おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。
H.オーグラー著『アドラー心理学入門』シリーズの第21回目になります。
今回は、「人生問題の誤った解決」としての問題児、犯罪、神経症、男性的抗議、売春、同性愛に関するアドラーの見解、サディズム、マゾヒズム、フェティシズムのうちの男性的抗議(masculine protest)について、です。
売春、同性愛に関するアドラーの見解、サディズム、マゾヒズム、フェティシズムについては、割愛しますから「人生問題の誤った解決」の最終回になります。
男性的抗議に関しては、アドラーの主要概念ですが、後継者たちは、ほとんど言及しなくなってしまいましたので、本文ではたった4ページですが、ここでは丁寧に書いてみます。
H.オーグラー著『アドラー心理学入門』の訳者、西川好夫氏は、男性的抗議について次のように用語解説をしています。
女性が劣等感を克服しようとして男らしく振る舞う傾向を言う。
ふつう、女性の役割の拒否というかたちで示され、男装したり、飲酒、喫煙したりするほか、時には、器質的原因なしに月経障害を来たす場合もある。
また、いわゆる「神経性食欲不振」の陰に男性的抗議が隠されていることもある、と言う。
また、男性がことさら男らしさを強調した振る舞いをする場合にも用いられる。
いずれにせよ、アドラーによれば、これは人生問題の誤った解決の仕方ということになる。
これからは、H.オーグラー著『アドラー心理学入門』の本文の記述に沿ってみましょう。
アドラーは、「断固として男性的であること」の男性的抗議を人生問題のきわめて特殊な、誤った解決の仕方として受け止めています。また、この抗議は、女性はもちろん、男性にも見られる、としています。
少女は、この男性的抗議は、女性の役割の拒否というかたちで示され、男の子の服を着て、男の子のように振る舞うことを好みます。
ただし、男性的抗議のワーク・タスクでプラス面もあります。それは、男性と同等であろうと努力する中で、職業において素晴らしい業績を上げることがあります。
しかし、ラブ・タスクで問題があります。
恋愛問題を正しく解決できないことがあるのです。
この本では、子どものころから母親が女の子の自分を欲しくなかったということを知り、男性的抗議を表していた1人の若い少女のケースが紹介されています。
彼女は、恋人をぜんぜん愛していなくて、自分でも不幸に感じて、次々と恋愛事件を起こしていたのです。
アドラーは、彼女を女性的役割と和解させることに成功し、彼女を治した
と書いているのですが、おそらく彼女を勇気づけて、彼女の自己肯定感を高めたのでしょう。
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