付け焼き刃の覚え書き

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「幽霊塔」 江戸川乱歩

2016-01-03 | ミステリー・推理小説
 「幽霊塔」というのは元々はアメリカのベンジソン夫人による「ファントムタワー」を原作に、黒岩涙香が好き勝手に翻案した明治のミステリ小説。舞台はイギリスなのに登場人物が日本名なのがいかにも明治の翻案小説で、自分が読んだことがあったのが涙香バージョンで、その黒岩版をブラッシュアップしたのが江戸川乱歩版です。
 表紙はアニメ作家の宮崎駿。映画「カリオストロの城」も、この「幽霊塔」がイメージソースの1つと明言しているくらい物語とギミックに惚れ込んでいるファンなので、描くのも表紙に飽き足らずカラー口絵付き。しかも16頁。60年前に読んだときの思い出から、「幽霊塔」の本当の原作の話まで語り倒したエッセーマンガな上に、さまざまなバージョンの時計塔の設計デザインも考察。なおかつ文章通りの外観ならこれだけど、映画化するならこうでないとダメだと新バージョンも追加。さらに文章の書き方にも言及して絵コンテまで切ってます。
 その上で、

「えいがはつくりません」

と言い切るあたりが屈折してるなあと思います。
 きっと、もう10年若かったら「つくらせろ」と言ってたんだろうな。

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