付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「吼える魔竜の捕喰作法」 内堀優一

2012-05-04 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「勝つか負けるかじゃねえ! 強いか弱いかじゃねえ! 美味いか不味いかだ!」
 それが人と竜の戦いだと、肉屋のミキハラタクト。

 地上最強の生物である竜すら倒す竜伐騎士は、魔法騎士の頂点。しかし、竜伐騎士をめざす少女シェッセは、王立魔法騎士団のおちこぼれ。
 そんなシェッセに与えられた極秘任務は、下町の肉屋への潜入捜査。肉屋のタクトは肉を得るためなら、魔法騎士の軍勢ですら苦戦必至の巨竜をあっさり倒す男だった……。

 最後まで肉屋としての様式にこだわって欲しかったなあ。あの武器を「槍」と言わず、「焼串の大きいの」と言い張るとか……と欲を言ってみる。
 醤油と白米で肉を食うってのは、良いことです。

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「ウィンター・ホリデー」 坂木司

2012-05-03 | その他フィクション
「近づけば離れるのが道理。熱くなったものはやがて冷めるの。それは家族だって恋人だって同じことよ」
 それは自然なことであり、恐れるべきことではないとジャスミンの言葉。

 ヤマトは元ヤン・元ホストで、今は宅配便のドライバー。
 存在すら知らなかった息子に出会ってしまって以来、ヤマトの人生は変わってしまった。進のいない毎日は空虚になりがちだし、彼が遊びに来るという冬休みは待ち遠しい。
 でも、その一方で、自分にそんな資格があるのか考えてしまうのだ……。

 しっかり者だけれど所帯じみていて、既に“主婦”というより“おばちゃん”の領域に入りつつある小学生を巡る物語。『和菓子のアン』の登場人物らしき姿もあり、ゆるやかな世界のひろがりににやにや笑い。

「お手軽は馬鹿を作る近道」
 聞くことを恥ずかしがる必要はないけれど、他人に訊いていい事と自分で考えたり調べたりしないといけないことは別なのだとジャスミン。

 過去の過ち、愚かさは簡単に取り返しがつくことではないけれど、まず謝るところから始めてみよう。一歩ずつでも進んでみよう。今だって十分に馬鹿で臆病なのかもしれないけれど、きちんと言葉で謝ることのできるヤマトは応援したくなります。

【ウィンター・ホリデー】【坂木司】【文藝春秋】【父子の絆の先にある、家族の物語】【宅配便】【ホストクラブ】【クリスマス】【おせち】【二年参り】【バレンタインデー】【宇宙一空気を読まない男】【ホワイトデー】【ヤマトがブーム】
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「ワーキング・ホリデー」 坂木司

2012-05-02 | その他フィクション
「男は引っ込みがつかなくなって自爆するけれど、おかまと女は損得を天秤にかけてから進退を決めるの」
 必要なときは撤退できる男になれと、ジャスミンの言葉。

 元ヤンキーで、今はホストをしている大和の前に姿を現した小学生は、「初めまして、お父さん」ときちんと挨拶をする、料理上手のしっかり者だった……。

 主人公がヤマトで、本名が沖田大和で、ホスト時代の相方が雪夜で、息子が進。ページを開いて、この名前が視界に飛び込んでくるとドキリとしますが、野暮を承知で指摘しておくと中身は宅配業者の日々の仕事と生活を語った普通の小説です。
 一人暮らしの男の前に存在すら知らなかった息子が現れて生活が変わっていく話というと、最近では『カエルの子は』があるけれど、こちらの方が健全で前向き。個人的には、責任感のない男には共感できないですから。
 話としては、ホストから宅配業者に転職してからが本番で、宅配しながらもホスト時代の癖が抜けないのがポイント。それは笑いどころであると同時に、本人にはそれなりの矜恃があるわけだし、ストーリーにきちんと絡んでくるので面白いです。

【ワーキング・ホリデー】【坂木司】【文春文庫】【宅配便】【ホストクラブ】【ジオラマ】【リヤカー】
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「男子高校生の憂鬱」 赤橋信

2012-05-02 | スポーツ・武道
 女子は絶滅したわけではない。
 この校舎の中にいないだけだ。
 なぜなら、ここは男子高だからだ……。

 ただでさえ女っ気のない高校生活なのに夏休みまで潰されそうになった3人組が、剣道部部長の横車を回避すべく奔走する青春物語。
 女子高生もちらほら出現するけれど本当にストーリーそのものに女っ気がなくて、それどころか途中から話がガールフレンド云々どころではなくなってしまって、かといって男の子同士で危ない関係に走る気配があるかといえばその2歩手前で足踏み。
 健全だなー。
 「女子はいない」の帯あおりに惹かれて購入したものの、「女子なんか関係ない」話で終わってしまって残念。

【男子高校生の憂鬱】【赤橋信】【針玉ヒロキ】【KCG文庫】【合コン】【剣道】【噂】
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「3・11の素敵な話」 やまだひさし

2012-05-01 | 伝記・ノンフィクション
 ラジオ番組のパーソナリティーである著者が、東日本大震災からの1年間で見てきたこと、聞いてきたことを記録していくことで、自分たちにやれることを問い、その想いを共有していこうとまとめたもの。
 刊行と同時に嫁さんが購入。

「できることからでいい。無理は続かないから、それに楽しく続けていかなくっちゃ」
 T.M.Revolution 西川貴教の言葉。

 被災したFM岩手の釜石支局に応援に行き、瓦礫の山と化した街に唖然としつつも街の声を送り届け、重苦しいニュースばかりではいけないと絵本の朗読を続け、台湾へは義援金の御礼に飛び、できるだけのことをやろうとした試行錯誤の1年間。
 たとえ誰かに怒られようと、空回りしようと、相手に必要なのは何なのか考えながら、1つずつ積み上げていくのはたいへんなことです。

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「彼女はつっこまれるのが好き!6」 サイトーマサト

2012-05-01 | アイドル・声優・芸能
 小悪魔的な新人アイドルの挑発を、音無まどかは正面から受けて立った。間に挟まった村人Bはただ翻弄されるだけだったのだが……。

 イヤーな雰囲気で終わった5巻を序盤でひっくり返し、中盤以降はお約束のボケとツッコミのかけあいで一気呵成に最後まで。そして、また最後に差出人不明の引きを挿入……って、このパターンで進める気か!? 連続ドラマのフォーマットではあるけれど、こう思わせぶりな引きをされると、これ誰からのメール?と次の巻も買わなくてはいけないじゃないですか。
 「源太さん」がお盆に忙しい理由とか、いくつかスルーされてしまったネタがありますが、これは伏線なのかなんなのか、今後回収されるのか気にしながら続刊を待ちます。
 木立陽菜乃も、ある意味パターンどおりの新キャラですけれど、良い感じに定位置につけましたね。やはり、この話はかけあいが命。ストーリーなんて飾りですよ……という話なので、直接対決はやはり、まるでプロレスのような会話の応酬。
 でも、あの「ツッコミ」の勘違いには、いつ気がつくのでしょうか。

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