「凶乱令嬢ニア・リストン３」 南野海風

「メイクは女の武器であり防具だから。中途半端な出来映えじゃ役に立たないどころかむしろマイナスだわ。舐められるだけ。やらない方がマシ」
　やるなら徹底的にと新人女優シャロ・ホワイトは侍女リノキスにメイクする。

　魔法映像の認知度は上がりつつあるけれど、受像機「魔晶板」の普及にはここが踏ん張りどころと夏休みも関係なく映像コンテンツの撮影に忙殺され続けたニアだ。リストン領で37本撮り、シルヴァー領を経由して王都に移動。犬との競争４本撮り……。
　やっと夏休み分の仕事を済ませ、学校の宿題も片づけて、５日間の休みをもぎ取るとヒルデトーラやレリアたちと浮島でバカンスという予定だったのだが、少し話が違ってきた。島にはヒルデの父親も向かっているという。友だちの親、しかもヒルデは第三王女なので、父親は王様である。
「その辺を薄着の王様がうろうろ徘徊したり、木陰でハンモックに揺られながら本を読んでいる王様がいたり、バーベキューではしゃいでる王様がいたりするかもしれないけど、本当に大丈夫？　委縮しない？　邪魔じゃない？」
　大丈夫。いざとなったらどうとでもなる。いざって時は殴り飛ばせばいい。邪魔だったら気絶させてしまおう……。

　楽しいバカンス編……といいつつ、ニアが修行をつける相手も増えていきますし、リストンでは「穢れた外道のくそったれの貧乳のでもそこが密かにチャームポイントだと思っているような下劣で卑屈で臭そうでいやらしい人間」ことシルヴァー家の次女リクルビタァや、冷徹で女好きの国王ヒュレンツ・アルトワールも登場。今後の事業展開が大きく動きます。
　そして湖底ダンジョンに勝手に潜ってタイムアタックしてみたり、侍女を冒険者に送り出したりと今回も大騒ぎです。　

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