付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「漁港の肉子ちゃん」 西加奈子

2022-12-24 | その他フィクション
「死んだ牛の肉ではなくって、殺した牛の肉です。」
 重松の奥さんの葬式以来、焼き肉屋のサッサンの死んだ奥さんもキクに話しかけてくる。

 北の港町にある焼肉屋で働いている肉子ちゃんは、太っていてとても明るいが頭が悪い。そんな肉子ちゃんと全然似ていない娘のキクりんは小学5年生にもなると、そんなお母さんが少し恥ずかしく思えてくるのだが、2人は焼き肉屋の裏手の平屋に仲良く住んでいる……。

 早く大人になりたいと思いつつ、なにが大人になるということなのか分かっていない小学生視点の物語。でも、そんな喜久子にサッサンは「ちゃんとした大人なんてものも、いねんら」と告げます。子供らしさも大人らしさもすべて虚像だけれど、それでもみんな生きていて、それでいいんだというクリスマスの夜。

 こうやって読むと、鍵屋のマキさんとか三つ子の幽霊とか個別のエピソードやキャラはかなり削られてますね。ペンギンの過去とか檻の猿の顛末とかも。映画を観た妻は「港町の話なのに漁師さんとか出てこないね」と言ってましたが、そのあたりもすっぱりカットされてます。あ、マリアちゃんちは網元なんですってよ。
 ……というか、そもそもグラスボートに住んでませんよ! 映画公開に合わせて付いた幅広帯は、映画のあおり文句なので「船に住む」とか書いてあるけど、原作では普通の家に住んでるから!!

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コメント
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