「陛下はおっしゃられました。最上の勝利の為に、ご自身を戦力として用いると。ならば使える戦力は使うべきです」みんな「できることをするわ」と言い出すあたりは想定外。
皇帝を傀儡にしていた宰相と式部卿を断罪し、宮廷内の腐敗した旧体制を一掃したカーマイン。生き残りの残党が反旗を翻して大公同盟として決起するまでは想定内だが、そこで彼は気がついた。宰相と式部卿がいたから自分が常に命の危険にさらされていたのではない。自分が皇帝だからだ。
（これ、常に狙われるってことじゃん！）
そんな中、皇室の財産を横流しされていたと思しきことから指名手配をかけていた黄金羊商会の会頭イレール・フェシュネールが出頭してきた。しかも、警戒厳重なはずの宮廷の、カーマインの前に忽然と。
だが、そのイレールはいきなり土下座し始めた……。
ウェブ連載分目いっぱいに書き下ろしをつけて３巻刊行。
無能から英雄に劇的変化をしたものの、結局周囲の誰もほとんど信頼できないまま国家の舵取りをし、資金と武器が不足する中で反皇帝派をあしらい続けます。あいかわらずの前途多難です。
守り人も含めて信用できない者ばかりの中、ヒロイン３人の考えの無さ……というか、純粋だったり、直情径行だったり、目的が分かりやすいのは救いですね。そこだけほのぼの。
人物紹介と地図が載っているので、読み飛ばしがちな人でも安心。
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