
トランシルヴァニア地方に派遣されたドイツ軍の分遣隊が、峠を制圧できる位置にある城跡に拠点を定めたのが発端。由来不明の城の調査と要塞化を進めるうちに兵士たちは不思議なことに気づき始めた。
外敵から護るというより内側に何かを封じるような城の構造、壁に埋め込まれた十字架。やがて宝石に目のくらんだ兵士が十字架を掘り起こしたときから、1人づつ何者かに殺害され始める。ドイツ軍はレジスタンスの仕業と警戒するのだが……。
しかし、このミリタリー・ホラーっぽいところも上巻までなので、いかにも吸血鬼が眠っていそうな古城とナチスドイツとの取り合わせ、傲慢なSS少佐とたたき上げの大尉との反目などに『鷲が舞い降りた』みたいなミリタリーアクションの要素を期待した人は、下巻は読まずに結末は想像だけに留めるのが吉。映画『ハイランダー』を楽しめた人は下巻に突入しよう。映画ではモザイク付きのラブロマンスまで描写されて、いったい何処へ行くんだ?と頭を抱えたもの。
結局、ナイトワールドというサガの一篇に組み込まれちゃうわけですが、前半の展開に期待してしまった人は、『ヘルシング』とか『凶鳥フッケバイン』に慰めを求めよう。
【城塞】【ザ・キープ】【F・ポール・ウィルソン】【ナイトワールド6部作】【角川文庫】【吸血鬼】【ミリタリー】
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