many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ギャンブル依存とたたかう

2014-01-12 17:42:31 | 読んだ本
帚木蓬生 2004年 新潮選書
なんで持ってんだろうね、こんな本。たぶん、シャレで読んでみようと思ったんだろうね、ギャンブル好きだから、私。
一回、つっと読んだっきり、今回まで二度と読んだことなかったわ。なんで売っちゃわないんだろうね、こういうのを。マンガ売っちゃうくらいなら、再び読まない本のほうを売んなよって気もするが、まあ売りにいくのもめんどくさいってのもある。(引越でもしないと。)
さて、著者は精神科医で小説家でもある。ただし、残念ながら柴田錬三郎賞とか山本周五郎賞とか受賞してても、私はそういうのに手を伸ばさないので知らない。
んで、「ギャンブル依存症は誰もがかかりうる正当な病気であり、病気であるからにはその治療法が存在します」ということを、広く知らしめるために書かれた本。
なかでも、パチンコに対してすごく厳しい態度、っつーか何か恨みでもあんぢゃないのってくらいの勢いで、弊害、というか存在そのものが害悪というスタンスか、とにかくケチョンケチョンに言ってるのが、関係ない私には面白くて笑っちゃいそうになる。
プロローグが、一介の主婦がパチンコにはまって、自堕落な生活になり、ウソ言って借金重ねて、家族も不幸になるさまを描いた、実際の症例なのかフィクションなのか分かんないけど、けっこう悲惨な物語なんだけど。
ほかにも、本文中にパチンコを攻撃してるとこは、次のようにいっぱい。
>ギャンブル依存には、それぞれのお国柄が反映されます。日本のギャンブルの最大の特徴は、何といってもパチンコ店の存在です。(略)たいていのギャンブルが法律によってその場所や実施方法が限定されているのに対し、パチンコ店にはその制約もありません。あたかもカジノを、日本全土に満遍なくちりばめて設置しているのと同じなのです。
>ギャンブル依存者がわが国にどのくらいいるか、当然のことながら調査はされていません。パチンコ産業が日常生活にこれだけ浸透し、公営ギャンブルも歴史が長いというのに、統計の端緒にさえついていないのですから、恐ろしいほどの行政の怠慢です。
>本来は年齢層ごとに特徴をもつギャンブルですが、わが国ではその棲み分けが年々ゆるくなっており、とくにパチンコ店によって年齢格差が弱められ、世界の中でも特異な様相を呈しているのです。
>最近日本で浮上してきたのが、カジノ構想です。(略)先進国のうちでカジノが存在しないのは日本だけです。しかしここで考えなければならないのが、日本独自のギャンブル場、すなわちパチンコ店があるという事実です。この存在に目をつぶったままで、先進国なみにカジノを合法化すれば、それこそ日本はギャンブル汚染国になってしまいます。
>(略)日本でギャンブル依存症の最大の温床になっているのは、パチンコとスロットマシンです。(略)これがすべて非公営だという点に、ギャンブルにおける日本の特殊性が集約されているのです。
などなど。
パチンコやんない私としては、どうぞ言っちゃってください、という感じですが。
で、肝心の治療法のとこなんだけど、初めて読んだときは、意味わかんなくて、退屈でかなり素っ飛ばして読んぢゃった気がするんだけど、その後、吾妻ひでおの『失踪日記』とか読んで、アル中治療のための病院生活の知識とか得たんで(しかし私の知識って、むかしからマンガからばっかりだね)、あー同じようなもんだ、と今回はよくわかった。
アルコール依存のアルコホーリクス・アノニマス(AA)とおなじように、ギャンブラーズ・アノニマス(GA)という自助グループがあって、そのミーティングで自身の体験などを語り合うんだそうだ。
(なんかアルコールとちがって、ギャンブルだと、自分が勝ったときの自慢合戦になりそうなもんだけど。)
GAの回復のためのプログラムは十二のステップから成ってる(こういうのは面白くないので、ここに引用したりしない)んだが、これを
>こうやってじっくり十二のステップの中味を見ていくと、実にうまく構成されていることがわかります。まさに依存症の回復のための英知のかたまりであり、いうなれば目に見えない心の世界遺産です。
とまで持ち上げてんだけど、それは仲間ボメのしすぎだろという気がする。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする