第8図以下の指し手。▲5二歩△5六歩▲5一歩成△7一金▲5二と△6一桂▲6二竜△同金▲同と△7六歩▲7一銀△9二玉▲7二と△7七歩成▲同桂(投了図)
まで、121手で一公の勝ち。
私は▲5二歩と垂らした。5筋に歩を謝らなかった効果がここで出たと思った。とはいえこの歩は、先の「△7五歩▲同銀」で得た1歩。私にはあまりにも大きい1歩だった。
ここで上川香織女流二段は△6五歩と突く手もあったと思うが、△5六歩。この攻め合いなら、こちらが一手早いと思った。
▲5二とに上川女流二段は、「耐えがたきを耐え……」と△6一桂。これを▲同とと取っては笑われる。▲6二竜と潜って、勝ちを確信した。
以下、▲7七同桂まで私の勝ち。終局後、上川女流二段は、第3図からの△5五歩を「敗着」と断じた。これで飛角銀の進出路を止めたのがマズかったという。
私は、まずまずの将棋が指せたかな、という感じ。
四枚落ち氏は快勝したようで、二枚落ちに手直りして、2局目が始まった。私のほうもまだ時間があり、再戦である。
初手からの指し手。△3四歩▲7六歩△4四歩▲2六歩△3二飛▲4八銀△4二銀▲2五歩△3三角▲5六歩△6二玉▲6八玉△7二銀▲7八玉△7一玉▲5八金右△5二金左(第1図)
今度は交替して、上川女流二段の先手。でも上手なので、本局の表記は「△」とする。
上川女流二段は三間飛車。私は対石田流を指したいが、上川女流二段は石田流を指さない。それで、▲2五歩△3三角を決めた。
第1図以下の指し手。▲4六歩△8二玉▲3六歩△5四歩▲3七桂△2二飛▲4七銀△9四歩▲1六歩△9五歩(第2図)
今度は天守閣美濃を指してもいいが、時間が潤沢にないのと、上川女流二段が急戦を望んでいるようなので、▲4六歩から▲3六歩とした。
△9四歩には反対の歩を突いたが、ここはふつうに▲9六歩とお付き合いするのだった。
第2図以下の指し手。▲5五歩△同歩▲4五歩△4三銀▲4六銀△5六歩▲5五銀△4二飛(第3図)
私は▲5五歩と仕掛けた。いつもは左銀を5七に持っていってから指すのだが、いつも同じ将棋では面白くない。むろん、これでも指せるの確信を持っていた。
以下、▲5五銀と銀が中央に進出し、これは下手もまずまずではなかろうか。
だが△4二飛の迎え撃ちに、どう指すか分からなかった。
第3図以下の指し手。▲2四歩△同角▲6八金直△4五歩▲同桂△4四歩▲5四歩△4五歩▲2四飛△同歩▲7五角(第4図)
第3図から▲4四歩は、△同銀▲同銀△同角▲同角△同飛▲4五歩に△5四飛(参考図)で、△5七歩成を見られて悪いと思った。
そこで私はとりあえず▲2四歩としたが、△同角で△5七歩成を見られ、大変なお手伝いになってしまった。
私は▲6八金直だが、ここでも▲6八銀と上がるべき。いやこの3手は悪夢だった。
上川女流二段に△4五歩から△4四歩と冷静に桂を殺され、いよいよ苦しくなった私は、▲2四飛から▲7五角と強攻した。つまらぬ結果論だが、先の▲1六歩を▲9六歩に代えていたら、▲9七角という手が利いた。
本譜の進行は負けペースである。
第4図以下の指し手。△4一桂▲4二角成△同金▲2二飛△3二銀▲2四飛成△3八飛▲3四竜△3三桂▲2三歩△2一歩▲4四銀(第5図)
△4一桂が上川女流二段らしい手厚い受け。私の▲4二角成は気が利かないが、ほかに手もない。
▲2二飛に△3二銀も当然ながら好手で、陣形の低い上川陣はビクともしない。▲4四銀とは進出したが、冴えない攻めである。
第5図以下の指し手。△4六角▲4八歩△1九角成▲5三歩成△同金▲同銀成△同桂▲5四竜△5一香▲5六竜(第6図)
△4六角が厳しい。この将棋はどこまでいっても、△5六歩の存在が大きい。私は▲4八歩と竜筋を遮断したが、△1九角成で、また駒損が広がった。
私は▲5三歩成から銀を捌いたが、△5一香が下段の香の威力。どこまで行ってもつらい。
私は▲5六竜と、目障りな歩を除去したが……。
第6図以下の指し手。△5七歩▲同金直△6五桂▲5二歩△同香▲5三歩△5七桂成▲同竜△5三香▲同竜△5二歩(投了図)
まで、79手で上川女流二段の勝ち。
△5七歩から△6五桂の跳躍が気持ちいい。私は▲5三同竜まで最善を尽くしたが、△5二歩で、時間切迫もあり、投了した。
「時間があったら▲4二竜と入って、△4一金と打たせて、まだまだ粘るんでしょお?」
と上川女流二段は言ったが、それでも下手の負けであろう。
本局は雑な仕掛けに尽きる。中原誠十六世名人の将棋を勉強しないといけないと思った。
上川女流二段は絶妙に緩めてくれるので、ありがたい。先ほどの二枚落ちの男性も、「LPSAの先生は、優しく教えてくれるからありがたいです」と言った。その通りだと思う。また上川女流二段に教えてくれる日を楽しみにしたい。