付け焼き刃の覚え書き

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「予言の守護者~ベルガリアード物語(1)」 デイヴィッド・エディングス

2009-06-07 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「(政治とは)必要悪なのさ、バラク。とるにたらぬ仕事にはとるにたらぬ人間が必要だし、一国を動かし続けるのはとるにたらぬ仕事なんだ」
 詐欺師、軽業師、泥棒、密偵でもある旅商人シルクの言葉。その他にとるにたらぬ肩書きがいくつか。

 そんなに力説するほどのことではないのだけれど、『ハリー・ポッター』や『ロード・オブ・ザ・リング』でファンタジーの面白さに気づいた人に薦めたいシリーズと言えば、まずこれなのですね。拳をふるって主張したくなるくらい。
 壮大な神話と冒険の物語が読みたい気がする。でも思わずクスクスと笑ってしまうようなユーモラスな部分もあると良い。そんなリクエストに応えられるのがエディングスの諸作品であり、順序としてまずこれから……というのがこの『予言の守護者』から始まるベルガリアード物語(全5巻)と続編のマロリオン物語(全5巻)です。

 話の筋立てそのものは単純です。

 世界の始まりのときから続く神々の戦いがあり、その顛末について告げる予言があった。けれども多くの人々はそれを単なる物語と思っていた。

「人生を無事にきりぬけられる善人は自分で見てさわれるものしか信じない。しかし、われわれが見たりさわったりできない世界があるのだ。その世界はそれ自身の掟によって生きている。このごくあたりまえの世界では不可能なことも、そこでは可能なのだ」

 ガリオンは平凡な農場の少年だった。農場の台所で鍋を磨きながら友だちと遊び、可愛い女の子に心ときめかせ、そうしてやがては平凡な農夫として一生を終えるはずだった。
 しかし、ガリオンは、ある夜、農場で料理をしている“ポルおばさん”と、旅の語り部ウルフ老人に訳の分からぬまま問答無用で連れ出されてしまう。なぜ彼は連れ出されねばならなかったのか、そして彼らはどこへ行くのか?
 分けの分からないまま、怪しげな男たちと合流した“ポルおばさん”は、もう2度と農園には戻らないと宣言した。
 それは長い旅の始まりであり、予言を成就するための旅路だったのだ……。

 この物語の面白さは第一にキャラクターの魅力です。もちろんストーリーそのものも面白いけれど、まず何が一番かといえばキャラクター。どんな苦境も笑い飛ばし、切り抜けていく仲間たち、そして恐ろしく狡猾な敵、恐ろしい怪物。
 毎巻の巻頭に掲載されている神話や預言書は最初は分けが分からないから読み飛ばせばいいんです。すべて読み終えて面白いと思えば、あらためて最初から読んで預言書に書かれている内容の真相を推測し、「こいつらはこんな解釈をしてやがる」と笑い飛ばせばいいんじゃないでしょうか。

【ベルガリアード物語】【デイヴィッド・エディングス】【予言の守護者】【おおやちき】【HACCAN】【金貨】【キス】【カブとキャベツ】

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