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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

158ポンドの結婚

2014-01-16 21:06:58 | 読んだ本
ジョン・アーヴィング/斎藤数衛訳 1987年 サンリオ
実にひさしぶりに読んだ、ジョン・アーヴィングの長編。
アーヴィングの、世に出した第3作、らしい。けど、私が読んだのも、日本で出版されたのも、その後の「ガープの世界」と順番は逆みたい。(私は86年には文庫版で“ガープ”を読んでる。)
ストーリーは、トルストイが読んだら、ぶっ飛んぢまうだろうな、って感じだ。
二組の夫婦が、えーと、なんだ、交換してる話だ。
語り部の「僕」は歴史作家でアメリカ人、妻のウチ(正確な名前はウチカ)はウィーンの近くの生まれ。
たぶん主人公なのは、もう一組の夫婦の男セイヴァリン。彼はレスリングのコーチで、ドイツ語教師。その妻のイーディスは、ニューヨークの出身で、作家で、夫より背が高い。
レスリングのコーチだし、ポーランドは出てくるしで、“ガープ”に近いものあるなあ。(動物園とレスリングのことしか書けねえのかよ、という批判もあるそうな? あ、当然だけど、タイトルの158ポンドは、レスリングの階級ね。)
両夫婦とも、運命の導くまま、数奇な人生が接点を持ったがゆえに、それぞれポーランドで出会ったんだけどね。
どうして、この二組が出会って、どうして今の状態にあるかは、実はよくわからない。でも、お互いのパートナーを、えーと、交換して、それはそれで四人が四人とも満足してるっぽい。
初めて読んだときは、なんぢゃこれ?と思ったもんだが(それが証拠に、それ以降読み直してない)、いま読むと、べつに私に心境の変化なんかないけど、わりとスラーっと読めたりはする。
細かい中身はどうでもいいけど(ホントは、読む以外に、語りようがない)、アーヴィング的世界に引き込まれちゃうのは、例によって圧倒的な物語の展開である。
「僕」の妻であるウチ(ウチカ)が我慢強い性格なのは、その幼少期に端を発するんだというのが冒頭。
第二次大戦末期、オーストリアに侵攻してきたロシア軍から、わが子を守るために、母はウチを腹を割いた牛のなかに押し込めて隠したという。ウチはそこで身動きもせず言葉も発せず、じっと災厄が去るのを待ち続ける。
こういう、想像を絶する展開を書かせたら、アーヴィングの右に出るものはいないよね。これにグイグイと引き込まれちゃうわけだ。
コメント
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