付け焼き刃の覚え書き

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「オカ研はきょうも不謹慎! 」 福澤徹三

2024-08-31 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「怪談は科学的に検証できない場合がほとんどだ。でも怪談は事実かどうかよりも、怖さやおもしろさに価値があると思う」
 オカルト研究会の会長、万骨伊織はそう語った。

 三流大学の冥國大学の文学部に入学した多聞蒼太郎は、さっそく胡散臭いサークルの勧誘に引っかかった。非公認サークル「オカルト研究会」。オカルトには興味がなかったが、同じ新入生の文月麻莉奈が入ったと聞いて、断る機会を逸したのだ。
 サークルの定例会で怖い話を聞かされているうちはまだ良かったが、バイト先の居酒屋店長に紹介してもらった事故物件の一軒家をサークルで訪問して以来、怪異が頻発。ついには麻莉奈が謎の失踪を遂げてしまう……。

 三流大学の弱小サークルを舞台にしたオカルトもしくはミステリ小説。作者はホラーから警察小説まで手の内が広いので、どちらに転ぶか最後まで分かりません。死者が頻発する屋敷の怪、姿のない訪問者と濡れた玄関前通路、崩される盛り塩、客の数を数え損なう居酒屋……。
 このオカルト現象は科学で解明できるのか、それとも本格に超常現象なのか、この話はミステリなのかホラーなのか、最後まで学生たちがゆらゆらふらふらするサークル小説ですが、一方でこれはコロナ禍で育った若者の青春小説とも読めます。コロナ禍で修学旅行はなかったし、部活もろくになかったし、同世代の男女となにかわいわいやる経験の無いまま大学まで来てしまった青年の、最後の学生生活の物語みたいに。

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