おはようございます。新宿区神楽坂で研修&カウンセリングの事業を営む ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
「優しさについて」シリーズの第4回目です。
1回目~3回目をご覧になっていない方は、まずはこれまでに目を通してください。
1回目 (1月6日)
2回目 (1月8日)
3回目 (1月9日)
今回は、ヒューマン・ギルドの2011年6月2日のメルマガ(「勇気の伝道」コラム 第13号) をもとにしています。
岩井俊憲の「愛と結婚についてのケース・スタディ」(12)
―「男の優しさ」についてのコメント
前回は、離婚したにも関わらず、頻繁に喫茶店で落ち合ったり、元夫が元妻の部屋を訪ねたりするケースでした。
元妻・典子は気分の変動が激しく、薬を大量に飲んだり、号泣したり、寂しさを訴えたりすることがあります。その度に元夫・優一は、花束を持って部屋を訪ねたり、相談に乗るために喫茶店に出向いたりしています。そればかりか、彼女の部屋が陰気だからと明るい色のカーテンに替えてやったり、地デジ対策用にとテレビを買い替えてやったりもしました。
このケースに対して、ヒューマン・ギルドのプレミアム会員の方々からさまざまな意見が寄せられました。かいつまんでお伝えします。
Tさん(女性):これは優しさというよりも「ご機嫌とり」に近いかも。(優一は)離婚した妻に執着する必要はない。あなたはいらないと言われたも同様できっぱりと腐れ縁を切るべき。(優一に)「目を覚ませ!!」と私は言ってしまうことだろう。妻の典子は、「自分に都合のいい男」として優一を利用しているだけ。自分の都合で自分から離婚を申し出たなら、自力でやりなはれ!
Hさん(女性):優一は、自分が必要とされることで「やっぱりなんだかんだ言って、あいつは俺がいなきゃだめなんだ」と満足している。それにより、典子に一方的に離婚を言い渡された優一のプライドは保たれる。典子は「黒か白か」「0か100か」の極端思考の持ち主。優一を利用しているという意識はないが、巧妙に優一を操作している。そんな優一の存在に、典子のプライドもまた保たれる。
ということで、持ちつ持たれつの関係かと考えます。
Kさん(男性):典子はいわゆる「成功」を自己理想としていて実際にそうなった。優一は「非主張的」な人。離婚を受け入れてしまうくらい。草食系。現代の女性、男性のある種の典型のように思えます。
喫茶店で会うのは典子さんから言い出しているのかな? 夫婦カウンセリングを受けるとても良いタイミング。
結婚観を2人で再構築したほうがいい。
さて、私の考えです。
優一は「アホ」だと思います(ちょっとキツイかな)。離婚した典子に援助的な姿勢を示せば示すほど、典子を依存的にさせ、そうしながらも自分自身の喜びを味わっているのです。
気分の変動が激しく、薬を大量に飲んだり、号泣したり、寂しさを訴えたりする典子を抱え込むことはできません。すぐにも精神科医かセラピスト(アドラー派の)に相談させるべきです。
典子も離婚したならば、物理的・経済的だけでなく心理的にも自立が求められるのです。これが生きる上での現実です。
メルマガでは上のように終わりましたが、その理論的背景について今は次の点を書き加えておきたいと思います。
優一は典子を甘やかしているのです。
甘やかしについて アドラー心理学ベーシック・コース では、親子関係、教師―児童・生徒関係を想定しながら次のように定義しています。
甘やかしとは
子ども自身に体験から学ぶ機会を与えないことで、子どもの自立心と責任感を損なう親や教師などの対応
優一は、典子に優しそうにふるまいながら、その実、典子の自立心と責任感を奪い続けていることになります。
このゲームを優一自身が気づいていないために私は、優一を「アホ」だと書いたのです。
皆さんはどう思いますか?
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<お目休めコーナー> 1月の草木(5)

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