりない。例えば0時を過ぎて川棚に列車が到着したら、私はここから乗車料金を払わなければならないのだろうか。
列車は10分遅れで到着した。何はともあれ、出発するしかない。ありがとう、あんでるせん。また来年、会いましょう。
次の小串郷を出たところで、日付が変わった。乗車料金の件はいいとして、問題はこの乗り継ぎだ。
早岐からの佐世保行き佐世保線は00時04分があるが、10分遅れの大村線を待っていてくれるだろうか。佐世保線は最終00時28分発の特急もあるし、ふつうに発ってしまう可能性が高い。
列車は10分遅れで早岐に着いた。と、向かいの乗り場に、佐世保行き普通列車が待っていてくれた!
おおー、さすがJR九州、この辺りの連携はさすがだ!
私は飛び乗り、早岐発00時14分、佐世保には定刻を9分遅れの、00時26分に着いた。
駅の改札口で青春18きっぷを見せ、「列車が遅れて…」と言うと、駅員さんはそのまま通してくれそうになった。それでは不正乗車になってしまうので、私は早岐―佐世保間の乗車料金を払い、改札を抜けた。
さて、佐世保は何度も訪れている。今宵の宿は、「させぼ四ヶ町商店街」の脇を少し歩いた、「サイベックス・カズバ佐世保店」の予定だ。
ここは数年前の昼、ブログを書くために入店したことがある。観光よりブログを優先させるとは、当時の私はどうかしていた。しかもその時はキーボードの使い勝手が悪く、文字入力にすこぶる苦労した。推敲の時間もなく店を後にしたのだが、その後読者から、嬉々として誤字を指摘された時は、さすがにクサッタ。文章を書くのは、読むのより数十倍労力がいるのだ。
そのカズバ佐世保店は、オープンスペースしかなかった。要するに、PC周りのスペースしかないということだ。
でも、屋根があるだけでもありがたい。脇にソファースペースの部屋があったので、空きを見つけて横になり、しばし仮眠をした。実に長い1日が終わった。

14日(日)。実質2泊3日の最終日である。今日はふつうに切符を買う。
今日は松浦鉄道に乗ろうと思う。松浦鉄道は1988年、旧JR松浦線を引き継いだ第3セクターである。JR時代は32だった駅を57まで増やし、運転本数も15~20分ヘッドにし格段に利便性を良くした。その結果、2000年ごろまでは黒字経営となり、松浦鉄道は第3セクターの雄となったのである。
しかしその後は沿線の過疎化が進み、松浦鉄道もまた、赤字経営に転落している。第3セクターは、本来なら廃止になっていたところを、地元自治体らが存続してくれたものだ。その感謝の意を示すためにも、乗れる機会があれば乗っておきたい。
四ヶ町商店街の中にある、佐世保中央から乗る。これは1990年に開業した駅で、ここに駅を造って、さらに利便性が増した。
ところで佐世保の女子高生は脚が綺麗で、とくにこの商店街に多く出没するが、今回は出発せざるを得ない。
私は「松浦鉄道一日乗車券」(2,000円)を買う。白と赤、ウルトラマンを彷彿とさせる1両の列車が入線し、08時11分、高架の佐世保中央を発車した。
40分ほど列車に揺られ、佐々(さざ)着。ここは松浦鉄道を代表する駅である。かつては臼ノ浦線が分岐していたが、1971年に廃止された。
15分の停車時間なので、表に出て、駅舎を見てみる。山小屋風で威風堂々としており、よい観光地がありそうな気もするが、ここで時間を割くわけにはいかない。
再び列車に揺られ、定刻を1分遅れの09時41分、たびら平戸口で降りた。
同駅は沖縄県ゆいレールができるまで、日本最西端の駅だった。私も何回か降りたことがあるが、観光した記憶がない。数年前は駅舎だけ見て、時間の関係で引き返したこともあった。今日は平戸市中心部を回ってみたい。
駅前から市街地へ向かうバス便は少ない。前の坂道を15分くらい歩くと、拓けた場所に出た。手前にはバスターミナルがあり、タイミングよくバスが来た。
が、平戸市街には歩いても行ける、との回答を運転手さんから得て、私は乗るのを止めた。途中に平戸大橋があり、そこを歩いて渡りたかったのである。
バスターミナルの前には、「平戸瀬戸市場」がある。入ってみるとちょっとしたスーパーのようで、パートのおばちゃんが寿司を握っていた。今朝獲れた魚だろう。
今日は朝食を摂っていない。分不相応ではあるが、奮発して、900円のそれを一折、それと「飛鸞の塩」を買った。
バスターミナルの待合室で、寿司を食べる。中とろ、海老、タイ、イカ…あとは名前の分からない白身魚…と、全部で8貫。ネタは大きく、プリプリしていて新鮮そのもの。シャリも多い。飾り気のない寿司で、それが逆に美味さを引き立てた。ごちそうさまでした。
平戸市に向かう。が、平戸大橋までは遠い。30分ぐらい歩いて、ようやっと着いた。
平戸大橋は朱塗りで、優美だ。惜しむらくは空を厚い雲が覆っており、いまひとつ朱が映えないこと。
とはいえ眼下の海は雄大で、ここを無料で渡れるとは幸せである。風も凄いが、それも妙味である。
数年前、上川香織女流初段の故郷である下蒲刈島を訪ねたが、その時渡った蒲刈大橋を思い出した。
(つづく)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする