昔、けっこう映画好きなツレがいて、学校への行き帰りで最近見た面白い映画の話などを熱く語ってくれた。その中でもっとも印象深かったのが『激走!5000キロ(ガムボールラリー)』。
映画『キャノンボール』に代表される公道無法レースのはしりです。順番に言えば、1933年に実際にアメリカ大陸を54時間あまりで横断したバイクレーサーがいて、彼のあだ名である「キャノンボール」が公道を使って道路交通法無視のレースをすることの代名詞となり、1976年にはそれをテーマにした『ガムボールラリー』がヒットし、それに『爆走!キャノンボール』が続き、『キャノンボール』が登場。しかし、本家アメリカでは取り締まりが厳しくなってできなくなり(あたりまえだ)、それが欧州で1999年に公道ラリーとして復活したのが「ガムボール3000」。
『爆走!キャノンボール』も『キャノンボール』も、どちらもレースやトトカルチョの高額の賞金をめぐって裏切りや罠が張り巡らされる話なのですが、『ガムボールラリー』はお金が全く動かない話。優勝者に与えられるものは、“いちばん早いヤツ”という栄誉とトロフィー代わりのガムボールマシン(コインを入れると丸いガムが転がり出てくるやつ)だけ。純粋なスピード狂のコメディになっているところが好きです。
勝っても負けてもガムボールだけ。
ソクター社の社長バノンは退屈だった。重役会議の間も上の空。
たまらなくなって、やおら電話を取り上げると、ただひとこと「ガムボール!」。
それがニューヨークからロサンゼルスまでのアメリカ大陸5000キロを横断するカーレースの開催を告げる合図だった。
連絡は瞬く間に口コミで伝わり、全国から素人レーサーがフェラーリ、カマロ、コブラといった名車を引っさげ、秘密のスタート地点に続々と集結。
しかし、その情報は警察も察知しており、定年間際のロスコー警部率いる警察隊が手ぐすねを引いて待ち受けていた……。
DVD発売を待ちかねている洋画の筆頭。LDがよほど売れなかったのかねえ。あと、これで『モンテカルロラリー』が加われば言うことはないのだけれど。
コメディタッチの公道レース物というとジャッキー・チェンが日本人役で登場した『キャノンボール』が有名だけれど、あのシリーズは良くも悪くもオールスターなお正月映画なものだから、みんなが平等に出番があってストーリーは平坦という隠し芸大会的に見えちゃうのですよ。嫌いではないけれど、(シナトラ登場みたいな)楽屋落ちがあり、クライマックスでキャスト総登場の乱闘シーンがあり、そこからみんなでドタバタとスタートしたりするのでレース映画としては物足りない。役者がスゴすぎで、主役は車じゃなくて役者だものね。
こちらは、会議の真っ最中にレースの開始を告げちゃう車道楽の会社社長とか、負けがこんでるものだから助っ人にF1レーサーを呼んでくる金持ちとか、たまには真っ当に走りたいというスタントレーサーと曲芸したい助手のコンビとか、隠居老人コンビとか、ニセモノじゃないニセ警官コンビとか、色っぽい有閑マダムコンビとか、趣味にこれくらいの金と時間を費やすバカって絶対にいるよね!というレベルが絶妙。貧乏な下働きの青年が高級車の陸送仕事を引き受け、気になる彼女をデートに誘ってそのままロサンゼルスを目指すというのもバカっぽくて好き。
そして、州境を超えて追いかけてくるロスコー警部には、ルパン三世の銭形警部並の執念があって、警部とレーサーたちとの知恵比べもストーリーを盛り上げるポイント。というか、あのラストを見たら、ぜったい「ロスコー!グッジョブ」だろ? やはりライバルが魅力的な作品は面白いよ。みんなの立ち直りもステキすぎ。
名車の競演という視点でも、洒落たレース物としても、文句なしの映画でした。
【激走!5000キロ】【ガムボールラリー】【チャック・ベイル】【マイケル・サラザン】【ティム・マッキンタイア】【ブラックライダー】【放水路】【出産】
映画『キャノンボール』に代表される公道無法レースのはしりです。順番に言えば、1933年に実際にアメリカ大陸を54時間あまりで横断したバイクレーサーがいて、彼のあだ名である「キャノンボール」が公道を使って道路交通法無視のレースをすることの代名詞となり、1976年にはそれをテーマにした『ガムボールラリー』がヒットし、それに『爆走!キャノンボール』が続き、『キャノンボール』が登場。しかし、本家アメリカでは取り締まりが厳しくなってできなくなり(あたりまえだ)、それが欧州で1999年に公道ラリーとして復活したのが「ガムボール3000」。
『爆走!キャノンボール』も『キャノンボール』も、どちらもレースやトトカルチョの高額の賞金をめぐって裏切りや罠が張り巡らされる話なのですが、『ガムボールラリー』はお金が全く動かない話。優勝者に与えられるものは、“いちばん早いヤツ”という栄誉とトロフィー代わりのガムボールマシン(コインを入れると丸いガムが転がり出てくるやつ)だけ。純粋なスピード狂のコメディになっているところが好きです。
勝っても負けてもガムボールだけ。
ソクター社の社長バノンは退屈だった。重役会議の間も上の空。
たまらなくなって、やおら電話を取り上げると、ただひとこと「ガムボール!」。
それがニューヨークからロサンゼルスまでのアメリカ大陸5000キロを横断するカーレースの開催を告げる合図だった。
連絡は瞬く間に口コミで伝わり、全国から素人レーサーがフェラーリ、カマロ、コブラといった名車を引っさげ、秘密のスタート地点に続々と集結。
しかし、その情報は警察も察知しており、定年間際のロスコー警部率いる警察隊が手ぐすねを引いて待ち受けていた……。
DVD発売を待ちかねている洋画の筆頭。LDがよほど売れなかったのかねえ。あと、これで『モンテカルロラリー』が加われば言うことはないのだけれど。
コメディタッチの公道レース物というとジャッキー・チェンが日本人役で登場した『キャノンボール』が有名だけれど、あのシリーズは良くも悪くもオールスターなお正月映画なものだから、みんなが平等に出番があってストーリーは平坦という隠し芸大会的に見えちゃうのですよ。嫌いではないけれど、(シナトラ登場みたいな)楽屋落ちがあり、クライマックスでキャスト総登場の乱闘シーンがあり、そこからみんなでドタバタとスタートしたりするのでレース映画としては物足りない。役者がスゴすぎで、主役は車じゃなくて役者だものね。
こちらは、会議の真っ最中にレースの開始を告げちゃう車道楽の会社社長とか、負けがこんでるものだから助っ人にF1レーサーを呼んでくる金持ちとか、たまには真っ当に走りたいというスタントレーサーと曲芸したい助手のコンビとか、隠居老人コンビとか、ニセモノじゃないニセ警官コンビとか、色っぽい有閑マダムコンビとか、趣味にこれくらいの金と時間を費やすバカって絶対にいるよね!というレベルが絶妙。貧乏な下働きの青年が高級車の陸送仕事を引き受け、気になる彼女をデートに誘ってそのままロサンゼルスを目指すというのもバカっぽくて好き。
そして、州境を超えて追いかけてくるロスコー警部には、ルパン三世の銭形警部並の執念があって、警部とレーサーたちとの知恵比べもストーリーを盛り上げるポイント。というか、あのラストを見たら、ぜったい「ロスコー!グッジョブ」だろ? やはりライバルが魅力的な作品は面白いよ。みんなの立ち直りもステキすぎ。
名車の競演という視点でも、洒落たレース物としても、文句なしの映画でした。
【激走!5000キロ】【ガムボールラリー】【チャック・ベイル】【マイケル・サラザン】【ティム・マッキンタイア】【ブラックライダー】【放水路】【出産】