本書は、ハルキ文庫から出たばかり。
と言っても、恥ずかしながら知らなかったのだが、元の翻訳本は、1997年7月に出ていた。
マーク・ハーツガードさんの、原作は、アンソロジープロジェクトが進行中の1995年頃に出たようで、湯川さんが、翻訳して、世に出たのが、1997年に出たという訳。
半信半疑で読んでみたが、しっかりした本だった。
マークさんもルイソンさんが、全部聞いたというアビーロードスタジオのテープをかなり聞いた上で、まさにFACTのみを記そうとする姿勢がすばらしい。
その後、アンソロジー・プロジェクト以降、新発見が相次いでいるのだが、ほとんど訂正は、不要なほどしっかりしている。
構成は、アルバム毎の制作過程を一章飛び毎に解説しており、その間に、その時期にふさわしいトピックをまとめてある。
大作だが、今であれば、知られた内容も多く、一気に読める。
ヨーコさんがやや悪者に描かれているのが、若干気になるが、ビートルズファンにとっては、そういう見方になるのもやむを得ないところ。
解散時のポールの悪評も正確に記されているが、これもポールがビートルズをどうにかしたいと思ったからの行動で、これも今は、明らかにされている。
特に、最後の数枚のアルバムは、ポールの強引とも言えるやる気がなければ、完成しなかったかもしれない。
ビートルズを少し詳しく、でも一気に知りたい人にオススメできる。
それにしても、本書を翻訳した、湯川さんの情熱にも脱帽。