4年前のきょう7月18日は、私が勤めていた会社の社長とケンカし、私が退職した日である。再就職して、たった2ヶ月の勤務だった。
傷心のまま帰宅すると、京アニの事件が起きていた。私は部屋の片隅でぐったりしたのを覚えている。
◇
16日放送のTBS「日曜劇場・VIVANT」(第1話)を17日に見た。これが、ここ数年間で見たドラマの中で、最も面白かった。
先日劇場公開された、宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」は事前の宣伝が一切なかったが、「VIVANT」もほぼそれに近い。メイン出演者と、出演者のひとりが砂漠を歩いている絵が公開されたくらいだ。
一流商社「丸菱商事」に勤める乃木憂助(堺雅人)の部署が、取引先のバルカ共和国に、1千万ドル支払うところを、1億ドル誤送金してしまったことから、このドラマが始まる。
ここだけ見ると、理不尽な資金回収を余儀なくされた「半沢直樹」を彷彿とさせるが、「VIVANT」はここからの展開がすごい。
乃木はバルカ共和国に飛び、誤送金分を回収しに行くのだが、もちろん返ってくるはずもない。
それどころか関係会社のドンが乃木の眼前で自爆し、乃木は警視庁公安部・野崎守(阿部寛)に助けられたものの、野崎もろとも爆破の犯人にされてしまう。
乃木は、女医の柚木薫(二階堂ふみ)とともに逃亡し日本大使館に向かわんとするが、そこに逃げ切るまでがスリリングだ。
警察犬から逃れるため、3人が肥溜めに身を隠すシーンは、個人的に最もウケた。ことに、糞を顔に塗られるのを無言で拒絶する薫の表情が、アカデミー賞ぶりに素晴らしかった。
最後、彼らが大型装甲車に乗り、地元のパトカーを数十台もなぎ倒して日本大使館になだれこむシーンは圧巻。一本の映画を見ているかのようだった。
乃木は一見頼りなさそうだが、自分も気づいていない能力がある。時折現れる乃木の分身は半沢直樹のキャラのようでもあり、ふたりの関係性も興味深い。
以上の内容を見ると新保裕一のテイストがあるが、原作は「半沢直樹」などの演出でおなじみの、福澤克雄のオリジナルである。脚本は谷津弘幸(など)、音楽は千住明。出演者も、日曜劇場御用達の主役級がゾロゾロ。もう、名作の予感しかない。
問題は国内に戻るであろう第2話以降だが、この緊張感とワクワク感は最終回まで続くだろう。
昨今は安っぽいバラエティ番組が幅を利かし、私は嘆かわしく思っていた。しかし今回の日曜劇場の力の入れ方は半端ではない。この予算を供出したスポンサーも素晴らしい。
日本のドラマの底力をまざまざと見せつけてくれたTBSと制作スタッフに、最大級の賛辞を贈る。
傷心のまま帰宅すると、京アニの事件が起きていた。私は部屋の片隅でぐったりしたのを覚えている。
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16日放送のTBS「日曜劇場・VIVANT」(第1話)を17日に見た。これが、ここ数年間で見たドラマの中で、最も面白かった。
先日劇場公開された、宮崎駿監督「君たちはどう生きるか」は事前の宣伝が一切なかったが、「VIVANT」もほぼそれに近い。メイン出演者と、出演者のひとりが砂漠を歩いている絵が公開されたくらいだ。
一流商社「丸菱商事」に勤める乃木憂助(堺雅人)の部署が、取引先のバルカ共和国に、1千万ドル支払うところを、1億ドル誤送金してしまったことから、このドラマが始まる。
ここだけ見ると、理不尽な資金回収を余儀なくされた「半沢直樹」を彷彿とさせるが、「VIVANT」はここからの展開がすごい。
乃木はバルカ共和国に飛び、誤送金分を回収しに行くのだが、もちろん返ってくるはずもない。
それどころか関係会社のドンが乃木の眼前で自爆し、乃木は警視庁公安部・野崎守(阿部寛)に助けられたものの、野崎もろとも爆破の犯人にされてしまう。
乃木は、女医の柚木薫(二階堂ふみ)とともに逃亡し日本大使館に向かわんとするが、そこに逃げ切るまでがスリリングだ。
警察犬から逃れるため、3人が肥溜めに身を隠すシーンは、個人的に最もウケた。ことに、糞を顔に塗られるのを無言で拒絶する薫の表情が、アカデミー賞ぶりに素晴らしかった。
最後、彼らが大型装甲車に乗り、地元のパトカーを数十台もなぎ倒して日本大使館になだれこむシーンは圧巻。一本の映画を見ているかのようだった。
乃木は一見頼りなさそうだが、自分も気づいていない能力がある。時折現れる乃木の分身は半沢直樹のキャラのようでもあり、ふたりの関係性も興味深い。
以上の内容を見ると新保裕一のテイストがあるが、原作は「半沢直樹」などの演出でおなじみの、福澤克雄のオリジナルである。脚本は谷津弘幸(など)、音楽は千住明。出演者も、日曜劇場御用達の主役級がゾロゾロ。もう、名作の予感しかない。
問題は国内に戻るであろう第2話以降だが、この緊張感とワクワク感は最終回まで続くだろう。
昨今は安っぽいバラエティ番組が幅を利かし、私は嘆かわしく思っていた。しかし今回の日曜劇場の力の入れ方は半端ではない。この予算を供出したスポンサーも素晴らしい。
日本のドラマの底力をまざまざと見せつけてくれたTBSと制作スタッフに、最大級の賛辞を贈る。