「稼プロ!」事務の小林 隆です。
先日、「日本でいちばん大切にしたい会社」の著書で有名な、法政大学大学院の坂本光司先生の講演を聞く機会があり、あらためて、企業の役割について考える機会を得た。
坂本先生は、企業は「社会の公器」との立場を取られおり、それには私も共感する。
坂本先生の場合、「社員」を初めとした「企業にかかわる人々の幸せ」を強調していた点が印象に残る。
私が経営コンサルタントとして事業を営むにあたって掲げているのは理念は、「社会価値の創造」である。
「社会価値」とは、「社会に対してその存在、提供する製品やサービスが、人々の何らかの役に立ち必要とされるもの」という意味で使用している。
「創造」という言葉には、「社会価値」を提供するために必要な、知恵、工夫、努力、イノベーションを行うこと意図している。
さらにハードルを高めれば、社会の中ではいまだ認識されていないが、人々がより幸せになるための新たな製品やサービスを生み出すこと、を含めている。(例えば、スマホは、そのニーズを人々が初めから望んだわけではない。)
すなわち、コンサルタントとして、「世の中に貢献する価値ある製品やサービスを提供する企業を育てたい。」そして私自身がコンサルタントとして「新しい社会的な価値を創造し、提供したい。」との考えに基づくものである。
社会的な価値といいうと、大変難しいことのように思う向きもあろうかと思うが、
例えば小売業であれば、日本では厳しい競争環境にさらされていることから、いかに競合と差別化し競争に勝ち抜くか、に考えが向かいがちになるが、発展途上国の田舎に行けば、モノを購入できること自体に、社会的価値があると言える。
私は、自分たちが社会の何に貢献して対価を頂いているのか、仕事で接する経営者や働く皆様に、常に問うて欲しいいと望んでいる。
私が所属する経営塾の塾長である株式会社フォーバルの大久保秀夫会長の言葉をお借りすれば、
「これまでの企業は、①『経済性(利益の獲得)』、②『独自性(差別優位性の獲得)』、③『社会性(事業を通じた社会貢献)』の順に大切にしてきた。これからは、これを①『社会性』、②『独自性』、③『経済性』の順にしなければならない。」ということになる。
もちろん、「社会性」を継続的に追求するためには、利益を上げる事が大変重要だ。
しかし、その利益の追求は、マネーゲームのように、「単に儲かればよい」という考え方とは異なる。
企業の外部にいるお客様に、価値を提供し、喜んでいただける事で、対価を得るという考え方だ。ベタな言い方をすれば「ありがとう!」の対価が利益であるともいえる。
しかし、その一方で、「社会性」に偏り、利益の追求がおろそかになっている経営者も意外と多い。
要は、バランスが大切なのである。
実際そのような方法で事業を成り立たせようとすると、企業は相当の努力をしなければならない。すなわち社会的な価値の提供を意識して事業を営むには、今までできなかったこと、例えば提供サービスの質の向上とコストの増加という二律背反を、知恵や工夫、イノベーションによって実現しなくてはならないからである。
そして、それらを提供する源泉が従業員をはじめとしたステークホルダーである。
だからこそ、彼らを大切に、というつながりが見えてくる。
冒頭の坂本教授も講演の中でお話しされていたが、「企業がだれかの犠牲の上に成り立つものあってはならない。」ということである。
自分がコンサルタンととしてかかわる企業が、みな「世の中の役に立っている」、
「その企業がなければ困る人々が大勢いる」といった企業になってもらいたいものである。
そのためには、まずは私自身が、コンサルタントの仕事の中で、「社会価値」の提供を、実践しなければならい。経営コンサルタントが、社会の中でなくてはならないインフラとなるよう、努力してゆきたいものである。