17期生の設楽@実務補習中です。お世話になります。
タイトルにとりあえず3つのことが書いてあるので、なんだろう?と感じられたかと思います。
本日書く内容は、先日私の会社で行われた平田オリザさんのご講演のことです。(平田さんについてご存じない方はこちらでご確認いただければと思います。)
講演の内容は「コミュニケーション能力」が主題でした。講演は2時間だったのですが、本当にアッという間でした。ご自身の著書「わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か(講談社現代新書)」をベースにお話されていたとのことでしたので、詳細はこちらをご一読いただければと思います。
まず興味深い話を1つ。平田さんは韓国に行った際、家に招かれたので上がった際、靴を揃えたそうです。日本人の感覚からしたら、普通というか、そうしますよね。逆にそうしないとマナーがなってない人間だと相手に受け止められそうです。ところが韓国人からは「お前はそんなに早く帰りたいのか」と受け止められ、怪訝そうな顔をされたそうです。私を含め聴講者一同、「エッ?!」と思いました。普通のことをしたつもりなのに、普通のことと受け止めてもらえないどころか、非常識なことをしたと受け止められてしまう。。。
このあたりはもう「文化の違い」としかいいようがなく、そこに優劣はない。従って普遍的なコミュニケーションなどない。平田さんはそうおっしゃった上で、「(日本人は)コミュニケーション能力を人格教育と混同してしまっている。」と持論を展開されてました。いや、これは実に奥が深い、、、。
講演は教育の話に移ります。現在教育改革が進められており、その柱として大学入試改革があり、2020年にセンター入試が廃止され、知識・技能だけではなく、思考・判断・表現力を重視した入試へと変わります。平田さんはこの改革が生み出すもの、それは「地域間格差がさらに広がり、東京集中が更に進む」とおっしゃっていました。
知識だけであれば、今は大手予備校のサテライト授業もあるくらいなので、場所が離れていても学ぶこともできるでしょう。しかし、思考・判断・表現力が求められるような受験で高得点を出すには「長い時間をかけて」「ノウハウのある予備校で」「人の集まるところで」学ぶ必要性が高まり、結果として東京集中が更に進む。特に若者が地方から離れる。平田さんはそうお話されてました。確かにそうだと私も思いました。
このあたり、私が第1回目のブログで書いた「外国人とのコミュニケーションに対する考え方の違い」と「(教育改革の柱の1つである)英語教育の重要性」と被るところが多く、この時点でもう共感しまくりです。
ところが、、、ところが、です。私がそもそも今回の講演でお伺いしたかったのは、コミュニケーション能力でも教育改革でもありません。私は(先に紹介した)「わかりあえないことから」ではなく「下り坂をそろそろと下る(講談社現代新書)」という著書を去年の2次試験後に読み、平田さんが熱心に地方創生、地方再生に取り組まれているため、その理由を知りたかったからです。
平田さんご自身が認識されているとおり、東京集中化が今後さらに進むのであれば、その事実を知りながら地方創生(再生)に取り組む理由は何なのか。なぜ、時代に逆行する行為に挑むのか。そして、先の「下り坂をそろそろと下る」では城崎国際アートセンターや、震災後のふたば未来学園の事例などが書かれています。劇作家という中小企業診断士とは全く異なる仕事をされている平田さんが、診断士業務の柱の1つである地方活性化で大きな成果を残している。これはすごいことだと思いました。
私は「コミュニケーション能力」という講演の主旨とは外れていることをお詫びしたうえで(質疑応答の際に)今後の地方のあり方について訊きました。平田さんからは、著書に書かれている部分と現在の考えを交えてお答えいただきました。その内容はこの場では触れません。ただ講演の最後に、また共感したことだけ申し添えておきます。
私は今回の実務補習が終わり次第、正式に診断士登録をします。中小企業の海外事業展開のエキスパートになりたいという(診断士を目指した頃からの)意思に変わりはありません。ただ、平田さんのような方がいらっしゃることを知り、地方活性化というビジネスにも携わりたくなりました。そんなご講演でした。
設楽英彦