安部公房 昭和50年 新潮文庫版
十代のころ読んだとおもわれる安部公房を読み返しているんだが。
持ってるのは昭和57年の12刷。
推理小説っぽい仕立てになってて、山のなかのダム建設地に、殺し屋がやってくるところから始まる。
殺し屋って言っても、ゴルゴ13みたいな感じぢゃなくて、ネズミとあだ名されるような風采の男。
あんまり強くなさそうだし、どんな手で人を殺すのかわからないけど、ターゲットは工事現場で働いている服役中の男。
その話が本線だと思わせて、事件は妙な方へ進んでく。
舞台のダムは、設計ミスか手抜き工事かしらないけど、どうも欠陥をかかえた出来上がりらしい。
で、建設会社の組の現場の実質上トップとその妻と、その兄の所長、県から監督しに来てるエンジニアと、責任者となぜか訪ねてきたその娘。
そんな登場人物の思いが錯綜しながら、話は進んでくんだけど、さすが不条理系の安部公房、単純ぢゃない。
事故にみせかけた悪意のある罠が仕掛けられてるんだけど、誰が誰を狙ったのかが、判然としない。
加害者は誰なのか、被害者として設定されたのは誰なのか、登場人物たちはそれぞれ違う考えをもって、互いに疑念がうずまいている。
ちょいと「藪の中」が入ってるって感じ。
最後は明快に誰の誰に対する殺意かがはっきりするけどね。
十代のころ読んだとおもわれる安部公房を読み返しているんだが。
持ってるのは昭和57年の12刷。
推理小説っぽい仕立てになってて、山のなかのダム建設地に、殺し屋がやってくるところから始まる。
殺し屋って言っても、ゴルゴ13みたいな感じぢゃなくて、ネズミとあだ名されるような風采の男。
あんまり強くなさそうだし、どんな手で人を殺すのかわからないけど、ターゲットは工事現場で働いている服役中の男。
その話が本線だと思わせて、事件は妙な方へ進んでく。
舞台のダムは、設計ミスか手抜き工事かしらないけど、どうも欠陥をかかえた出来上がりらしい。
で、建設会社の組の現場の実質上トップとその妻と、その兄の所長、県から監督しに来てるエンジニアと、責任者となぜか訪ねてきたその娘。
そんな登場人物の思いが錯綜しながら、話は進んでくんだけど、さすが不条理系の安部公房、単純ぢゃない。
事故にみせかけた悪意のある罠が仕掛けられてるんだけど、誰が誰を狙ったのかが、判然としない。
加害者は誰なのか、被害者として設定されたのは誰なのか、登場人物たちはそれぞれ違う考えをもって、互いに疑念がうずまいている。
ちょいと「藪の中」が入ってるって感じ。
最後は明快に誰の誰に対する殺意かがはっきりするけどね。