付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「黒蜥蜴」 江戸川乱歩

2009-01-16 | ミステリー・推理小説
 江戸川乱歩のジュブナイル版が、旧版そのままの表紙で文庫化されて店頭に並んでいます。良い時代になったもんだ……。

 自分が初めて読んだ江戸川乱歩は、小学5年生の時の『黒蜥蜴』で、もちろんポプラ社の少年探偵シリーズ。友人の中には同じような年頃に『屋根裏の散歩者』とか『陰獣』を読んでいたという者もいるけれど、さすがにそれは早かろう。

 社交界の華麗なる華、緑川夫人。しかしてその正体は、「美しいもの」なら何でも奪い取るという女賊・黒蜥蜴であった。
 次の獲物を、宝石商・岩瀬の所有するダイヤモンド<エジプトの星>と決めた黒蜥蜴であったが、その真の目的は岩瀬の愛娘である早苗である。若い男女の美しさをそのままに、剥製にして保存するのも趣味という黒蜥蜴の魔手が早苗に迫る!
 その前に立ちふさがる者こそ、名探偵明智小五郎であった!!

 江戸川乱歩は日本のミステリ界の重鎮であったし、子供には少年探偵シリーズの方が有名で、怪人二十面相と明智小五郎の対決はアニメからドラマまで何度も映像化されたりしているけれど、個人的に乱歩の作品は本格ミステリというより淫靡陰惨な犯罪小説的なイメージが強いのですね。実際に作品リストを一瞥すると、そんなに偏ってはいないはずなのだけれど。
 『黒蜥蜴』はそのちょうど中庸。黒蜥蜴vs明智小五郎は怪人vs名探偵の構図ではあるけれど、また黒蜥蜴は美男美女を剥製にするという猟奇な敵でもあります。入門するには最適の1冊かもしれません。
 なんにせよ、明智小五郎は日本の名探偵の代名詞です。

【黒蜥蜴】【江戸川乱歩】【女賊】【人間椅子】【名探偵】
コメント
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