「空気は適応するものじゃないよ。変えるものだよ」クラリッサ・リベラトーレは空気を読まない。
クラリッサは平民の娘だ。２歳のときに死んだ母親はバカな勇者パーティーに見切りをつけた大魔法使いで、父親はバカな魔王を裏切った四天王で人狼だが、今は人間に紛れて人材派遣や金融業、店舗経営などを手広くやっている。ありていにいえば暗黒街のボスである。
その娘であるクラリッサが、いきなり貴族ばかりの王立ティアマト学園に入学したいと言い出した。制服が可愛いからという理由だけである……。
ギャングのボスの娘で、母親譲りの大魔術を使いこなし、父親譲りの体力で無双する少女が、経歴ロンダリングで辺境の王国の貴族として留学したていで貴族の園に潜り込むスラップスティック学園小説で、つまりはヤクザの娘もの。ただ、堅気のもんには手を出さない昔気質の任侠ではなく、現役バリバリ非合法活動を派手にやってますよ。でも、そんなギャングのパパから見ても「うちの娘は少しおかしい」のです。ただ、かわいいから全部許して、見てみないふりしてるけど、それでも学校内で貸し金したり賭場を開くのは阻止してるみたいですけど。
「君、生きたまま沈みたい？ それとも死んでから沈みたい？」
受けた恩は絶対に返すし、受けた害には必ず血を以てして報復するのがリベラトーレ。虐めとか嫌がらせには屈しないのだ。
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