一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第1期白玲戦第2局

2021-09-23 12:56:26 | 女流棋戦
18日に指された第1期白玲戦第2局に触れてみる。
西山朋佳女流三冠の先勝で迎えた本局は、後手番西山女流三冠が四間飛車に振った。渡部愛女流三段が▲2五歩△3三角を決めたのに、初志貫徹の△4二飛だった。西山女流三冠がこの筋に飛車を振るのは珍しいが、順位決定トーナメントの加藤圭女流二段戦でも同様の作戦を採っている。作戦巧者・加藤女流二段の研究を外す意味だが、相手を格下に見ていればスンナリ中飛車に振ったはず。それをそうしなかったのは、そのくらい加藤女流二段を評価していたということだ。
本局の渡部女流三段にも同じことがいえるが、加えて七番勝負の長丁場、さらに先勝した余裕も西山女流三冠にはあったと思う。
対して渡部女流三段は、▲6六角と上がった。若干奇異な手だが、ここから▲8八銀~▲7七桂~▲8九玉と囲う意味で、場合によっては端攻めを見ている。
それを察知し西山女流三冠も美濃囲いを放棄し、△6二金上。△8二玉も保留し、△8二銀の余地を残した。このあたりの西山女流三冠の指し手は緻密で、さすがに実力四段だけのことはあると感心した。
先手としては、持久戦となりがちなこの戦法で、右銀が▲5七へ上がりたい。しかしそうすると▲6六角の進退が極まり、指しづらくなる。
とはいえ渡部女流三段も▲5七銀と上がったが、対する西山女流三冠の解答は、△7三金~△6四金~△5二飛だった。
この形に捉われない指し方も西山女流三冠の魅力だが、実際角金交換の戦果を挙げ、後手としては十分。私が先手で指導対局を受けていたらこの時点で戦意喪失。以下はジリ貧負けとなったであろう。
しかし相手は渡部女流三段で、その後も辛抱強く指し続け、気が付けば盛り返していたようだ。

だが図の局面で▲7七銀と引いたのがマズかったらしい。以下△6八桂成▲同金に△3四角が好打で、これで西山ペースになった。
戻って▲7七銀では、じっと▲7四歩と取り込むのがよかったらしい。
ここ、もし後手が西山女流三冠でなかったら、渡部女流三段も「あなたばかり気持ちいい手は指させないから」とばかり、寸隙を衝いて▲7四歩と反撃したと思う。
しかし本譜は西山女流三冠の攻めにおののき、つい▲7七銀と防御を固めてしまった。
ちなみに△3四角以下は、▲5六香、▲6五桂、▲7六桂と次々に只取りされ、これで勝負あった。
本局、西山女流三冠が不利な局面もあったが、西山女流三冠の快勝といっていい。とりわけ本局は微妙な四間飛車だったから、2勝0敗は十分な結果だろう。
対して渡部女流三段は痛かった。この白玲戦を野球の日本シリーズに例えれば、渡部女流三段は0対10で3試合負けてもいいのである。しかし競り合った試合は4つ、確実に勝ちたい。本局は5対4で勝てるチャンスだったのに、2対5で負けてしまった感じだ。
いよいよ渡部女流三段は苦しいが、ツイッターその他の談話を読むと、「第3局も頑張ります」と前向きだ。その意気やよし、である。
第3局は10月2日、鹿児島県指宿市にて。渡部女流三段はとにかく1勝。話はそれからだ。
コメント (4)
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