一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第65期王位戦第4局・第2日目

2024-08-20 23:44:28 | 男性棋戦
伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦第4局(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)の2日目である。
渡辺明九段の封じ手は、やはり角を飛び出す手だった。素人目には当然の手に見えるから渡辺九段はその先を相当掘りこんだはずだが、読めば読むほど自陣が悪くなるので、指すに指せなかったのかもしれない。ここが、第3局の藤井聡太王位の大長考との差異である。
本譜、藤井王位は飛車を引き、その飛車を8筋に転回して角取り。この間、渡辺九段は銀を引いて角の逃げ場を作り、4八に引き揚げた。
控室ではこの手順の評判がよかったようだが、私は渡辺九段が退廃的な手を指したように見えて、あまり感心しなかった。
果たして、ここから藤井王位が総攻撃を仕掛ける。といっても、私でも指しそうな分かりやすい攻めで、これでいいなら見た目以上に形勢が離れているということだ。
必然の手順を経て、藤井王位は飛車を成りこむ。プロ的に見ればたぶん勝負ありで、渡辺九段も負けを覚悟しただろうが、主催者の手前、投げるわけにもいかない。ただ、ここまで藤井王位も熟考を続けたので、消費時間はいい勝負になっていた。
渡辺九段は銀を犠牲に、玉を右辺に逃げ込む。そして敵陣に角を打ちこんだ。しかしこの手はABEMA AIの第一候補ではなく、これでまた差が開いた。
藤井王位、中央に歩を打つ。これが最後の1歩で、いわゆる一歩千金。以下どう変化しても、藤井王位の勝ちになっている。最後はいつもながらの見事な寄せで、渡辺九段が投了した。
本局、第1局~第3局の鬱憤を晴らすような藤井王位の快勝劇で、矢倉中飛車から左銀がスルスル出てきて中央を制圧するさまは、1980年度・大内延介八段(当時)の「NHK将棋講座」を見るようだった。
対して渡辺九段は本局、先手なのに藤井王位の攻めを受けてばかりで、欲求不満の残る負けだったと思う。
これではとても、残り3局を渡辺九段が全勝するとは思えぬから、藤井王位の防衛は決まったといえる。
とはいえ、両雄の戦いはいつしか実戦集として編まれる。とすれば、一局でも多く実戦を掲載するためにも、第5局は渡辺九段が頑張らねばならない。第5局は27日、28日。
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