アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。
アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

「怨念」をキーワードにして、長州藩の長期戦略を組織の運営と関連づけて謎解きのようにシリーズで書いていきます。

さて、毛利家の歴史に触れてみましょう。

毛利元就の時代に安芸・広島の8カ国、120.5万石まで領地を増やした毛利家は、「天下分け目の戦い」と言われた関ヶ原の合戦で元就の孫の毛利輝元が、西軍の総大将に祭り上げられたことで、領地が取り上げられかけ、旧領のうち、防長(周防・長門)2ヶ国36万石が毛利家の分家である吉川広家(関ヶ原の合戦で東軍の家康側に内通)に与えられることになります。

自分の恩賞よりも本家の取り潰しを恐れた広家は、この申し出を辞退し、周防・長門両国を毛利本家の領土とすることを願い出ます。このことによってすんでのところで長州藩は、取り潰しを免れたのですが、徳川幕府に対して怨念が残りました。

徳川幕府は毛利氏を危険視し、首都を瀬戸内海岸側に作らせず、交通の不便な日本海側の萩に追いやりました。

当時の萩は、あしやよしの生えた低湿地に過ぎず、ここに土を盛り上げて指月城(しづきじょう)を築き、田を埋めて市街を作りました。


(萩の城下町)

司馬遼太郎の『歴史を紀行する』(文春文庫)によれば、

持ち高を4分の1に減らされた毛利家は、家臣の人員を大量に整理しなければならなかったが、多くの者は無禄でも殿様についていくと泣き叫び、ついに収拾がつかなくなり、人がいいばかりの当時の当主 毛利輝元は幕府に泣訴し、

「とてもこの石高ではやってゆけませんから、城地もろとも放り出したい」

と言ったほどでした。

歴史を紀行する (文春文庫)
司馬 遼太郎
文芸春秋

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『歴史を紀行する』で司馬遼太郎は、別のページに次のように書いています。

徳川期の毛利家が破産状態で発足したことは、その後の日本史を知る上できわめて重要であると言っていい。


私の書きたかったことは、関ヶ原の合戦後の長州藩は、破産状態でリストラを余儀なくせざるを得なかった、という点です。

幕府の側からすれば、これは、歴史の皮肉ともいうべきことでしょうが、吉川広家の申し出を受け入れて、毛利家を存続させてしまったことで幕末期に死命を制せられてしまったのです。

以上を出発点とし、長州藩が幕末期までの長期戦略をどう展開したか、というところは、今後のお楽しみに。

組織運営に関してかなり参考になるヒントがあります。



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

H.オーグラー著『アドラー心理学入門』シリーズの第24回目。

第3部「個人心理学の実際的応用」第2章の「アドラーの治療法」です。

H.オーグラーによれば、アドラーは、実際に応用できる厳格な方法を制定せず、患者1人ひとりの事情に従って治療の技法を適用するよう配慮したようです。

それは意図的であって、相談者(注:カウンセラー/セラピストのこと)のライフ・スタイルが治療方法を決定する、というアドラーの考えに基づいています。

しかし、著者がアドラーから学んだことによれば、症例ごとに相談者は、次の4つの課題を遂行しなければならない、ということをアドラーは、大体の輪郭として示したようです。

1.患者との接触を確立しなければならない。

2.患者のライフ・スタイルの誤りをわからせなければならない。

3.患者を勇気づけなければならない。

4.患者の共同体感覚を発達させなければならない。


1.の「患者との接触」を確立することに関しては、守秘義務のほかに、権威的な態度でなく友人として協力することが書いていありますが、このことは、ドライカースによって「相互尊敬・相互信頼」の関係とされ、現代も踏襲されています。

観察者として、卓越したの能力を持っていたアドラーとその後継者たちの伝統では、下の能力を持っていなければなりません。

熟練した個人心理学者は、ライフ・スタイルを発見するのに何の困難も感じない。いや、時として、第1回の相談の間に発見することも彼/彼女にとっては可能である。彼/彼女は、患者が部屋に入ってくる様子、握手の仕方、視線、身ぶりなどから、患者が話し始める前にもうある結論を引き出すことができる。

3の「患者を勇気づけなければならない」ということについては、次のように書いています。

患者のライフ・スタイルを解明する一方で、我々は患者を勇気づけし始める。

どんな物事に患者がとりわけ関心を持っているかということを見つけ出した後で、我々は、この分野で自己を鍛錬するように患者を説き勧める。

この分野で何かを成し遂げるのに成功すると、患者は、より大きな自信を獲得し、次第に劣等感を克服する。

我々は、最初からむずかしい仕事に取り組まないように助言する。なぜなら、1つでも失敗すると、彼/彼女の気持ちを沈めてしまうだろうから。


アドラー以来の伝統として、治療に関して下記の2つの点を強調しておきます。

第1点は、アドラーの治癒イメージ、もう1つは、相談者(カウンセラー/セラピストのこと)の備えるべき資質です。

前者に関しては、アドラー派は、患者の症状がなくなっても治癒したとはみなさず、彼/彼女が自分の人生問題と取り組み、自らに責任を引き受けるときのみに、真の治癒を口にすることです。

後者に関しては、H.オーグラーは、次のように書いています。

相談者は、患者の特別な知識領域の議論に誘い込まれないようにすべきだとはいえ、患者の問題をよりよく理解するために、行き届いた教育と広い視野を持つべきである。

そして、アドラー自身が著者だけでなく周囲に深い印象を与えたことをこう書いています。

私は、彼(アドラー)が批判したり、叱責したりするのを聞いたことがない。彼は時々、ある状況をたった1つの言葉、たった1つの身ぶりで説明することができた。

人間性に関する彼の独自の理解は、最も複雑な性格や状況の洞察を可能にした。彼のすばらしいユーモアの感覚は、最も気の進まない患者たちの心をつかんだ。

人間知に満ち溢れた「人類の教師」らしいアドラーらしいところですね。


◎次回が最終回の「結言」となります。


<お目休めコーナー> 桜便り① ― 西戸山(新宿区)



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

昨晩(3月14日)9時からのフジ・テレビ「エチカの鏡」を観ました。

鳩山由紀夫首相夫人、幸さん、バラク・オバマ米大統領夫人、ミシェルさんのファースト・レディー2人の共通点がほめ上手であることから始まり、某コミュニケーション・コーチのホメ・セミナー ― そこでは「ホメ・ノック」も紹介されていました ― から、ホメ上手検定、さらにはメジャー・リーガーの松井秀喜選手のお父さんまで登場していましたが、何のことはない、夫や子どもの小手先の操作法であって、「勇気づけ」と比べると、皮相的な感じがしました。

私は、

ほめることは、勇気づけることとはまるで違う!

ということを力説しておきたいと思います。

特に、夫を操るような次の5つの言葉、言われる立場になってみると、「やめてくれ!」と言いたくなります。

それ、私はいいと思うな。

さすが男ね。

どうやったらあなたのようにできるの?

パパのこと(子どもが)好きって言ってたよ。

あなたに大切にされてとても幸せだわ。


ただ、ほめ上手の偉人としての吉田松陰、そして、最後に登場した久保田カヨ子さんというおばさんの、ほめることの基本は「うれしかったという気持ちを伝えること」という内容が含まれていたことは、この番組の救いでした。

やはり大事なのは、「勇気づけ」

下の本が決定版です。しっかり学んで、操作法でない勇気づけを広げよう!

勇気づけの心理学
岩井 俊憲
金子書房

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<お目休めコーナー> ご近所の小学校の紅梅




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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

1月26日、27日にカミさんと一緒に萩を旅したことは、以前にお伝えしました。 

1/27 萩・津和野の旅 ― 総集編 
http://blog.goo.ne.jp/iwai-humanguild/d/20100127

1/31 「満たす人」と「味わう人」 
http://blog.goo.ne.jp/iwai-humanguild/d/20100131

あれ以来、私が5-6度も行っていた萩のことがより鮮度を増して、ずっと私の頭の中に残っていました。

1つは、カミさんの視点が私と違っていて、私がそれまで見落としていた萩を拾い上げてくれたからです。

もう1つは、長州藩の幕末のエネルギーのルーツがいったいどこにあったのだろうか、と長らく自問自答しつつ、やっと最近になって自分の中で回答が出てきたからです。

司馬 遼太郎は、対談集『歴史を考える』(文春文庫)の中で綱淵謙錠との対談で、長州藩に触れて次のように語っています。

歴史を考える (文春文庫)
司馬 遼太郎
文藝春秋

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関ヶ原の恨みは忘れない。3百年間、東の方に足を向けて寝たと言われますが、証拠がありません。かといって、怨念は怨念です。

(一部略)

関ヶ原で防長2州(注:山口県)に閉じ込められて、ほとんどの武士が無給に近くなったんです。当時の殿様、毛利輝元は経営できないから、もう藩を投げ出すと言った。つまり藩を解散すると幕府に言いにいっています。

この間まで百石の者が2石ほどになってしまうし、30石だった者は無禄でしょう。だから、どこか山野を開墾して、何とか食っていかなきゃならない。そういう家族あげての生活の痛みが恨みになっていくわけですけれども(以下略)。


今後は、 「怨念」をキーワードにして、長州藩の長期戦略を組織の運営と関連づけて謎解きのようにシリーズで書いてみたい。



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

H.オーグラー著『アドラー心理学入門』シリーズの第23回目。

第3部「個人心理学の実際的応用」第1章の「教育」の2回目です。

前回は、H.オーグラーの有名な言葉を引用しました。

我々は、何としても、子どもが人生に対して敵意ある態度を身につけることを防がねばならない。そうした態度は、つねにその子どもの劣等感を深めることになるからである。


子どもに敵意ある態度(注:アドラーはこの表現をよく使っている)を身につけさせかねない親の対応としては、典型的なものとして次の点があげられます。

他者との比較、子どもへの非難、がみがみ言うこと、叱ること、戒めること、殴ること・・・・

これらの態度は、子どもの劣等感を深めることになる、と言うのです。


アドラーの心理学は、問題点だけ指摘して終わる理論ではありません。しっかりと「どうすれば?」に回答を与える心理学です。

H.オーグラーは、具体策の前に次のことを書いています。

我々は、もちろん、間違った行為や無作法な行為を無視してはならない。しかし、子どもの欠点を直すためにどなりつける必要はない。間接的に彼/彼女の誤りに注意を引く方が優っている。たとえば、「よし、お前はそれを今回はよくやったが、この次は、もっとずっとよくやるようにしなければね」と言いながら・・・・。

また、この項の最後に近い部分では、こんな書き方もしています。

どんな保護も、子どもが迷いの路へ入リ込むのを防ぐことはできない。唯一の手段は、子どもが積極的なライフ・スタイルを発達させるように自覚させ、権威的な養育を避けることである。自主的に考え、責任を引き受けることを学んだ子どもだけが、悪い影響に抵抗することができるだろう。


これからは、箇条書きで具体的な対応を書きます。今日でも使えるやり方がたくさんあります。

1.アドラーは、家族が全員集まっている食卓では、平和で、朗らかで、好意的な雰囲気 ― このような雰囲気の中では、子どもは世間をもっと別の目で見るようになれる ― がみなぎっていることが大切だ、と大いに強調した。とりわけ今日、我々の忙しい生活がかなりの程度に神経を緊張させているとき、家族の食卓は、元気回復のための集合場所でなければならない。

2.家族布置の中で子どもの位置がたいへん重要なので、両親は、子どもたちの間に競争の起きることを避けることは重要。最初に生まれた子どもは、第2子を競争相手とみなしがちなので、第1子には第2子の誕生に対する心の準備をさせることが大切。

3.ある子どもが他の子どもと集い合い、友だちになるということは重要である。遊びの中で、また、スポーツの中で、子どもはよいスポーツマンになることや、協力することを学ぶのである。

4.子どもたちは、幼い時に、規則に注意を払い、他人に思いやりを持つようにしつけられなければならない。

5.子どもたちに職業の準備をするためには、物事をやり遂げたときの快感を経験させるようにしなければならない。

6.小さな成功は、子どもたちに学業への興味を呼び起こし、彼らは、もっと進んで、もっと努力して、より大きな成功を得るために、その上の課業をやり遂げようとする。

7.思春期とは、子どもたちにとってさまざまな困難な問題をもたらす時期である。若い人が不安と疑惑に満たされ、あらゆるものがその心を揺さぶるように見えるこの移行期には、教育者は、頼みになる同志にならなければならない。

8.子どもが積極的な適応性、楽観主義、勇気、自信、および共同体感覚を示すとき、さらに協力し、貢献することを学んだとき、教育者は、本当に自分の仕事を成し遂げたことになるのである。

私見を述べれば、7.の「教育者は、頼みになる同志にならなければならない」という表現に引かれます。

次に、アドラー式子育ては、自由放任主義ではありません。4.にあるように、「規則を守り、他人に思いやりを持つようにしつけられなければならない」という点にご注目ください。

さらに、8.は、教育者が目標とすべきこととして伝わってきます。

ところで、この章の最後に、アドラーの講演に続く討議の間に、ある人が上のような「アドラー式の教育法で出発できるより先に社会的条件の方が変えれなければならない」と言ったことに対して、アドラーは、次のように答えたのだそうです。

社会的条件を改善することが望ましいのはもちろんだが、しかし、人間同士になるように育て上げられた人びとだけが社会的条件を変えようと務めるだろう

これは、「まずは、社会が/学校が変わらなければ・・・・」と、よく言われるここと関連していますね。

すると、1人の女性が立ち上がって言ったのだそうです。

「講演者(注:アドラーのこと)が言ったことは正しいです。私たちは、社会的条件をそんなに早く変えることはできません。でも、私は、私の子どもたちを育てる方法を変えることはできます。そして、私は、明日から始めるつもりです」

1人の女性の発言には、アドラー以上の迫力があります。子どもを現実に育てている人こそが一番早く変化に取り組むのです。
子どもを現実に育てている人は、日々切実さに直面し、変化に取り組む勇気を持っているのです。


<お目休めコーナー> 社会的条件に関わらず咲くユリの花



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

2月25日のブログ「新刊情報」でもお知らせの私の新著のタイトルが決まりました。

このことが話題の第1点。

もう1つは、月刊誌の『指導と評価』(社団法人日本図書文化協会)4月号に私の原稿「心の雨の日をどう過ごすか?」が掲載されました。

これが第2の話題です。


さて、話題の第1点の私の新著のタイトルですが、

勇気づけのリーダーシップ心理学

と決まりました。

学事出版から4月10日発行の『Principal』増刊号として、さらには4月末に単行本として発行されます。

カミさんと息子の協力を得て、3月8日に原稿をチェックし終わり、一昨日(3月10日)には「はしがき」、昨日には「あとがき」を書き終えました。

この本は、もともとは、2005年4月号から2007年3月号まで2年間、月刊『Principal』に24回にわたって書いた『リーダーのための心理学』に加筆し、修正を加えたもので、学校関係者だけでなく、一般の方でも読んで活用できるように書きました。

その辺の事情を「はしがき」にこんなふうに書きました。

学校のためだけに役立つ理論ではありません。あくまでも、ルーツが『Principal』であるため、主に校長を意識して書きましたが、学校関係者だけでなく、分野を問わず、リーダーシップを学びたい人のために有益なヒントをたくさん盛り込んでいます。

次に、この本では、管理者だけでなく、人と関わり、人に影響力を発揮する人に役立つ理論と実践法をコンパクトにまとめています。そのことは、著者の「リーダーシップとは、目標達成に向けて影響力を行使すること」という、リーダーシップの定義で明らかです。

私のリーダーシップに寄せる思いは、次のとおりです。

独裁的なリーダーシップよりも民主的なリーダーシップを、競争を煽るリーダーシップよりも協力に向かうリーダーシップを、恐怖に基づくリーダーシップよりも信頼をベースとするリーダーシップを。

全4章のうち第3章の「勇気づけのリーダーシップ」は、他の本とも少し重なった部分がありますが、他の3つの章はオリジナルです。

特に、第3章の「モチベーションの心理学」の部分では、モチベーションのステップを次のように書いています。

ビジョンを描く
   ↓
目標を設定する
   ↓
勇気づける
   ↓
断行する
   ↓
結果をチェックする
   ↓
教訓を生かす


「あとがき」にも書きましたが、この本のおおまなか流れは、下記のとおりです。

この『勇気づけのリーダーシップ心理学』の大きな流れは、リーダーシップを理解し、モチベーションの仕組みを作り、勇気づけのリーダーシップで組織を運営し、そのためのノウハウを身につけることでした。


5月1日・2日(土日)開催の「アドラー心理学リーダー共育塾」までにはヒューマン・ギルドに入庫しています。

是非、お求めください。




次は、第2の話題の月刊誌の『指導と評価』4月号に私の原稿「心の雨の日をどう過ごすか?」が掲載された件です。


(2ページの左側半分のみ)

もともとは、図書文化社の村主典英社長に『心の雨の日の過ごし方』(PHP研究所、1,300円+税)を贈呈したところ、「書評で紹介するのもいいですが、ご自分で『指導と教育』誌に本のエッセンスをお書きになりませんか」と勧められ、『心の雨の日の過ごし方』の執筆の背景などを私自身が書いたものです。

心の雨の日の過ごし方
岩井 俊憲
PHP研究所

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なお、この文章の最後の部分は、次のように結んでいます。

私たちが何年生きるのかはもちろん、私たちの顔の美しさ、人生における困難な瞬間、世界の後ろ向きの空気を自分で変えることができませんが、総じて自分の心構えは、自分で変えて、しかるべき対応ができるのです。

教育関係者こそが、世界の後ろ向きの空気の中で、人々の心構えを変え、勇気を与えられる存在であることを肝に銘じようではありませんか

村主さん、ご厚意ありがとうございました。



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

昨日(3月10日)、クレアボヤント(透視)ヒーラー&レイキヒーラーのAriel Ayaさんがヒューマン・ギルドに出没しました。

この人は、「お越しになりました」というよりは、「出没しました」のほうがなじみやすい感じがします(失礼!)。

Ariel Ayaさんは、「ブログのお目休めコーナー用に」と、わざわざ庭のお花を摘んで持ってきてくれました。

私が「お花の写真を!」と言って、花の写真を撮ろうとしたら、「ツーショットで」と、この写真になりました。



デレーッとした顔になった私であります。

彼女のクレアボヤント(透視)の能力は、中学生の頃から目覚めていたようです。「見えてしまうんです」と言う彼女。

「私のは」と言うと、「やはりこれはお金をいただきませんと」と、ニッコリしながら微笑む彼女。

Ariel Ayaさんとのご縁は、この1月のアドラー心理学ベーシック・コースを彼女が受講生として参加してくれたのがキッカケでした。

これは、知る人ぞ知るですが、3日目の晩の懇親会がすごかった。彼女が主役、私はプロデューサー役(何のことやらわからないでしょう)。

この時の模様は、彼女の1月25日付けのブログ「アドラー心理学を学ぶ」を。

http://blog.goo.ne.jp/iwai-humanguild/d/20100124 も参照

Ariel Ayaさんは、ヒューマン・ギルドの会員にもなってくれ、4月のSMILE集中コースにもお申し込み。

クレアボヤンス(透視)にもアドラー心理学の勇気づけを生かすのだとか。


<お目休めコーナー> Ariel Ayaさんご持参・ご手製の花



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

H.オーグラー著『アドラー心理学入門』シリーズの第22回目。

今日からは、第3部「個人心理学の実際的応用」に入り、今回は第1章の「教育」(全部で32ページ)の、その1回目です。

まずは、アドラー心理学(この本では「個人心理学」)では、他の心理学とは違って実践(教育と治療)に重きが置かれていることが説かれます。

続いてH.オーグラーは、その点に関してアドラーに次の賛辞を贈ります。

彼(アドラー)は、人間の動機と努力のもつれ合った道を明るく照らし、闇に光をもたらした。

彼は、実践上の教えをこの知識 ― どうすれば我々は我々自身および我々の子どもたちのために誤った道を避けることができるか、またどうすれば我々は誤った道から積極的な人間性の道へ立ち戻ることができるかという知識 ― に基づいて説いた。

人びとのために実際的な援助を提供しようと努力して、彼は、新しい教育学、つまり治療教育学と心理療法を創り出した。

そして、ライフ・スタイルの形成に関して、遺伝的要因よりも、いわゆる自己決定性を重視するアドラーの考えを次のように記述しています。

子どもは、出来上がった性格特性を持って生まれてくるのではなくて、生得の能力を自分自身の創造力で発達させるのだ、という事実に関するアドラーの知識は、教育に新しい可能性を提供するものである。

個人心理学的教育の課題は、子どもを導いて、好ましい性格形成に必要な諸能力を発達させ、人生問題の正しく勇気ある解決に向けて備えさせることである。

別のところでは、親や教師のように子どもの教育に携わる人は、他人を正しく教育するための先行条件として「自己教育」を行い、また、理想的な教育者は、理解、慈愛、明朗さ、信頼性、忍耐力、とりわけ楽観主義を備え、子どもを、そもそも初めから、子ども自身の人生問題と取り組めるよう、次第に準備させなければならないことにも言及しています。

さらには、今までに述べた甘やかしや無視を回避して次の対応をすることを促します。

ちなみに、引用する言葉は、著者の有名な言葉で「愛と勇気づけの親子間関係セミナー(SMILE)」にもその前半部分を引用しています。

我々は、何としても、子どもが人生に対して敵意ある態度を身につけることを防がねばならない。そうした態度は、つねにその子どもの劣等感を深めることになるからである。

我々は、子どもを冷ややかに他人と比較してはならない。また、無器用だと言って冷やかしたり、笑ったり、あるいは非難したりしてはならない。無器用さは、勇気づけと訓練で直せることである。

ここでもまた最後には、楽観主義に基づき、勇気づけの対応が述べられています。
アドラー心理学らしいところですね。
 



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

久しぶりの「読む顔写真」、今回はその10人目、株式会社 ホロス人材開発研究所の代表取締役社長 高畑吉宏さんの巻。

昨日(3月8日)、私は、高畑さんのオフィスをお尋ねし、午後の1時間ほど今度5月17日(月)にヒューマン・ギルドを会場として行うマネジメント・カウンセリング懇話会主催の勉強会(後述)で講師としてお招きする打ち合わせと他の話をしてきました。

高畑さんは、私にとって大事な古い友人です。


私が高畑さんと初めてお目にかかったのは、彼が学校法人 トラベルジャーナル学園(当時は森谷学園)に在職中だった24年ほど前のことだったでしょうか。

高畑さんは、その頃毎月開催のビジネスマンの勉強会を主宰していて、私はそこでお話しをさせていただいたこともありました。

やがて高畑さんは独立、㈱現代教育技法研究所(やがてホロス人材開発研究所と名称変更)を設立。
一時期以前のヒューマン・ギルドの事務所に1年間ほど間借りしていたことがあります。

そんなご縁で、ヒューマン・ギルドの会員歴は、20年を超えます。


高畑さんは、中央大学法学部法律学科卒業後、明治大学大学院修士課程で産業心理学を学ばれた異色の人で、人脈が豊富なだけでなく、論理的な思考力にも長けています。

思い出すのは、ある会社で行われたディベート研修で彼のチームと優勝を争ったこともありました。

また、専門学校を主対象とした「授業運営技法」の研修の開拓者にもなって、私を講師としてこの分野での機会を与えてくれました。

このことがきっかけで、私は5,000人に近い教師(大学教授、専門学校、小学・中学・高等学校教師など)を対象とした研修を行うことになったのです。


高畑さんは、メンタルヘルス、ライフプラン、ホスピタリティマインドの研修などを行い、著書に『ホスピタリティマインド』(成甲書房、1.400円+税)などがあります。

ホスピタリティマインド
高畑 吉宏
成甲書房

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高畑さんは、ホリスティック医学にも造詣が深く、通信教育の講座を受け持っていたこともありました。


その高畑さん、本人曰く、3年以上うつ状態で、慢性疲労気味の身体症状苦しんでいたとのこと。

その間に高畑さんは、人間味を深めていたようです。
古神道の研究に従事されていました。

私は、高畑さんのその領域に注目、5月に行う中小企業診断士の勉強会、マネジメント・カウンセリング懇話会(私が代表者)に講師依頼をしたわけです。

この講演、一般公開もします。
ご興味のある方は、是非ご参加ください。
日本に脈々と伝わる神道について、私たちは無知でありすぎます。

講座を終わってからは、高畑さんを囲んで懇親会を行います。


タイトル:『古神道のとらえ方とその行法の実際』

今、さまざまな角度から「無縁化」が話題になっていますが、 健康的な人生を送っていくためには、心身の健康はもとより、霊的にも健康であること、お互いの絆の構築が求められます日本人としての霊性を古神道をもとに紹介してみたい(高畑さんによる紹介文)。

日時:5月17日(月)18:45-20:30

場所:ヒューマン・ギルド研修室

料金:500円(税・資料込み)の破格受講料


<お目休めコーナー>石灯篭と梅

 



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

第7期ELM「勇気づけリーダー・トレーナー養成講座」の再受講にいらっしゃった菅野清孝さん(上の写真)が副園長を務める

なかよしこども幼稚園・保育園
(学校法人 友遊学園、横浜市泉区和泉町1703-1)

では、アドラー心理学に基づく徹底的な

勇気づけ保育

が行われています。


パンフレットをご覧ください。

勇気づけ、勇気づけ勇気づけ

です。

PTA活動は、「子育ては自分育て」のスローガンのもと、5月から翌年3月まで徹底的な親教育を実践し、その中には、ELM(勇気づけ勉強会)が組み込まれています。

修了すると、下のような「ひよこ修了証」が贈呈されます。

この文章が感動的です。読みにくいかもしれませんので、その一部を書きますね。

時々、お母さんである“自分”に言って下さい。

「お母さん、あなたは母として能力があります」

「考えてばかりいないで行動してみましょう」

「間違いから学ぶことが大切です。試行錯誤はOKです」

「ムリせず自分のペースでやりましょう」

「まわりの人たちと協力できる自分でいましょう」


アドラー心理学に基づく勇気づけ保育は、着実に広がっています。

ヒューマン・ギルドのニュースレター(2月号)でもご案内の

にっこりハウス
(児島 史篤園長、東京都江戸川区東小岩)

も昨年11月に念願叶って東京都認証保育所になり、アドラー心理学に基づく勇気づけ保育が行われています。


<お目休めコーナー> ちんちょうげ



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

昨日、第7期ELM「勇気づけリーダー・トレーナー養成講座」が開講しました。

リーダーは、鈴木三穂子さん米山秀樹さん

このプログラムの開発者4人のうちの2人です。

定員12名のところ参加者は、11名(1名再受講)。

遠くは、北海道、宮城、新潟からもご参加。

受講者は、完璧に作られたマニュアルともとに、2回リーダー体験をします。

講座が終わってからは、香港酒家に移動。懇親会で盛り上がりました。

この講座を修了すると、すぐELM勇気づけリーダーとしてELM勇気づけ勉強会だけでなく、ELM勇気づけリーダー養成講座を展開できるようになります。

クリックすると新しいウィンドウで開きます
(ELMは、楡の木のことです)

なお、「勇気づけリーダー開発チーム」のことについては、下記のブログをご参照ください。

2008年7月13日 「読む顔写真(6)『勇気づけリーダー養成講座』開発プロジェクト・チーム・メンバー」

2008年9月16日 「我ら『勇気づけ』ゴレンジャー」

2008年9月28日 「第1回『勇気づけリーダー養成講座』」


続くリーダー養成講座は「SMILEリーダー養成講座」で、次の概要で行います。

■日時:3/20.21.22(土・日・月祝)
 1日、2日目は10:00-18:30、3日目のみ10:00-17:00 

■講師:岩井俊憲

■会場:ヒューマン・ギルド

こちらは、あと2名で定員一杯になります。お早めにお申し込みください。


<お目休めコーナー> 我が家の窓辺



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

H.オーグラー著『アドラー心理学入門』シリーズの第21回目になります。

今回は、「人生問題の誤った解決」としての問題児、犯罪、神経症、男性的抗議、売春、同性愛に関するアドラーの見解、サディズム、マゾヒズム、フェティシズムのうちの男性的抗議(masculine protest)について、です。

売春、同性愛に関するアドラーの見解、サディズム、マゾヒズム、フェティシズムについては、割愛しますから「人生問題の誤った解決」の最終回になります。

男性的抗議に関しては、アドラーの主要概念ですが、後継者たちは、ほとんど言及しなくなってしまいましたので、本文ではたった4ページですが、ここでは丁寧に書いてみます。

H.オーグラー著『アドラー心理学入門』の訳者、西川好夫氏は、男性的抗議について次のように用語解説をしています。

女性が劣等感を克服しようとして男らしく振る舞う傾向を言う。

ふつう、女性の役割の拒否というかたちで示され、男装したり、飲酒、喫煙したりするほか、時には、器質的原因なしに月経障害を来たす場合もある。

また、いわゆる「神経性食欲不振」の陰に男性的抗議が隠されていることもある、と言う。

また、男性がことさら男らしさを強調した振る舞いをする場合にも用いられる。

いずれにせよ、アドラーによれば、これは人生問題の誤った解決の仕方ということになる。


これからは、H.オーグラー著『アドラー心理学入門』の本文の記述に沿ってみましょう。

アドラーは、「断固として男性的であること」の男性的抗議を人生問題のきわめて特殊な、誤った解決の仕方として受け止めています。また、この抗議は、女性はもちろん、男性にも見られる、としています。

少女は、この男性的抗議は、女性の役割の拒否というかたちで示され、男の子の服を着て、男の子のように振る舞うことを好みます。

ただし、男性的抗議のワーク・タスクでプラス面もあります。それは、男性と同等であろうと努力する中で、職業において素晴らしい業績を上げることがあります。

しかし、ラブ・タスクで問題があります。

恋愛問題を正しく解決できないことがあるのです。

この本では、子どものころから母親が女の子の自分を欲しくなかったということを知り、男性的抗議を表していた1人の若い少女のケースが紹介されています。

彼女は、恋人をぜんぜん愛していなくて、自分でも不幸に感じて、次々と恋愛事件を起こしていたのです。

アドラーは、彼女を女性的役割と和解させることに成功し、彼女を治した

と書いているのですが、おそらく彼女を勇気づけて、彼女の自己肯定感を高めたのでしょう。

 
<お目休めコーナー> ご近所で③



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ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

私は、比較的早起きな人間で、朝起きると、パソコンを立ち上げ、メール・チェック、mixiの他にインターネットの「お気に入り」に目を通し、新聞も比較的じっくり読みます。

ラジオは、TBSの「森本毅郎スタンバイ」が欠かせません。このうち新聞とラジオは、朝食を摂りながら、ですが。

ところで、インターネットの「お気に入り」で世相を読み取るのにお勧めなのが、次の3つです。


大前研一の「ニュースの見方が勝ち方を決める!」 
http://blog.goo.ne.jp/ohmaelive

Y caster 2.0 伊藤洋一公式サイト
http://arfaetha.jp/ycaster/

Diamond Online  
http://diamond.jp/  メルマガ(mail-info@diamond.co.jp)をもとに


特に今日面白かったのは、Diamond Online で、3つとも政治ネタでした。

1.【NEWS MAKER】◆渡部恒三・前民主党最高顧問インタビュー「政権交代だけでは変わらない。民主と自民の垣根を超えて、新たな“第一極”を目指せ」
  http://diamond.jp/series/newsmaker/10027/

2.【おすすめ関連記事】◆渡辺喜美・みんなの党代表が提言! 「民主党政権のステルス司令塔は財務省。 公務員制度改革で官邸政治を取り戻せ」
  http://diamond.jp/series/newsmaker/10023/

3.【おすすめ関連記事】◆杉並区長 山田 宏 緊急インタビュー 「民主党政権は行き詰まる。 受け皿は我々だ」
  http://diamond.jp/series/newsmaker/10020/


3人の中で特に渡部恒三氏は、

「まずやるべきは、国会議員の定数削減だ。衆議院議員は比例代表制を廃止して300人程度へ、参議院議員は100人程度へ減らし、より民意を反映した政治家が国政に携わるようにすべきだろう」

と述べています。

この時代に「事業仕分け」の前に「国会議員の定数削減」こそが論議されるべきだと、渡部氏に同感の私であります。

皆さんは、いかが思われますか?


<お目休めコーナー> ご近所で②




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ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

H.オーグラー著『アドラー心理学入門』シリーズの第20回目。

今回は、「人生問題の誤った解決」として神経症をテーマにします。

H.オーグラーはこの項の最初に、アドラーの神経症に関するスタンスについて言及しています。

アドラーは、神経症の本質と起源に関する知識は、医者だけに限定せず、できるだけ広く拡大されるべきだと考えていました。
そうしていると、教育者が神経症の最初の兆候に気づいて、重篤な障害を防ぐための予防策を取る適切な時機を知ることができるからです。

著者は、母に死なれた38歳の女性の神経症のケースを取り上げます。

彼女は、母を失ってから胃の具合が悪いと訴え始め、医師の食事と薬による治療を受けますが、病状はよくなってもつかの間。つねに病気が再発します。

彼女は、アドラーのところに相談に行きました。アドラーは、彼女に次のことを説明しました。

・彼女は、極端に甘やかされた人であること

・自分を最大限に甘やかしてくれた人の喪失に耐えられないでいること

・彼女は、(誰かに)甘やかされ続けることを望んでいること

・彼女の病気は、夫がもっともっと自分を甘やかしてくれることを目指していること

彼女は、アドラーのこの解釈をもとに自覚したとき、彼女の胃の病気は消え失せ、食事や薬に悩むことはなくなり、健康を取り戻しました。

アドラーによれば、

神経症は、脅かされた威信を保護するために、あるショック体験を利用すること

です(『人生の意味』、邦訳は『生きる意味を求めて』アルテ)。

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アドラーは、「神経症は何を目指しているか?」の問いに対して

ある人が神経症になると、その人は、解決する自信のない問題を「私は神経症ですから」ということで、未解決のままにしておくことができるのだ

と答えます(『神経症の諸問題』、邦訳は『人はなぜ神経症になるのか』春秋社)。

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著者はさらに、神経症者が「はいーしかし(yes-but)」の「煮え切らない態度」を示すこと、さらには「神経症者は、魔女の輪の中にあって独力では出口を見つけられないでいる」という、アドラーの比喩(意見)も示しています。

ところで、著者は、ウィーンでアドラーが行った神経症に関する講演会の内容で面白いことを書いています。

・思考型の人びとは、(そうでない人よりも)強迫神経症になりやすい。

・感情型は、不安神経症になりがち


これからがアドラー心理学らしいところです。解説だけで終わらず、必ず打開策を提示しています。

この項の最後を飾る文章なので、そのまま引用します。

アドラーは、神経症者を、暗い部屋の中に捕らわれていて、出口を見つけることができない人びとになぞらえている。

個人心理学は、その部屋を光で照らして出口が見えるようにし、彼らが現実の世界、すなわち、挫折もある世界、他の人びとが平等の価値と生きる権利を持つ世界、取ると共に与えることもしなければ生きてゆけない世界、他の人びとと共に働き、共に悩み、また共に愛し合う世界へ歩み入るように勇気づけるのである。

簡潔に補足すると、やはり共同体感覚に向けての勇気づけが打開策なのです。


<お目休めコーナー> ご近所で①

 



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ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

H.オーグラー著『アドラー心理学入門』シリーズの第19回目です。

今回は、「人生問題の誤った解決」としての問題児、犯罪、神経症、男性的抗議、売春、同性愛に関するアドラーの見解、サディズム、マゾヒズム、フェティシズムのうちの犯罪について、です。

著者のH.オーグラーは、犯罪に関して21ページを割いていますが、このブログでは、できるだけ簡素化してそのポイントを3つにしてお伝えします。

まずは、アドラーの犯罪者に関する見解はいかがか?

著者は、アドラーが一般に信じられていた他の心理学者の見解を拒否し、彼なりに新しい考えに基づいた新しい方法を研究したことを指摘しています。

他の心理学者の見解とは、

人間は、器官の欠陥ゆえに、環境の諸条件のゆえに、遺伝のゆえに犯罪者になる

という見解です。

アドラーは、器官の欠陥、環境の諸条件、遺伝の重要性などがライフ・スタイルに好ましくない影響を与えることを認めながらも、犯罪者には、次のような共通性があること研究したのです。

それは、

犯罪者はみな、共同体感覚が欠けている

ということで、だからこそ、

1.共同体感覚を前提とするその他の人生問題もまた、誤って解決されるだろうことが予期される

2.他人に対する犯罪者の関心は、ふつうごく小範囲の人びとに―主として彼らの仲間―に制限されることも事実


さらに著者は、犯罪者は、実際には臆病で気が弱く、真っ直ぐな道をたどる勇気がなくて、その代わりに曲がりくねった道、目標への暗い小路を選ぶことを指摘しています。


第2に、どんな種類の人びとが犯罪者になる傾向があるか?

著者は、犯罪者のパーソナリティを観察すると、ライフ・スタイルは本来、多様性があってもしかるべきなのに、

彼らには、共同体感覚が児童初期に目覚めさせられなかった

という共通した特徴があることを述べ、犯罪者の人生をその児童初期へ遡って跡づけると、劣等コンプレックスの諸源泉 ― 器官劣等性甘やかし無視 ― のどれか1つを発見する、としています。

犯罪者のライフ・スタイルは、彼らの努力目標を見ると最もはっきりします。

アドラーの研究では、次のように結論づけられています。

犯罪者の努力目標は、個人的優越性の欲求である。

そのような欲求を持つ犯罪者は、

征服者になること、それも、自分が臆病だから弱者の征服者になることを自らの目標として設定する

と説くのです。

ここで著者は、アドラーが力説している言葉を残してもいます。

勇気と共同体感覚とは、いつも密接につながっている。


第3に、犯罪は、予防できるか?

論評だけしていても仕方がありません。肝心なことは、「犯罪が予防できるかどうか?」です。

アドラーは、この問いに YES と答えます。

アドラーは、

正しい養育と適切な教育とがあれば、人びとが犯罪者になることを防ぎうる

という絶対の確信を持っています。

再犯に関しても、犯罪者のライフ・スタイルを変える正しい方法が用いられるならば防止できるとしています。

さすが勇気と希望を与えるアドラー心理学だと思いませんか?


次回は、神経症をテーマにします。

ここで、全体の約2/3です。長い間のご精読に感謝申し上げます。

以後も変わらずよろしくお願いします。


<お目休めコーナー> 新井五行堂の立ち雛


 



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