
お買い上げありがとうございましたと、金で買われた花嫁アリシア・フェイトリン。
没落貴族の一人娘アリシアは、政略結婚の式の当日に未亡人となった。出戻って、ついた二つ名が「死神姫」。
そのアリシアに悪名高い《強》公爵ライセンとの再婚話が持ち上がり、あれよあれよという間に話が進み、瞬きする間に結婚式も済んだのだが、新居となったカシュヴァーン・ライセンの館は、暗く陰鬱で化け物の出そうな邸宅だった……
で、お金と怪談に眼のない天然系ヒロインは大喜び。既に既刊10冊以上という人気シリーズに今頃手をつけてみたり。
芥川賞作家の朝吹真理子はラブクラフトの『インスマウスの影』を「湿気った夜に読むと最高」と評したそうだけれど、同じような言葉をこの作品のヒロインが熱っぽく語っていてひとり受け。
話としては、いわゆる「美女と野獣」ものなんだけれど、天然系で働き者の守銭奴で血生臭い話題になると活き活きとしてくるヒロインってのも、いいもんだなあ。最近では文学少女見習いがこのパターンだけれど、この手の「普通の少女が苦手なものによって活性化するヒロイン」って、どこまで遡れるのだろう……。
【死神姫の再婚】【小野上明夜】【岸田メル】【メガネっ子】【聖職者】