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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

対談 競馬論

2010-04-01 20:22:41 | 読んだ本
寺山修司・虫明亜呂無 1993年 ちくま文庫版
ギャンブルの話がでたので、競馬の本。副題は「この絶妙な勝負の美学」
帯に「幻の名対談」ってあるんだけど、なにが幻かっていうと、この本はもともと1969年に番町書房から刊行されたのの文庫復刻版であるからってことになる。
なので、出てくる馬は、1966、7年くらいが中心。ニホンピローエースとかモンタサンとか、タケシバオーとかマーチスとか、せいぜい新しいところでシンザンという中味である。
話は古いんだけど、寺山修司の語りというのは、独特で面白いのは確かである。
単勝っていうのは個の栄光に賭けるんだが、競馬は一頭のドラマではなく群衆のドラマで、連勝を買うっていうのはレース全体をひとつのドラマととらえて、その全体像をとらえようというものだ、とか。
社会が相対的に安定しているときは、現状維持でどこまで逃げ切れるかという発想から、逃げ馬が評価されて、反体制運動が盛り上がってくる機運になると、形勢逆転という時代感情を反映して、追い込み馬が評価される、とか。
有馬記念を観戦して、>ことしもやはり最後の勝ち馬は古馬がさらった。若馬たちがヘゲモニーを確立する時代は訪れなかった。馬でさえそうなのだから、私たちの歴史の中で、青年が復権できる日はまだこないだろう とか。
…そんな、難しいこと考えて競馬みて、おもしろいですかぁ?って訊きたくはなるけどね
コメント
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