一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第65期王位戦第5局・第1日目

2024-08-28 00:27:23 | 男性棋戦
伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦第5局が、27日より兵庫県・有馬温泉で始まった(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)。私は国内旅行が好きだが、温泉はそこまで熱心につからないので、有馬温泉に入った記憶はない。また、兵庫県に行くには鉄道が常道だが、現在はスカイマークが安価で兵庫県に通じているので、それを利用するのも手である。
さて、王位戦はここまで藤井聡太王位3勝、渡辺明九段1勝。ここまで渡辺九段がスコア以上に健闘しながら、この局はカド番になっている。裏を返せば、藤井王位の勝負強さがまざまざと出ている。
第5局は藤井王位の先手で、初手に飛車先の歩を突いた。渡辺九段は角道を開け、角道を止める。せめて豊島将之九段なら振り飛車も期待できるが、渡辺九段が振るはずもなく、雁木に落ち着いた。
そこで渡辺九段が大長考に沈む。なぜここで……?? 第3局の藤井王位の3時間10分の大長考もそうだったが、強者の長考ポイントはまったく分からない。
結局渡辺九段は1時間31分の考慮で7筋の歩を突いた。これも藤井王位の3時間10分の手と同じく、平凡な手だった。まあ、それはそうであろう。序盤でそんな奇抜な手は出ない。
対して藤井王位は、銀を出る「勝負手」。この手に、わずか8分しか使わなかった。これは3筋に歩を打たれる反撃があるので、私たちレヴェルではとても8分で指せない。だが藤井王位は、どの変化も対処できると読んでいる。いずれにしても、短考の決断も、藤井流といえる。
銀交換になったあと、渡辺九段は相手の歩頭に銀を打った。実はこの地点の銀は、私も女流棋士との指導対局で、何度か指している。一時的には駒損になるが、最終的にはどの変化も互角以上に指せた。
本局もそうで、藤井王位は銀打ちで受けた。渡辺九段は銀を成る。これを藤井王位が銀で取り返すと、千日手の懸念が生じる。そこで藤井王位は玉で取り返したわけだが、三段玉(ときには四段玉も)を苦にしないのも藤井流である。
渡辺九段が6筋の歩を伸ばし、ここで藤井王位が封じた。候補手は▲5六歩か。以下△4四角▲5五銀△同金▲同歩△同角▲5六金△4四角▲4五金なら、角が死んでいる。
まあそうはならないだろうが、でもほかの変化なら、どれも藤井王位が有利になるのではなかろうか。形勢は互角だが、藤井王位が指しよくなったように思われる。
(つづく)
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