乗馬に行く。
今週は試合があるので、今日は使えるウマ数が限られてるんだそうな。
(ちょっと宣伝しとくと、試合ってのは、ジャパンブリーディングホースショー、内国産馬限定障害馬術大会。出走資格は読んで字のごとし内国産馬なんで、私の好きなベルギーあたりでつくられてる乗用馬は出られない。そのかわり、どうしても元競走馬なんかが出やすいみたいなので、そういうのが好きなひとには面白いかもしれない=去年サクセスブロッケン出た。)
ぢゃあ、サンライズキングを二人で交代で乗ってくださいということになる。
「同じ馬に乗るもうひとりは、まだキャリア浅いんで、テクニックとか教えてあげてください」って先生、なに冗談言ってんですか。
だいいち、サンライズキング、私、乗るの初めて、どんな馬か知らないのにひとに教えるものなにも無い。
サンライズキングは、1999年生まれ14歳のサラブレッド、血統登録は鹿毛だけど、毛色はずいぶん黒いイメージ。
たしか競走馬だったと思うけど、どんな馬だったか、私はおぼえてないなあ。
でも、こないだ誰かが何回か連続してサンライズキングにあたってたら、「もうヤだあ」みたいなこと言ってたけど。なんで?
なになに、動かなくて重いって? ふーん、ぶっとんで走り回っちゃうより、いーんでないかい?
先に乗らせてもらうことにして、またがって、馬場まで歩いてくあいだに、ちょこちょこっとハミうけを探るんだが、あれれ、うける感じないぞ。
この、ファーストコンタクトっつーか、最初の常歩でハミに向かってしっかり歩かせたりってことは、私にとって重要な時間帯なのだが、とりあえずノシノシ歩いてってはくれてるけど、ちゃんとやりとりができてない感がある、これは苦戦するかも。
ほかのひとたちより早く馬装できて、早く馬場に入れたんで、先にしばらく運動してみる。
ははー、なるほど重いって言ったら、重いかもね。でも、まあ、このくらいふつうの範疇でしょ、私にしたら。
常歩でいろいろやる。脚への反応、はみうけ、回転。
軽速歩、動いて、動いて、動いてー。脚ドンっていれると、ときどき耳しぼるのが見える、うーん?
その後もときどき、鏡にうつる自分の顔にガッて向かってきそうになったりする、ふーむ?
まだ部班が始まらないので、手綱をちゃんと持って、速歩を詰めたり伸ばしたり。
ついでなんで駈歩までやっちゃう。まあ、ふつう。止まりそうになったら促す。でも、駈歩までやっても、馬が目を覚ましてくれた感じは、ちょっとないなあ。
はい、ぢゃあ、2頭で部班。後ろにつける。
隅角を丁寧に奥までいって曲がりたいんだけど、そんなことやってると、遅れをとって距離が開いちゃうよ。直線で歩度伸ばしてつめてく。
ベースが弱いってんで、すこしムチを使ったりして前に出す。脚つかったのに反応鈍いときは、脚のうしろ・カカトのへんにムチの先を当てて撫でさせていただくという、いつもの手法。
だいぶ良くなってきた気がする、馬の息とか汗かいた湯気とかが、寒い屋内に、白くたちのぼってくるけど。
んぢゃ、輪乗りで、すこし移行をあれこれするよ、って。
常歩から速歩、速歩から駈歩、駈歩から速歩、速歩から停止、停止から速歩、駈歩したら歩度伸ばす・歩度つめる、etc。
予令のうちに準備して、一歩目からすぐできるように。それには、馬が仕事に集中して、人の指示待ってる状態つくっとかなきゃって、だいぶ前進することについては感度あがってきてはいるんだけどね。
んぢゃ、駈歩でツーポイント。あらら、うまく立てないよ。
最近まったくと言っていいほど、やってないからねえ、ツーポイント。障害は全然飛ばない方向だし、正反撞はなんとかしようって気はあるんだけど、ツーポイントする場面は各個で乗ってると皆無。
駈歩弱くなると、脚使おうとするんだが、ツーポイントでは使えない私。しゃあないので、ムチひらひらさせて前に出ること促す。
それって寂しいので、ときどきシートしちゃって、脚使って、馬が前に出たらまたツーポイントする。
歩度を詰めたり伸ばしたりもそうだけど、部班のなかで、勝手にこういうことしちゃうのが、ベテランの技というものでしょ、見てる?若いひと?
冗談はともかく、ときどき座ってからツーポイントすると、鞍の前に身体が行っちゃうこととかが無くていいと思うんだけどね、私みたいなやつには。坐ってるときと同じ場所、鞍のなかに尻があるべし。
「脚の位置は真下! カカト下げようとするあまり、グラグラ足が動いてる! カカトあがってもいいから、爪先でアブミをしっかり真下に踏む! 爪先を外に向けない!」
はいー、たしかに前傾ちゃんとできるかな、なんて、腰と股関節の関係とかばかり考えてたら、膝から下がプランプランしてる。前に足突っ張っちゃったり、脚つかおうと思えば後ろにいっちゃったり。
そんなこんなで、駈歩終了。最後、馬を停止させた状態で、立ってみろと。
まっすぐ立った気でいたら、足は前に出てるし、だいたいフクラハギから下が馬体から離れてるよ。膝で鞍を挟んで、そこで乗ってる。そりゃあ脚が使えないわけだ。
身体の真下に脚があって、爪先開かず、アブミを踏んで、立つ。上体を前傾したら、手綱にぶらさがってバランスとるようなことしないようにして、拳は馬のクビのとこ置いちゃってもいいから前へ。
ということで、私の、今後しばらくのテーマは、ツーポイントにしようと、自分で決めた。
そうかあ、ツーポイントで脚が正しく使えれば、ふだん座ってるときでも、カカト振り回したりしないで、正しく脚使えんだよ、きっと。それだ、そこだよ、今日はじめて気づいた。
「馬が前に出てるのを感じとったりすることは、まあまあできてきたので、姿勢を安定させること。速歩でも駈歩でも、移行したときでも、正反撞でもツーポイントでも、脚の位置に注意して、同じ場所にいられれば、はみうけももうすこしやりやすくなる。」
そう、ひとことで言えば「座りが大事なのは、拳を自由に使うため」だ、きっと。
ただ、いままで、それって正反撞のときのことだとばっかり思ってた、ツーポイントでも安定が必要なのは同じことだ。
いやー、今日はヒントが見つかったなあ。やっぱ、上達したふりして勝手に乗ってちゃダメなんだよ、部班に入ってよかったよかった。
と、今日の乗馬は、これで終わりぢゃなかった。
ぢゃあ乗り替わって、ってことになったら。
「ああ、ぢゃあ、彼の練習をみてやってください。一応、駈歩までやってますから。このへんで輪乗りで練習させてください。よろしく」
ということで、先生は上級者チームのほうへスタスタ行ってしまった。
ええ?冗談ぢゃなかったの?朝言ってたことは。(ちなみに、朝「教えてあげて」って言ったひととは別のひとなんだけど、こういうとき妙に横の連絡がいい?)
しょうがない、いつもワガママ言って乗せてもらってんで、イヤとはいえない。
とりあえず、「ムチは持ったほうがいいよ、俺がさんざムチ使っちゃったから、持ってないと今度は馬がサボるかもしれないし」ってムチ持たせて、常歩スタート。
「常歩で脚使って反応みて」って言うと、ちゃんと馬が前にでる。ああ、大丈夫だ、先に乗った人間の責任は果たせてたな、と思う。
んぢゃ、輪乗りで軽速歩してみて。見てると、輪乗りの輪っかのつくりがあまくて、どうしても蹄跡に沿って四角に近くなってるけど、いいや細かいことは。
壁やラチに沿ってとこは前に進むんだけど、馬場の内側に弧を描いて入ってくるときに、前に進まなくなる。蹄跡から離れるとサボろうとするから、「脚!脚に反応しなかったらムチ!」って繰り返す。この馬、ムチ使っても、過剰反応で暴走したりとかってことはないので、思い切ってやってよい。
「ぢゃあ、ちょっと、半周ごとに、スピードアップしたり、スローダウンしてみてよ」という。
歩度を伸ばせ・詰めって用語は使わないんだが、クルクル回るだけぢゃなくてコントロールするのは大事なことだと思うんだけど、最初のうち、反応よく勢いが出たりしてたのに、だんだんズルズルとメリハリがなくなってく。
手綱が長いなあと思って、短くもつよう言ったんだけど、短く持ち替えたときに馬が停まっちゃった。1頭だけだしなあ、あまり前進気勢ないのに、手綱だけピンと張れって言って、手を引っ張らせてもうまくいかないかと思って、以降は言わずにいた、前ラクにしてやって前進してくれたほうが練習になる。
見てると、だんだん馬が鈍くなってきた気がする。油断すると速歩やめちゃいそう。ムチへの反応も前よりよろしくない。
「景気づけに駈歩しようか」って言う。一旦駈歩で元気よくさせたほうが、そのあとも馬の感度上がるだろと思ったんだが。
うーん、駈歩が出しづらいみたいだ。歩度を詰めてから出すべきなんだけど、詰める作業がままならないんで、難しそうだ。
駈歩出そうとしてギュウギュウーって続けてると、かえって出ないから、周回の半分は軽速歩でラクに前に進めて、壁沿いに来たら座って駈歩の扶助の準備してスピードあげて、角っこにきたらポンと出してみ、ってことで何回かやったんだけど、一度か二度しか出なくて、それもすぐ速歩に落ちちゃった。
ときどき馬がアタマを振って顔をあげる。うーん、たぶんハンドルも効かなくなっちゃったな、これは。
一度乗り替わってもいいんだけど、自分で関係を作り直してほしかったから、ちょっと駈歩のトライはやめて、速歩で8の字描いてみ、って練習を変える。
馬が手綱のコントロールにいうこときかなくなったら、8の字とかで集中しなおさせるのがいいかなと思ったんだが。いや、どうにも前進気勢なくなって、速歩しようとしないよ。8の字も何もない。
ほかのひとが引き上げてったんで、ぢゃあ馬場をもうすこし広く使おうよ、って言って、長方形の蹄跡を進ませる。
壁と柵に沿って進ませれば、馬はそれでも速歩をとりもどす。まーったく、でも、これぢゃあ、動いてるうちに入らない。
壁に沿って馬が勝手に歩いてるだけでは、いつまでたってもコントロールは取り戻せないので、斜めに手前を替えと、中央線を進むのを頻繁に入れる。案の定、壁やラチから離れると、馬がフラフラして勢いがなくなる。「行く方向を真っ直ぐ見て、そっちへ馬を前に出して」
うーん、むずかしいなあ、やっぱこれをみんな「重い」って言ってんだろうなあ。
ほかのひとの練習は終わって、先生帰ってきたんで、聞いてみると、やっぱ、人を見てナメて動かなくなるところがあるらしい。
このまま終わると、乗り手はかなり悲しいだろうなってのは、私も経験上想像がつくので、「もう一回駈歩やってみようよ」ってことにする。
その前に、「ちょっと貸して、俺乗ってみるから」って、乗り替わる。私より長いアブミなんて、いちいち直さない。
ドンドンと脚入れて、拳使ってみる、動けよ、ほら。
そしたら、速歩から駈歩、スッと出た。自分でも驚くくらいスムーズ。
馬が疲れちゃって飽きちゃってヤル気全然なくしてんのかと思ったら、そんなことない、まだ、反応は、最初に私が乗ったときのままのものが残ってた。わるいけど、さっきまでは騎乗者ナメてたんだろう。
前に出す、詰める、駈歩出す、おお、出るって、駈歩の踏み込みもいいよ。そのことを確かめると、私は強気になる。
輪乗りしながら数回繰り返す。乗りながら、手綱長いままだとスピードアップしてもスーパー速歩になるだけで駈歩は出ない、一瞬ちからをためるように、手綱とハミで前に突っかい棒をつくってやって、次にポンって外したときに駈歩に変えるんだ、って説明する。(偉そうに!?)
さっきからのを見てると、抑えろって言ったら、拳引いちゃって馬停めちゃうだろうなと思ったんで、「イメージとしては、どうでもいいんだけど、たとえば、肘を自分の体にくっつけるくらいでいいからさ」って、歩度を詰める加減を言ってみる。
はい、乗り替わり。「脚の位置とか注意する場所ありますか?」って質問飛んでくる。
あーたね、さっきダメ出しされた、私に脚の位置訊くかい?って思ったんだけど、「細かいことはいいの、いいの、身体を真っ直ぐにして乗んなさい、上でグラグラされるのが馬はいちばん邪魔に感じるんだから」って答える。
先生から、「今見せたのは、わかりやすかった」との評。いやー、私も初級のころ苦労しましたから。できなかった奴が、できるようになったのを話すのが、いちばん説得力ある、って言ったのは、高校んときの体育の先生だったな、それは鉄棒の話だったけど。
そしたら、マネしてみた感じで乗ったのか知らないけど、いきなり駈歩が出たのには、私も驚いた。
そのあとも少し駈歩継続できたし、できたとこで終了。おつかれさまでした。
もうちょっと丁寧に説明できたらよかったんだけどね。あーしろこーしろって言うのが嫌いだからさ、俺。
しかし、ひとが乗って駈歩出ない馬でも、出せるんだね、私。ある意味、ちょっと自信ついたかも(爆)
今週は試合があるので、今日は使えるウマ数が限られてるんだそうな。
(ちょっと宣伝しとくと、試合ってのは、ジャパンブリーディングホースショー、内国産馬限定障害馬術大会。出走資格は読んで字のごとし内国産馬なんで、私の好きなベルギーあたりでつくられてる乗用馬は出られない。そのかわり、どうしても元競走馬なんかが出やすいみたいなので、そういうのが好きなひとには面白いかもしれない=去年サクセスブロッケン出た。)
ぢゃあ、サンライズキングを二人で交代で乗ってくださいということになる。
「同じ馬に乗るもうひとりは、まだキャリア浅いんで、テクニックとか教えてあげてください」って先生、なに冗談言ってんですか。
だいいち、サンライズキング、私、乗るの初めて、どんな馬か知らないのにひとに教えるものなにも無い。
サンライズキングは、1999年生まれ14歳のサラブレッド、血統登録は鹿毛だけど、毛色はずいぶん黒いイメージ。
たしか競走馬だったと思うけど、どんな馬だったか、私はおぼえてないなあ。
でも、こないだ誰かが何回か連続してサンライズキングにあたってたら、「もうヤだあ」みたいなこと言ってたけど。なんで?
なになに、動かなくて重いって? ふーん、ぶっとんで走り回っちゃうより、いーんでないかい?
先に乗らせてもらうことにして、またがって、馬場まで歩いてくあいだに、ちょこちょこっとハミうけを探るんだが、あれれ、うける感じないぞ。
この、ファーストコンタクトっつーか、最初の常歩でハミに向かってしっかり歩かせたりってことは、私にとって重要な時間帯なのだが、とりあえずノシノシ歩いてってはくれてるけど、ちゃんとやりとりができてない感がある、これは苦戦するかも。
ほかのひとたちより早く馬装できて、早く馬場に入れたんで、先にしばらく運動してみる。
ははー、なるほど重いって言ったら、重いかもね。でも、まあ、このくらいふつうの範疇でしょ、私にしたら。
常歩でいろいろやる。脚への反応、はみうけ、回転。
軽速歩、動いて、動いて、動いてー。脚ドンっていれると、ときどき耳しぼるのが見える、うーん?
その後もときどき、鏡にうつる自分の顔にガッて向かってきそうになったりする、ふーむ?
まだ部班が始まらないので、手綱をちゃんと持って、速歩を詰めたり伸ばしたり。
ついでなんで駈歩までやっちゃう。まあ、ふつう。止まりそうになったら促す。でも、駈歩までやっても、馬が目を覚ましてくれた感じは、ちょっとないなあ。
はい、ぢゃあ、2頭で部班。後ろにつける。
隅角を丁寧に奥までいって曲がりたいんだけど、そんなことやってると、遅れをとって距離が開いちゃうよ。直線で歩度伸ばしてつめてく。
ベースが弱いってんで、すこしムチを使ったりして前に出す。脚つかったのに反応鈍いときは、脚のうしろ・カカトのへんにムチの先を当てて撫でさせていただくという、いつもの手法。
だいぶ良くなってきた気がする、馬の息とか汗かいた湯気とかが、寒い屋内に、白くたちのぼってくるけど。
んぢゃ、輪乗りで、すこし移行をあれこれするよ、って。
常歩から速歩、速歩から駈歩、駈歩から速歩、速歩から停止、停止から速歩、駈歩したら歩度伸ばす・歩度つめる、etc。
予令のうちに準備して、一歩目からすぐできるように。それには、馬が仕事に集中して、人の指示待ってる状態つくっとかなきゃって、だいぶ前進することについては感度あがってきてはいるんだけどね。
んぢゃ、駈歩でツーポイント。あらら、うまく立てないよ。
最近まったくと言っていいほど、やってないからねえ、ツーポイント。障害は全然飛ばない方向だし、正反撞はなんとかしようって気はあるんだけど、ツーポイントする場面は各個で乗ってると皆無。
駈歩弱くなると、脚使おうとするんだが、ツーポイントでは使えない私。しゃあないので、ムチひらひらさせて前に出ること促す。
それって寂しいので、ときどきシートしちゃって、脚使って、馬が前に出たらまたツーポイントする。
歩度を詰めたり伸ばしたりもそうだけど、部班のなかで、勝手にこういうことしちゃうのが、ベテランの技というものでしょ、見てる?若いひと?
冗談はともかく、ときどき座ってからツーポイントすると、鞍の前に身体が行っちゃうこととかが無くていいと思うんだけどね、私みたいなやつには。坐ってるときと同じ場所、鞍のなかに尻があるべし。
「脚の位置は真下! カカト下げようとするあまり、グラグラ足が動いてる! カカトあがってもいいから、爪先でアブミをしっかり真下に踏む! 爪先を外に向けない!」
はいー、たしかに前傾ちゃんとできるかな、なんて、腰と股関節の関係とかばかり考えてたら、膝から下がプランプランしてる。前に足突っ張っちゃったり、脚つかおうと思えば後ろにいっちゃったり。
そんなこんなで、駈歩終了。最後、馬を停止させた状態で、立ってみろと。
まっすぐ立った気でいたら、足は前に出てるし、だいたいフクラハギから下が馬体から離れてるよ。膝で鞍を挟んで、そこで乗ってる。そりゃあ脚が使えないわけだ。
身体の真下に脚があって、爪先開かず、アブミを踏んで、立つ。上体を前傾したら、手綱にぶらさがってバランスとるようなことしないようにして、拳は馬のクビのとこ置いちゃってもいいから前へ。
ということで、私の、今後しばらくのテーマは、ツーポイントにしようと、自分で決めた。
そうかあ、ツーポイントで脚が正しく使えれば、ふだん座ってるときでも、カカト振り回したりしないで、正しく脚使えんだよ、きっと。それだ、そこだよ、今日はじめて気づいた。
「馬が前に出てるのを感じとったりすることは、まあまあできてきたので、姿勢を安定させること。速歩でも駈歩でも、移行したときでも、正反撞でもツーポイントでも、脚の位置に注意して、同じ場所にいられれば、はみうけももうすこしやりやすくなる。」
そう、ひとことで言えば「座りが大事なのは、拳を自由に使うため」だ、きっと。
ただ、いままで、それって正反撞のときのことだとばっかり思ってた、ツーポイントでも安定が必要なのは同じことだ。
いやー、今日はヒントが見つかったなあ。やっぱ、上達したふりして勝手に乗ってちゃダメなんだよ、部班に入ってよかったよかった。
と、今日の乗馬は、これで終わりぢゃなかった。
ぢゃあ乗り替わって、ってことになったら。
「ああ、ぢゃあ、彼の練習をみてやってください。一応、駈歩までやってますから。このへんで輪乗りで練習させてください。よろしく」
ということで、先生は上級者チームのほうへスタスタ行ってしまった。
ええ?冗談ぢゃなかったの?朝言ってたことは。(ちなみに、朝「教えてあげて」って言ったひととは別のひとなんだけど、こういうとき妙に横の連絡がいい?)
しょうがない、いつもワガママ言って乗せてもらってんで、イヤとはいえない。
とりあえず、「ムチは持ったほうがいいよ、俺がさんざムチ使っちゃったから、持ってないと今度は馬がサボるかもしれないし」ってムチ持たせて、常歩スタート。
「常歩で脚使って反応みて」って言うと、ちゃんと馬が前にでる。ああ、大丈夫だ、先に乗った人間の責任は果たせてたな、と思う。
んぢゃ、輪乗りで軽速歩してみて。見てると、輪乗りの輪っかのつくりがあまくて、どうしても蹄跡に沿って四角に近くなってるけど、いいや細かいことは。
壁やラチに沿ってとこは前に進むんだけど、馬場の内側に弧を描いて入ってくるときに、前に進まなくなる。蹄跡から離れるとサボろうとするから、「脚!脚に反応しなかったらムチ!」って繰り返す。この馬、ムチ使っても、過剰反応で暴走したりとかってことはないので、思い切ってやってよい。
「ぢゃあ、ちょっと、半周ごとに、スピードアップしたり、スローダウンしてみてよ」という。
歩度を伸ばせ・詰めって用語は使わないんだが、クルクル回るだけぢゃなくてコントロールするのは大事なことだと思うんだけど、最初のうち、反応よく勢いが出たりしてたのに、だんだんズルズルとメリハリがなくなってく。
手綱が長いなあと思って、短くもつよう言ったんだけど、短く持ち替えたときに馬が停まっちゃった。1頭だけだしなあ、あまり前進気勢ないのに、手綱だけピンと張れって言って、手を引っ張らせてもうまくいかないかと思って、以降は言わずにいた、前ラクにしてやって前進してくれたほうが練習になる。
見てると、だんだん馬が鈍くなってきた気がする。油断すると速歩やめちゃいそう。ムチへの反応も前よりよろしくない。
「景気づけに駈歩しようか」って言う。一旦駈歩で元気よくさせたほうが、そのあとも馬の感度上がるだろと思ったんだが。
うーん、駈歩が出しづらいみたいだ。歩度を詰めてから出すべきなんだけど、詰める作業がままならないんで、難しそうだ。
駈歩出そうとしてギュウギュウーって続けてると、かえって出ないから、周回の半分は軽速歩でラクに前に進めて、壁沿いに来たら座って駈歩の扶助の準備してスピードあげて、角っこにきたらポンと出してみ、ってことで何回かやったんだけど、一度か二度しか出なくて、それもすぐ速歩に落ちちゃった。
ときどき馬がアタマを振って顔をあげる。うーん、たぶんハンドルも効かなくなっちゃったな、これは。
一度乗り替わってもいいんだけど、自分で関係を作り直してほしかったから、ちょっと駈歩のトライはやめて、速歩で8の字描いてみ、って練習を変える。
馬が手綱のコントロールにいうこときかなくなったら、8の字とかで集中しなおさせるのがいいかなと思ったんだが。いや、どうにも前進気勢なくなって、速歩しようとしないよ。8の字も何もない。
ほかのひとが引き上げてったんで、ぢゃあ馬場をもうすこし広く使おうよ、って言って、長方形の蹄跡を進ませる。
壁と柵に沿って進ませれば、馬はそれでも速歩をとりもどす。まーったく、でも、これぢゃあ、動いてるうちに入らない。
壁に沿って馬が勝手に歩いてるだけでは、いつまでたってもコントロールは取り戻せないので、斜めに手前を替えと、中央線を進むのを頻繁に入れる。案の定、壁やラチから離れると、馬がフラフラして勢いがなくなる。「行く方向を真っ直ぐ見て、そっちへ馬を前に出して」
うーん、むずかしいなあ、やっぱこれをみんな「重い」って言ってんだろうなあ。
ほかのひとの練習は終わって、先生帰ってきたんで、聞いてみると、やっぱ、人を見てナメて動かなくなるところがあるらしい。
このまま終わると、乗り手はかなり悲しいだろうなってのは、私も経験上想像がつくので、「もう一回駈歩やってみようよ」ってことにする。
その前に、「ちょっと貸して、俺乗ってみるから」って、乗り替わる。私より長いアブミなんて、いちいち直さない。
ドンドンと脚入れて、拳使ってみる、動けよ、ほら。
そしたら、速歩から駈歩、スッと出た。自分でも驚くくらいスムーズ。
馬が疲れちゃって飽きちゃってヤル気全然なくしてんのかと思ったら、そんなことない、まだ、反応は、最初に私が乗ったときのままのものが残ってた。わるいけど、さっきまでは騎乗者ナメてたんだろう。
前に出す、詰める、駈歩出す、おお、出るって、駈歩の踏み込みもいいよ。そのことを確かめると、私は強気になる。
輪乗りしながら数回繰り返す。乗りながら、手綱長いままだとスピードアップしてもスーパー速歩になるだけで駈歩は出ない、一瞬ちからをためるように、手綱とハミで前に突っかい棒をつくってやって、次にポンって外したときに駈歩に変えるんだ、って説明する。(偉そうに!?)
さっきからのを見てると、抑えろって言ったら、拳引いちゃって馬停めちゃうだろうなと思ったんで、「イメージとしては、どうでもいいんだけど、たとえば、肘を自分の体にくっつけるくらいでいいからさ」って、歩度を詰める加減を言ってみる。
はい、乗り替わり。「脚の位置とか注意する場所ありますか?」って質問飛んでくる。
あーたね、さっきダメ出しされた、私に脚の位置訊くかい?って思ったんだけど、「細かいことはいいの、いいの、身体を真っ直ぐにして乗んなさい、上でグラグラされるのが馬はいちばん邪魔に感じるんだから」って答える。
先生から、「今見せたのは、わかりやすかった」との評。いやー、私も初級のころ苦労しましたから。できなかった奴が、できるようになったのを話すのが、いちばん説得力ある、って言ったのは、高校んときの体育の先生だったな、それは鉄棒の話だったけど。
そしたら、マネしてみた感じで乗ったのか知らないけど、いきなり駈歩が出たのには、私も驚いた。
そのあとも少し駈歩継続できたし、できたとこで終了。おつかれさまでした。
もうちょっと丁寧に説明できたらよかったんだけどね。あーしろこーしろって言うのが嫌いだからさ、俺。
しかし、ひとが乗って駈歩出ない馬でも、出せるんだね、私。ある意味、ちょっと自信ついたかも(爆)