付け焼き刃の覚え書き

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「蛇神の女王~ベルガリアード物語(2)」 デイヴィッド・エディングス

2009-06-08 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「あなた、自分の抱えている問題がどんなことかわかっている? あなたは大人になりたくないのよ。永遠に子供のままでいたいのよ。でも、それは不可能だわ。そんなことは誰にもできないわ。どんなすごい力を持っていようと……皇帝だろうと魔術師だろうと……時の流れを止めることはできないのよ」
 トルネドラの王女セ・ネドラの言葉。
 どんなにわがままで世間知らずのお姫さまであろうと、エディングスの作品に登場する女性キャラは、常に真実を容赦なく突いてきます。

 語り部の老人ウルフが語った物語、太古の昔に莫大な力を秘めた《珠》をめぐって神々が争い、偉大なる魔術師ベルガラスが邪神トラクを倒したという神話は事実だったのだ。しかも、その永遠なるベルガラスが、こんな呑んだくれのスケベ爺だったなんて……。
 少年ガリオンと鍛冶屋のダーニクが加わった魔術師ベルガラスと魔女ポルガラの一行には、ドラスニア人のシルクやチェレク人の巨漢バラク、ミンブレイド人の騎士マンドラレンらが合流し、追っ手をかわしながら商業国家トルネドラを経由して蛇神の国ニーサへと向かうのだが……。

 この物語世界には木の精霊ドリュアドはいるけれど、エルフもドワーフもゴブリンも存在しません。ただ、それぞれのいただく神が異なる民が存在するだけです。でも、この各民族や国家の個性が極端なので、同じ人間と言いつつエルフとドワーフ以上に差異があり、仲が良かったり悪かったり。そのあたりもポイントです。
 基本的に単純で物事をあまり深く考えずに行動する傾向のあるアローン人。その中でもチェレクは戦と酒を何より愛する船乗りの国、ドラスニアは商業も盛んだけれど国民皆密偵と思って間違いが無く、アルガリアは馬と共に生きる遊牧民国家。建国の王が兄弟であった国ですらこれだけ違いますから、他は言うに及ばず。
 今回は、次期皇帝の座を巡って公然と買収と暗殺がおこなわれているトルネドラ帝国を経由して、密林に覆われた蛇神の国ニーサへとやってきます。蛇神イサの巫女サルミスラが強大な権力をふるうニーサは疫病と毒蛇と暗殺者の国。そのサルミスラに目をつけられてしまったガリオンの運命やいかに。
 それまでエルフだドワーフだといっても身長と得意技が違うだけじゃん!というような話ばかりをよく見ていただけに、同じ人間でもこれだけ違うんだというキャラクター的な国民性には意表を突かれたもんです。

【ベルガリアード物語】【デイヴィッド・エディングス】【蛇神の女王】【おおやちき】【HACCAN】【農奴】【奴隷】【廃墟】【ドリュアド】

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