付け焼き刃の覚え書き

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「遙か凍土のカナン(5)」 芝村裕吏

2015-09-14 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「父とは心に描く絵のようなものだぞ。母は腹を痛めて子をなすが、父はそうではない。その人間が子供を前に、こうあろうと心に描いたものが父というものだ」
 良い父になれとヨシフに説く新田良造。

 流刑地の建設という名目で建国への足がかりをつかんだ良造だったが、秘密警察は疑惑の目を向け監視や妨害を試み、日本人とはまた違った気質のロシア人やコサックたちとつきあうのは楽な仕事ではない。
 良造の妻となったレナは時には一歩退き、時には横から助言して良造を支えていくが、その様子がおかしいことに気づき……。

 “五人と一匹”というと昔、NHK名古屋が制作したエニード・ブライトン原作のジュブナイル探偵ドラマ「五人と一ぴき」を連想しちゃう世代なんですが、当然のように関係はなく、ただ、生まれも育ちも違う男女(+犬)が集まって、コサックとユダヤ人と共産主義者と流刑囚による国家建設という大きな仕事に向けて動き出すワクワク感が詰まっています。
 もっとも、最近脱ぎたがりになった新妻さんが懺悔してうだうだしているので、ここはスパーンっと立ち直って欲しいのですが、こちらは建国以上に難しそうです。

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コメント
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