付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「蒸気と錬金」花田一三六

2021-05-05 | その他ファンタジー
「神話は何かと云えば、人間には捉えきれない森羅万象を表現したものがほとんどです。人の意の儘にならないものに似姿を与え、伝えてきたものの末裔。それが妖精」
 アヴァロンのレディ・モリガンの神話論。

 ロンドン在住の売れないSF(空想蒸気錬金学小説)作家の「私」は食い詰めた挙げ句に、借金を頼み込んだ編集者から理法と恩寵の島アヴァロンへの取材旅行を提案される。
 旅支度を進める私は、見知らぬスミスと名乗る若紳士に紹介された<帽子屋>で、格安の蒸気錬金式幻燈機と妖精型幻燈種を購入したのだが、この妖精ポーシャが主人を主人とも思わない不良品。そして翌日には店が丸ごと消えていた……。

 錬金錬金術の実用化に成功して急発展をしている大英帝国から始まる、ひとりダチョウ倶楽部みたいなSF作家と口の悪すぎる妖精の異邦探訪録。物わかりが悪くて、方向オンチの作家が、いつの間にか国家間のスパイ劇に巻き込まれているような気がするんだけれど、決断が出来ずに引き延ばすのが常でずるずると泥沼にはまっていくお話。

【蒸気と錬金 Stealchemy Fairytale】【花田一三六】【パルプピロシ】【ハヤカワ文庫JA】【ポンコツ作家と毒舌幻燈種の蒸気錬金妖精譚】【錬金と理法が踊り舞うフェアリーテイル】
コメント
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