○酒井順子『その人、独身?』 講談社 2005.6
『負け犬の遠吠え』の著者による最新エッセイ集。前著『負け犬』は、主に女性読者をターゲットにしており、「あなたにも、分かるでしょ?」的なトーンがあり、実際”負け犬”のひとりである私も、「分かります」と深くうなづく気分で読ませていただいた。
本書は、男性雑誌「週刊現代」に連載されたエッセイで、「話題になった”負け犬”って、どういうものなの? うちの職場にもいるんだけど、彼女たちは何を考えてるの?」というサラリーマンに対し、著者は、サービス精神たっぷりに、”負け犬”女性の日々の生活を、具体的なエピソードを取り上げて語ってみせる。前著が理論編なら、本書は実践編、という所以である。
しかし、実践編を読んでみると、当然ながら”負け犬”にもいろいろあるので、激しく同意、という点もあれば、ここは違うぞ、という点もある。私が著者に賛同したのは、「つまらない男が我慢ならない」「男性はおまりお洒落すぎない格好をしてほしい」「敬語がタメ口に変わる瞬間が好き」など。
でも、私は「シモネタ好き」には入らないな。振られたら平然と受け流してしまう程度の許容力はあるけど。あと、”負け犬”女性には歌舞伎好きが多いらしいが、この趣味もない。同じ伝統芸能でも、文楽のほうが芝居としての純度が高いので男性ファンを惹きつけるというが、私は文楽ファンである。というわけで、本書を読んだおじさんたちは、年々増え続ける”負け犬”を、単一のカテゴリーでは見ないように願いたい。
ところで、著者の「琉球事件」は、男女二人きりで旅行しても誘われなかったというもので、いまどきの高齢未婚男女なら、そう珍しくないと思うのだが、あえて「事件」と呼んでみせるのは本気か、それとも週刊誌読者へのサービスか?(私も身に覚えがあるのだが)
『負け犬の遠吠え』の著者による最新エッセイ集。前著『負け犬』は、主に女性読者をターゲットにしており、「あなたにも、分かるでしょ?」的なトーンがあり、実際”負け犬”のひとりである私も、「分かります」と深くうなづく気分で読ませていただいた。
本書は、男性雑誌「週刊現代」に連載されたエッセイで、「話題になった”負け犬”って、どういうものなの? うちの職場にもいるんだけど、彼女たちは何を考えてるの?」というサラリーマンに対し、著者は、サービス精神たっぷりに、”負け犬”女性の日々の生活を、具体的なエピソードを取り上げて語ってみせる。前著が理論編なら、本書は実践編、という所以である。
しかし、実践編を読んでみると、当然ながら”負け犬”にもいろいろあるので、激しく同意、という点もあれば、ここは違うぞ、という点もある。私が著者に賛同したのは、「つまらない男が我慢ならない」「男性はおまりお洒落すぎない格好をしてほしい」「敬語がタメ口に変わる瞬間が好き」など。
でも、私は「シモネタ好き」には入らないな。振られたら平然と受け流してしまう程度の許容力はあるけど。あと、”負け犬”女性には歌舞伎好きが多いらしいが、この趣味もない。同じ伝統芸能でも、文楽のほうが芝居としての純度が高いので男性ファンを惹きつけるというが、私は文楽ファンである。というわけで、本書を読んだおじさんたちは、年々増え続ける”負け犬”を、単一のカテゴリーでは見ないように願いたい。
ところで、著者の「琉球事件」は、男女二人きりで旅行しても誘われなかったというもので、いまどきの高齢未婚男女なら、そう珍しくないと思うのだが、あえて「事件」と呼んでみせるのは本気か、それとも週刊誌読者へのサービスか?(私も身に覚えがあるのだが)