付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「ほうかご百物語2」 峰守ひろかず

2010-05-24 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「はいはいこちら経島御崎。ただいま電話に出たくありません。御用の方は絹を裂くような悲鳴の後に三十秒以内でメッセージをどうぞ。きゃあああああああっ! 窓に! 窓に!」
 ……クトゥルー神話でお馴染みの。

 分裂騒ぎで弱小となってしまった美術部は、今では生徒会の依頼で校内に出没する怪異の正体解明と解決をする役回りに。まあ、校内限定の妖怪Gメンといったところか。
 とはいえ、あくまで美術部ですから、スケッチに励んではいるのです……。

 犬神使いの滝沢さん登場の回。
 高校生の長男からのお奨めですが、置いてあった本を見て、妻が「珍しいもの読んでるねえ」と。こういう表紙の本を手に取ることはまずないので珍しがられました。高校生の部活+妖怪退治+凡庸な主人公に異能の美少女GFというパターンはよくある組み合わせですし、表紙イラストも好みではありませんし(ごめんなさい)、文章だってそんなにむちゃくちゃ巧いというわけでもない。でも、すべての要素がきっちり組み合わさって、それぞれの素材の持ち味以上の仕上がりになっているので、テンポ重視で後味さわやか、読みやすく面白いのです。主人公は客観的には賢くはないし非力で女好きだけれど、とにかく一途で真面目で、偶然とか他人任せではなく、きちんと事件の解決に貢献しているというところがポイント高し。
 本筋に関係ない部分をスパッと斬り捨てる思い切りの良さもあるので、あとは色気か猟奇な方面か、どこかでねちっこいと言われるくらい描写にこだわると緩急がついて、ピンポイントで私好みになります。

【ほうかご百物語】【峰守ひろかず】【京極しん】【芸術コンクール】【犬神使い】【河童】【天狗】【大猿】【坊主】【温水プール】【秋祭り】
コメント
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