付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「阪急電車」 有川浩

2009-01-20 | その他フィクション
 電車に乗り降りする人々は互いに見知らぬ間柄だが、あるときひょんなことからつながりができる。つながってまた別れる。それが電車。友だち同士で大声で騒ぐ女子高生。喧嘩するカップル。贅沢なランチに出かける主婦の一団。婚約者を寝取られた美人OL。
 阪急電車に乗り降りする人々それぞれの人物スケッチ。


 心が疲れているときは波瀾万丈の冒険物も怪奇と恐怖の幻想譚も人間の深層心理に鋭く斬り込んだドラマも要りません。
 軽く読めて、ハッピーエンドが約束されていて、前向きな希望が得られる本。それが手元に1冊あればいい。これはそんな本です。

「あなたみたいな女の子は、きっとこれからいっぱい損をするわ。だけど、見てる人も絶対いるから。あなたのことをカッコいいと思う人もいっぱいいるから」
 翔子からショウコへの言葉。

 そして、これは人と人のつながりの物語。老婦人と女子大生、OLと小学生、女子大生とOL、主婦と女子大生。行きずりだけれど、行きずりだからこそ、相手に与えられるものもある。努力とか才能ではなく、考え方・見方を変えれば、あなたの世界も変わるんでない? そしてそれは、見ず知らずの電車の中でたまたますれ違った他の乗客のひとことがきっかけでもいいんだよという、連作短編集。
 前半は宝塚駅から執着までに繰り広げられる人々の出会いと別れの物語。後半は折り返しの電車で語られる半年間の物語。
 なんか、こんな出会いをしたいなあと思うのは、やっぱり心が疲れているせいなんでしょうか?

【阪急電車】【有川浩】【人と人のつながり】【恋愛】
コメント
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