本書は、本屋で見つけた。
大伴家持で一冊の本ができるのか?
見事できていた。
歌人として有名な家持だが、本書では、役人としての家持の方が強調されているような気がする。
まだ、大和朝廷創世記の奈良時代を、翻弄されながらも生き抜いた大伴家持の姿が浮き彫りにされる。
私は、歌人としての家持しか知らなかったので、これだけ、朝廷に近いところで翻弄された人とはしらなかった。
続日本紀のおかげで、朝廷と、家持の微妙な立場が浮き彫りにされる。
多賀城で最後を迎えたかもしれないことも初めて知った。
太宰府やら、越中やら、鳥取やら、多賀城やら、交通手段の限られる時代で、転勤続きの人生だ。
その中で、越中時代は、平穏な時期にあたり、著者が家持に興味を持ったのも、その越中時代がきっかけのようだ。
転勤がラッキーだったことも、不運だったことも。
当時の人口は今と比べると、極めて少なかったはずだが、その中で、政治も行い、平仮名漢字を駆使して、歌を読むとなると、ほとんど限られた人しかできなかったはず。
しかし、政変で、家持の近親は、ことごとく失脚していった。
理不尽としかいいようがないが、政治にはそういう側面もある。
特に特に当時は。
家持の人生を追う旅も面白いかも。
たまたま9月に富山に行く用事があるので、ゆかりに地を訪れようかな?
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