○上横手雅敬『日本史の快楽:中世に遊び、現代を眺める』(角川ソフィア文庫)角川書店 2002.5
元来、雑誌「週刊現代」に連載されていたものだという。へえ、あの雑誌にこんな高尚なコラムが連載されていたとは、ちょっと意外な感じがした。
私は「源平」「太平記」の時代が好きなので、上横手さんの本はときどき読む。人物主体でおもしろい。とは言え、決して皮相な理解ではないと思う。とりあえず、安心して読める。
近代的な感性による思い込みや、政治的歪曲に対しては、ときどき、ちくりと嫌味が入る。本書でいうと、道真の左遷に関して、明治初期の教科書は醍醐天皇の責任を糾弾していたのに、次第に時平だけが悪者になったことか、藤戸の浅瀬を渡るに際し、案内させた漁夫を斬り殺した佐々木盛綱の銅像が、かの地に建ったことへの違和感とかは、その例であろう。
元来、雑誌「週刊現代」に連載されていたものだという。へえ、あの雑誌にこんな高尚なコラムが連載されていたとは、ちょっと意外な感じがした。
私は「源平」「太平記」の時代が好きなので、上横手さんの本はときどき読む。人物主体でおもしろい。とは言え、決して皮相な理解ではないと思う。とりあえず、安心して読める。
近代的な感性による思い込みや、政治的歪曲に対しては、ときどき、ちくりと嫌味が入る。本書でいうと、道真の左遷に関して、明治初期の教科書は醍醐天皇の責任を糾弾していたのに、次第に時平だけが悪者になったことか、藤戸の浅瀬を渡るに際し、案内させた漁夫を斬り殺した佐々木盛綱の銅像が、かの地に建ったことへの違和感とかは、その例であろう。