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イノベーション

2013-08-26 22:00:00 | 13期生のブログリレー

13期生の佐野です。
 
先週末、ITコーディネータ協会主催の年1回行われる大規模なカンファレンスに参加してまいりました。今年のテーマは「イノベーション」でした。
カンファレンスの内容についてはここでは触れませんが、この「イノベーション」という言葉、普段聞き慣れている言葉ですので思わずスルーしてしまいがちですが、改めて重要テーマに掲げられると、どんな深い意味があるのか調べてみたくなりました。今回は、これをテーマにしてみたいと思います。
 
イノベーションという言葉は、1次試験を勉強された方ならすぐ思い出されると思いますが、語源はオーストリアの経済学者 ヨーゼフ・シュンペーターが1911年の著書『経済発展の理論』という本において定義された言葉といわれています。
本書においては、イノベーション(innovation)とは、物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと、とされています。単なる新しい技術の発明ではなく、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革であると提言しています。
つまり、これまでにない取り組みをして新しい価値を産み出して社会に貢献する、ということがイノベーションということになります。でも振り返ってみますと、これまでイノベーションは絶え間なく繰り返されていることでもあり、とりだてて目新しい事象ではありません。ではなぜ今、殊更この「イノベーション」が強調されるようになったのか、を考えてみました。

背景には、経済や市場が成熟化が進み、商品やサービスのコモディティ化が進み、生活者はたいていのことに満足していることから、今までとは次元の違う新しい価値や提案が求められ続けていることが挙げられると思います。
それも単なる小手先の改革ではなく、抜本的な革新でなければ、多様化する市場のニーズに応えられないところまで成熟度が高まっているということでしょう。ですので、重要な視点としては、技術的な革新だけではなく、ビジネスモデルやコンセプト、プロセスなどあらゆる側面に革新の手を入れることではないかと思います。これまでは製品やサービスを高度な技術力で開発し、世に送り出せばよかった時代でしたが、今はそうではありません。同じ家庭用ゲーム機で、任天堂・Wiiとソニー・PlayStation3がとった戦略を比較してみれば、その差がよくわかります。Wiiはマーケティングでイノベートし、技術でのイノベートを目指したPS3を売上・シェアともに大きく上回りました。イノベーション=技術革新と言われてきた時代の終焉です。奇しくも100年前にシュンペーターが言った通りになりました。
思うに、こうした総合的な革新を実現し継続していくためには、広範な勉強と研究が必要ですし、外部(顧客、ビジネスパートナー)との密なるコミュニケーションも大事です。こう書いていると、現代のイノベーションって経営そのものではないか、とつくづく思い始めました。イノベーションは特別なことではなく、当たり前になってきているのではないかと。

近年は急速なグローバル化を背景に、新しいイノベーションが注目を浴びています。「リバース・イノベーション」という言葉をご存じでしょうか?
先進国企業が新興国に向けて従来の商品やサービスを提供するのではなく、新興国にニーズに合わせた商品やサービスを現地で開発することを言うのだそうです。米国GE社がこの考え方を取り入れ、医療機器(例えばポータブルな心電計や超音波診断装置など)の分野で成功を収めようとしています。
本国の製品やサービスでは、コストや価格を考えると新興国の高所得層がターゲットになりがちですが、実は低所得者層の方が遥かにマーケットは大きいので、この層のニーズを取り込んだ商品やサービスの方が結果的にビジネス規模が大きくなります。
また、現地ニーズに合わせて開発したイノベーションが、今度は本国のこれまでの顧客層とは異なる新しい顧客層を開拓することができるかもしれません。新興国で実現したイノベーションを逆に本国に取り込むという流れが、リバースの語源です。すごいアイデアだと思います。

このようにイノベーションも時代の変遷において様々な形に変容しているように思います。でも基本はシュンペーターが提言した考え方そのものです。企業経営に携わる、あるいは関わるものにとって、イノベーションは当たり前の概念になりつつあるものとして、常に革新的な意識を持ち続けることが大事ですね。

コメント (2)
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