2回戦の相手は、「リスタ将棋教室」。聞かないチーム名だが、初参加だろうか。こちらのスターティングメンバーは大将N氏。以下一公、山野、F、山本、木村会長、Akuの計7氏である。悪いがF氏には、四将に下がってもらった。
私の相手は青年で、駒を乱雑に並べる。これが曲者で、適当だから棋力が低いとも言い切れないのだ。
偶数先手で、私が先手になった。▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩に▲7七銀。5月の将棋ペンクラブ関東交流会からこっち、私は静かな矢倉党になっている。しかし相矢倉になるかどうかは別問題で、仮にそうなったとしても、相手が急戦で来たらせわしない将棋になる。私はじっくり指したいのだ。
だが相手は追随してきた。これはこれで不気味である。私は▲3七銀と上がり、棒銀と▲4六銀の両方を見る。けっきょく▲4六銀と上がり、▲3七桂と跳ねた。まさか令和の大会で、この形が指せるとは思わなかった。
第1図以下の指し手。△7五歩▲同歩△6五歩▲同歩△同桂▲6六銀△6四銀▲7四歩(第2図)
第1図から△7五歩と、後手から先に動かれてしまった。私は素直に応接するしかないが、△6四銀のあと、△7五銀と捌かれては面白くないので、私は▲7四歩と躱した。
次が問題の手だったと思う。
第2図以下の指し手。△7七歩▲同桂△同桂成▲同金寄△8六歩▲同歩△7五銀▲7三歩成△8一飛▲6三歩△8六銀▲8二歩(第3図)
第2図で△7七歩がどうだったか。1歩を損して桂交換しても、これといった見返りがない。△7七歩では△7二飛と寄り、次に△7四飛とすれば互角。難しい戦いが続いていたと思う。
後手氏は△8六歩と突き捨て△7五銀と捌きにきたが、▲7三歩成があまりにも大きい。以下▲6三歩~▲8二歩が実現し、これは私が必勝形になった。
第3図以下の指し手。△7七銀成▲同銀△7一飛▲7二歩△6一飛▲6二銀△5一飛▲同銀成△同角▲6二歩成△同角▲同と△同金▲6三歩△5二金▲8一飛△5一桂▲6四桂△4二金右▲6二歩成△3一玉▲5一飛成△2二玉▲5二と△7六歩▲同銀△6六銀▲2五桂△7七歩▲3三桂成△同金右▲7七金△同銀成▲同角△6七歩(第4図)
このあたりは説明の要もなく、私が優位を維持しながら指している。途中、▲6二歩成では▲8一飛だったかもしれないが、これでもよい。
△6七歩に、私は長考に沈んだ。
第4図以下の指し手。▲3一角△同金▲同竜△同玉▲4二銀△3二玉▲4一銀打△2二玉▲3三銀成△同玉▲3二金(投了図)
まで、一公の勝ち。
▲3一角以下は即詰み。青年は初心者だったらしく、感想戦は初手から始めた。そして第2図で私は、△7二飛を強調した。私もそんなに強くないが、△7二飛はここでの最善手と信じる。
以下の変化も披露すると、青年は、うんうん、と頷いた。そんなに気合を入れて聞かれても困るが、その姿勢は将棋上達の大きな糧になるだろう。
青年が「ありがとうございました」と言うので感想戦は終わりにしたが、青年はなおも検討を続けていた。彼は強くなると思う。
私は周りを見て回るが、さっきから感想戦にいろいろ口を出している人がいる。たぶん、リスタ将棋教室の講師だろう。
しかし成績は伴わず、将棋ペンクラブの6勝1敗で終わった。
この調子で3回戦である。相手は「将棋カフェコビン」。将棋ペンクラブの連中もお邪魔している将棋処だ。
スターティングメンバーは、N、一公、山野、F、山本、阿部、Aku。
私は後手になった。▲7六歩△3四歩▲6八飛。ここで△4四歩が一公流。ふつうに△8四歩だと角を換わられて、先手の作戦が通ってしまう。果たして先手氏は長考に沈んでしまった。
そこから私は時間的にも形勢にも有利に運んだのだが、そこからの構想がおかしく、不利になってしまう。
しかし図から先手氏の▲3五歩がどうだったか。以下△2四角▲3四歩△3五歩▲2六銀左△3四銀と進んで、ちょっと頑張る気になった。
以下も相当難しい戦いだったのだが、何とか勝った。しかしチームは3勝4敗で敗れ、私はガックリとなった。
最終4回戦は、「JP労組B」。前期の6部在籍チームで、今期最大の難敵だ。こちらのスターティングメンバーは、N、一公、山野、F、山本、阿部、木村会長。
奇数先手で、私はまたも後手となった。だが本局に限り、局面は先後逆で掲載する。
▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△3二銀▲6八玉に、私は△3三銀。またも相矢倉を狙ったのだ。
そこで先手氏は作戦を変え、中飛車に振ってきた。将棋ペンクラブ関東交流会の五段氏もそうだったが、居飛車は指しても相矢倉は好まないようだ。
相手氏の速攻に私が受け間違い、劣勢に陥る。しかし第1図ではチャンスが訪れていた。
第1図以下の指し手。▲6三歩△同金▲5五桂△5四金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲4三桂成△2二玉▲2八飛(第2図)
第1図から私は▲6三歩と打ったが、失着。待ったをしたくなった。
第1図では▲2四歩△同歩▲同飛だった。次に▲2三角があるので△2三歩だろうが、▲3四飛△3三歩▲6四飛で、金銀両取りがかかり、先手優勢。
本譜はもう、両取りがかからない。△2三歩に▲4三桂成はたまたま見つけた手だが、△同玉▲2三飛成△3三桂でも自信はなかった。
第2図以下の指し手。△6六歩▲5七金寄△3九角▲2六飛△5七角成▲同金△6七金(第3図)
△6六歩▲5七金寄に△3九角が痛打。ここで▲3八飛では未来がないので私は▲2六飛と浮いたが、そこで△7八歩成があるのに気づいた。▲7八同金は△5七角成なので▲同玉と取るしかないが、△5七角成▲同金△7七金▲6九玉△6七歩成(参考A図)の結果は、先手敗勢である。
このとき角角銀の持駒だが▲2三飛成と突撃しても、後手玉に詰みはない。
ところが本譜は△5七角成から△6七金(第3図)と来た。
これを▲同金△同歩成(仮想図)は先手受けなしだが、今度はこちらの持駒が「角角金銀」になるので、これは即詰みがありそうである。さっきまで負けを覚悟していたのに、何という急展開か。
△6七金を取るか、取るまいか。私は迷い、長考に入った。
(つづく)
私の相手は青年で、駒を乱雑に並べる。これが曲者で、適当だから棋力が低いとも言い切れないのだ。
偶数先手で、私が先手になった。▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩に▲7七銀。5月の将棋ペンクラブ関東交流会からこっち、私は静かな矢倉党になっている。しかし相矢倉になるかどうかは別問題で、仮にそうなったとしても、相手が急戦で来たらせわしない将棋になる。私はじっくり指したいのだ。
だが相手は追随してきた。これはこれで不気味である。私は▲3七銀と上がり、棒銀と▲4六銀の両方を見る。けっきょく▲4六銀と上がり、▲3七桂と跳ねた。まさか令和の大会で、この形が指せるとは思わなかった。
第1図以下の指し手。△7五歩▲同歩△6五歩▲同歩△同桂▲6六銀△6四銀▲7四歩(第2図)
第1図から△7五歩と、後手から先に動かれてしまった。私は素直に応接するしかないが、△6四銀のあと、△7五銀と捌かれては面白くないので、私は▲7四歩と躱した。
次が問題の手だったと思う。
第2図以下の指し手。△7七歩▲同桂△同桂成▲同金寄△8六歩▲同歩△7五銀▲7三歩成△8一飛▲6三歩△8六銀▲8二歩(第3図)
第2図で△7七歩がどうだったか。1歩を損して桂交換しても、これといった見返りがない。△7七歩では△7二飛と寄り、次に△7四飛とすれば互角。難しい戦いが続いていたと思う。
後手氏は△8六歩と突き捨て△7五銀と捌きにきたが、▲7三歩成があまりにも大きい。以下▲6三歩~▲8二歩が実現し、これは私が必勝形になった。
第3図以下の指し手。△7七銀成▲同銀△7一飛▲7二歩△6一飛▲6二銀△5一飛▲同銀成△同角▲6二歩成△同角▲同と△同金▲6三歩△5二金▲8一飛△5一桂▲6四桂△4二金右▲6二歩成△3一玉▲5一飛成△2二玉▲5二と△7六歩▲同銀△6六銀▲2五桂△7七歩▲3三桂成△同金右▲7七金△同銀成▲同角△6七歩(第4図)
このあたりは説明の要もなく、私が優位を維持しながら指している。途中、▲6二歩成では▲8一飛だったかもしれないが、これでもよい。
△6七歩に、私は長考に沈んだ。
第4図以下の指し手。▲3一角△同金▲同竜△同玉▲4二銀△3二玉▲4一銀打△2二玉▲3三銀成△同玉▲3二金(投了図)
まで、一公の勝ち。
▲3一角以下は即詰み。青年は初心者だったらしく、感想戦は初手から始めた。そして第2図で私は、△7二飛を強調した。私もそんなに強くないが、△7二飛はここでの最善手と信じる。
以下の変化も披露すると、青年は、うんうん、と頷いた。そんなに気合を入れて聞かれても困るが、その姿勢は将棋上達の大きな糧になるだろう。
青年が「ありがとうございました」と言うので感想戦は終わりにしたが、青年はなおも検討を続けていた。彼は強くなると思う。
私は周りを見て回るが、さっきから感想戦にいろいろ口を出している人がいる。たぶん、リスタ将棋教室の講師だろう。
しかし成績は伴わず、将棋ペンクラブの6勝1敗で終わった。
この調子で3回戦である。相手は「将棋カフェコビン」。将棋ペンクラブの連中もお邪魔している将棋処だ。
スターティングメンバーは、N、一公、山野、F、山本、阿部、Aku。
私は後手になった。▲7六歩△3四歩▲6八飛。ここで△4四歩が一公流。ふつうに△8四歩だと角を換わられて、先手の作戦が通ってしまう。果たして先手氏は長考に沈んでしまった。
そこから私は時間的にも形勢にも有利に運んだのだが、そこからの構想がおかしく、不利になってしまう。
しかし図から先手氏の▲3五歩がどうだったか。以下△2四角▲3四歩△3五歩▲2六銀左△3四銀と進んで、ちょっと頑張る気になった。
以下も相当難しい戦いだったのだが、何とか勝った。しかしチームは3勝4敗で敗れ、私はガックリとなった。
最終4回戦は、「JP労組B」。前期の6部在籍チームで、今期最大の難敵だ。こちらのスターティングメンバーは、N、一公、山野、F、山本、阿部、木村会長。
奇数先手で、私はまたも後手となった。だが本局に限り、局面は先後逆で掲載する。
▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲4八銀△3二銀▲6八玉に、私は△3三銀。またも相矢倉を狙ったのだ。
そこで先手氏は作戦を変え、中飛車に振ってきた。将棋ペンクラブ関東交流会の五段氏もそうだったが、居飛車は指しても相矢倉は好まないようだ。
相手氏の速攻に私が受け間違い、劣勢に陥る。しかし第1図ではチャンスが訪れていた。
第1図以下の指し手。▲6三歩△同金▲5五桂△5四金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲4三桂成△2二玉▲2八飛(第2図)
第1図から私は▲6三歩と打ったが、失着。待ったをしたくなった。
第1図では▲2四歩△同歩▲同飛だった。次に▲2三角があるので△2三歩だろうが、▲3四飛△3三歩▲6四飛で、金銀両取りがかかり、先手優勢。
本譜はもう、両取りがかからない。△2三歩に▲4三桂成はたまたま見つけた手だが、△同玉▲2三飛成△3三桂でも自信はなかった。
第2図以下の指し手。△6六歩▲5七金寄△3九角▲2六飛△5七角成▲同金△6七金(第3図)
△6六歩▲5七金寄に△3九角が痛打。ここで▲3八飛では未来がないので私は▲2六飛と浮いたが、そこで△7八歩成があるのに気づいた。▲7八同金は△5七角成なので▲同玉と取るしかないが、△5七角成▲同金△7七金▲6九玉△6七歩成(参考A図)の結果は、先手敗勢である。
このとき角角銀の持駒だが▲2三飛成と突撃しても、後手玉に詰みはない。
ところが本譜は△5七角成から△6七金(第3図)と来た。
これを▲同金△同歩成(仮想図)は先手受けなしだが、今度はこちらの持駒が「角角金銀」になるので、これは即詰みがありそうである。さっきまで負けを覚悟していたのに、何という急展開か。
△6七金を取るか、取るまいか。私は迷い、長考に入った。
(つづく)