ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。
著者、天外 伺朗氏が主宰するホロトロピック・ネットワークの事務局長、早川 英子さんから贈呈を受け、早速読んだのがこの『「悩み」 溶かすか、戦うか!?』です。
早川さん、いつもありがとうございます。
著者は、「プロローグ」でこう述べています。
悩みは外側の状況と、ほとんど関係がないのです。
人は、何らかの出来事が起きたせいで悩んでしまうのではありません。悩みとは、悩んでいる人の心の中にこそ、存在しているのです。
また、「プロローグ」の別の箇所では、「プラス思考をしなければならない」と頭で考えていると、自己卑下に落ち込む悪循環を警告して、次のように警告を発しています。
悲観的になっている自分に気づいたら、無理やりプラス思考しようとするのはやめた方がいいでしょう。大切なのは、「いま自分はマイナス思考をしているな」ということに気づいて、自分をあたたかく見守ってあげることなのです。
この考えに私も大賛成です。まさに「自己卑下に落ち込む悪循環」です。
著者は、続いて次のように述べています。
本当のプラス思考とは、マイナス思考をしている自分を丸ごと認めるところから始まるのです。
「エピローグ」最後では、次のように結んでいます。
幸福とは、ふつう考えられているように、それに向かって突進して奪い取るべきものではありません。
ただ「幸福になろう」と肩肘を張るのをやめたときに、ふと感じられるものなのです。
さて、「プロローグ」と「エピローグ」との間には、次のような展開があります。4つに簡素化してまとめてみます。
1.すべての悩みの根源には、「自分は宇宙から切り離されたひとりぼっちの存在だ」という、著者のいわゆる「セパレーション(分離)感覚」がある。
2.私たちは、母親の胎内にいたとき、母親とへその緒を通してつながっていた。同じように宇宙の胎内と一体になること ― そのことを著者は「宇宙の根っこにつながる」と言う ― こそがセパレーション感覚から自由になる道である。
3.悩みは敵ではなく、私たちのセパレーション感覚を気づかせ、全体性という宇宙に向かう、聖なる旅に誘ってくれるもの、癒しの道しるべ。
4.自分と人とを比べ、競争していく生き方は、セパレーション感覚を増大させる方向に働く。
この本を読んでの、アドラー心理学と関連づけた私の感想は、共同体感覚を別の視点から学べたようで、とても参考になった、ということでしょうか。
「セパレーション感覚」が重要なキーワードになりました。
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