「転生したけどチート能力を使わないで生きてみる」 大邦将人

「そんな酔狂で－－世界を敵に回したらダメよ」
「そんな酔狂だからこそ－－世界を敵にするんですよ」
　おお、なんかダスティ・アッテンボローの後継者みたいな台詞です。

　正体不明の神さまに転生させてもらったというか、させられたというか、アルフレードは異世界で大貴族の三男として生まれ変わった。そこで神の使徒として世界を救えということなのだが、知らない神さまの言うなりに動くのは怖い……というか信用できない。
　そこで、神の使徒なんかじゃないというふりをしながら情報収集するのだが、ここはだいたい150年間隔で異世界転生してくる、神の使徒を利用し尽くすことに特化した世界だった。教会の庇護下で思う存分チート能力をふるうとか、そんなうまい（胡散臭い）話にのりたくはない。タダより高いものは無い。もらい物の力でイキるのは格好悪い……。

　「昔は機械が動いていた。使徒はすごい。教えを守らない子孫は愚か」……そんなことを言い伝えながら、次の使徒が誕生してくるのを今か今かと待ち構えている社会で、使徒じゃないふりしながら生きていく大貴族の末息子の物語。
　ウェブ版より野良犬エトーレの分だけ増補されてます。

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