おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。
今は亡き気骨の作家、城山三郎氏の本の紹介です。
年末ぎりぎりの12月31日に読み終えた本です。
このブログで今まで城山氏の本は、次のとおり3回紹介しています。
2010年12月22日
本の紹介: 『そうか、もう君はいないのか』
http://blog.goo.ne.jp/iwai-humanguild/d/20101222
2009年10月10日
城山三郎を読む(2)『もう、きみには頼まない―石坂泰三の世界』
http://blog.goo.ne.jp/iwai-humanguild/d/20091010
2009年10月6日
城山三郎を読む(1)『官僚たちの夏』
http://blog.goo.ne.jp/iwai-humanguild/d/20091006
今回紹介する本は、経済学者でもあった城山氏が学者らしい緻密さで豊富な参考文献をもとに激動の昭和期に外務大臣、総理大臣を歴任した気骨の人、広田弘毅の伝記、『落日燃ゆ』(新潮文庫、660円)です。
この本をお勧めしたい理由は、次の3点です。
1.外務官僚だった広田弘毅が、時代に押し流されるようにして外務大臣になり、やがて総理大臣、退任後に再び外務大臣となって、統帥権干犯を盾に暴走する軍部に対して戦争阻止のためにいかにやり取りしたかが、事実をもとに迫っています。
・・・・・・第2次世界大戦に日本が突入した時代背景
2.それでいて、極東軍事裁判でA級戦犯として5人の軍人と共に唯一の文民でありながら絞首刑にされたいきさつが、広田弘毅を主人公として鮮明に明かされています。
・・・・・・極東軍事裁判の杜撰さ・強引さ
3.いくらでも自己弁護の機会があったにもかかわらず、自害した愛妻の後を追うように、生に執着することなく、たんたんと死に臨む広田弘毅の姿が伝わってきます。
・・・・・・気骨の人、広田弘毅の生き様
私は、明治以降の日本の歴史をもう一度ひも解いてみたい気持ちになりました。
<お目休めコーナー> 正月の自宅の花①