付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「うたかたの空夢~ウルトラマンダイナ」 監督:川崎郷太

2008-01-09 | ミリタリーSF・未来戦記
「死んじゃうとね、好きな人と会えなくなるんだよ……」
 そんな予告編のセンチな言葉など本編にはカケラも出てこない『ウルトラマンダイナ』第42話は、無意味な空想特撮戦記の快作にしてウルトラシリーズの鬼っ子。ウルトラ世界における人類の総力戦を描く血湧き肉躍る、個人的に好きなベストエピソードではあるけれど……ウルトラマンじゃないわなあ……。

 レギュラン星のヅォーカー将軍指揮する宇宙船団が地球へ攻撃を仕掛けてきたのは、火星基地で完成したスペシウム砲試作器を受領するためのシャトルが発進しようとする、まさにそのときであった。
 対空砲群が迎撃を開始。洋上の航空司令部から発進したウィング2号がテキサス砲による長距離支援射撃を行っている間に、地下基地グランドームから4機のガンマ号が緊急発進、シャトルの血路を切り開いた。一方、大気圏外ではクリムゾンドラゴンの戦隊が敵を掃討。シャトルは火星へと飛び立った。
 しかし、この襲撃は陽動に過ぎなかった。
 密かに小惑星帯に向けて発射されていた彗星爆弾は、火星方面艦隊の巡洋艦2隻の砲撃を突破して炸裂。無数の小惑星群が地球や火星へと降り注ぎ始めた。このままでは巨大隕石が火星基地に激突してしまう!
 ここにいたり火星マリネリス基地のナハラ司令とホリイ博士は、巨大人型兵器マウンテンガリバー5号(MG-0005-RX)を出撃させることを決意した。そしてその手にはスペシウム砲が装備されていたのだが……

 ウルトラマンティガからダイナに至るまで登場したすべての航空・宇宙兵器が総出演するというミリタリー巨編。ティガでは主役メカだったガッツウィング1号もキティ小隊機として登場し、華やかな深紅の女性パイロットたちの翼となって活躍しました。
 こういうの、見たかったよね!?
 ほら、ダイコン4のOPアニメでウルトラホーク1号の編隊による曲技飛行にみんなが拍手したように、ウルトラシリーズのスーパーメカが複数登場してフォーメーションを組んで戦うシーンは夢のシーンの1つなんです。戦いは数だよ!アニキっ。
 地球軌道のステーションも、月基地も総力を挙げての戦い。そして登場する巨大な守護神! そこでやっと物語が半ば。さらにはトランペットの音とともに髑髏のエンブレムもまぶしい大型戦艦が登場し、物語は佳境を迎えることになります。
 たとえ、爆発光のCGがしょぼかろうと、MG5に設計ミスによる重大な欠陥があろうと、主人公アスカがうろうろおろおろするだけだろうと、関係ないですよ。軍人墓地を前景に飛翔するシャトルのシーンだけでも買わなくちゃ!
 ということでLDを発売直後に買いましたよ。もう1つの川崎監督の宇宙譚「ぼくたちの地球が見たい」、実相寺監督は相変わらず好き勝手やってますね!の「怪獣戯曲」などが収録されたベストエピソードばかりの巻。8話収録で9800円! お得!!
 ところが世はDVD時代に。買い直すかどうか迷っているうちにDVDすら先行きが危ぶまれる時代に。うーん……。

 ついでに言うと冒頭の「死んじゃうとね……」はウルトラマンティガ『うたかたの・・・』のセリフ。軍備拡張だけでは問題は解決しない、戦って怪獣を倒すだけでは世界は変わらないという問いかけの回の名台詞を出し、タイトルも借りてきていることで、ティガから見ている視聴者に対して「ちょっと次は仕掛けますからね」と予告しているわけですね……。

【ウルトラマンダイナ】【コメディ】【ミリタリー】【曙丸】
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「風に吹かれて豆腐屋ジョニー 男前豆腐店ストーリー」 伊藤伸吾

2008-01-09 | 食・料理
 この1~2年で近所のスーパーでも購入できるようになった「豆腐屋ジョニー」を製造販売しているお店の社長が書いた企画開始から執筆時点までの物語。
 「豆腐屋ジョニー」というのは、ガロ系コミックみたいなインパクトのある濃厚なパッケージデザインと名前の豆腐なんだけれど、形を変えるなら中身も変えなくてはダメ、見た目だけ奇をてらってもお客はついてこないという方針らしく、けっこう濃厚な味の豆腐。値段は高めだけれど確かに美味しい。うちの宴会のときなども、以前は老舗のざる豆腐などをわざわざ買ってきていたけれど、最近はジョニーとその仲間たちで済ませてしまっているくらい。いろいろ種類があって、黒かったり甘かったり。ただ甘いといっても砂糖の甘さではなく豆の甘さね。
 そういう豆腐をどうして思いつき、どういう苦労があってという話なんだけれど、単なるサクセスストーリーになっていないのは「まだまだこんなものを作りたい」という思いがひしひしと伝わってくるから。まだ過程なのですね。
 それに愉しく書き飛ばしてあるから見過ごしがちだけれど、普通だったらそのまま豆腐屋を継ぐはずの人間が、豆の旨味を活かした豆腐を作りたいと思っただけなのに、社内の反発が強くて孤立無援も同然の状態になるという顛末(結局、もとの会社とは袂を分ったらしい)に、既存の流れを変えるのは難しいことだよねえと嘆息。

【風に吹かれて豆腐屋ジョニー】【男前豆腐店ストーリー】【伊藤伸吾】【ハイリスク・ハイリターン】【後追い】【こだわり】
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