ただでさえ神殿の巫女となったマインと庶民にすぎない本当の家族の間に大きな壁があったのに、今度は貴族の娘ローゼマインとして、領主の養女と娘になって貴族社会のど真ん中に放り出されます。見事な戸籍ロンダリングです。もう家族とは、何かの行事のおりに遠くから顔をちらりと見るのが精一杯。それでも、ローゼマインもマインの家族も互いのために、できる限りのことをしようとします。この話は本好き娘のファンタジーであると同時に、家族の絆の物語でもあるのです。
下町の家族や仲間を守るため、マインは「ローゼマイン」に改名し、神殿に預けられていた貴族の隠し子が領主の養女になった……というカバーストーリーを生きることになる。
庶民の生活とも神殿の暮らしとも全く違う上級貴族社会での日々は戸惑うことばかり。神殿長や工房長の責務はもちろん、儀式や礼儀作法を学ぶための猛特訓も厳しいものだったが、ローゼマインはきちんとできたら「図書室の鍵を預かれる」というご褒美を糧に乗り越えていく。
フェルディナント神官長は、すでにローゼマインの扱い方を熟知していたのだ……。
領主一族との対面も済むか済まないうちに、領地への印刷業の導入とイタリアンレストランの開店、さらには新たな孤児院の設置と仕事は山積み。さらにはローゼマイン聖女化計画が進められていきますが、あいかわらず「すぐに倒れて意識不明になる」虚弱体質は周囲にトラウマをまき散らします。なむ。
今回は書き下ろしＳＳ目当てに出版社直売を選択。なんか手作りっぽいペーパーにびっくり。
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