17期生の井上です。
この度はブログの投稿が遅くなり、またご心配をおかけし失礼を致しました。
さてこの度の私自身の計画や行動管理の甘さに対する戒めのため、今回は「PDCAサイクル」についての記載をさせて頂きます。
「PDCAサイクルを回す」、という言葉は、診断士試験やISOのみならず、職場などでもよく聞くキーワードですが、
自身を含め私のまわりにおいては、上手くできている組織や状況をあまり見たことがありません。
なぜ上手く回らないのでしょうか、上手く回すにはどうしたら良いのでしょうか。
まずは、釈迦に説法ではありますが、PDCAサイクルの概要を記載致します。
<PDCAのざっくり概要と歴史>
・PDCAとは、Plan(計画) 、Do(実行する)、Check(評価する) Action (改善する)の
サイクルを回しながら仕事を進めるという考え方。
・ベル研のシューハート(W.A.Shewhart,1891-1967)博士が品質管理、工程改善のために考えたシューハートサイクルがもとになっている。
・70-80年代に全社的品質管理(TQC)が広がる際に、デミング博士が日本で紹介。よってデミングサイクルと呼ばれることもある。
・当時のPlan・Do・Seeのサイクルに工程改善のAが加わり、さらに方法論として進化。考え方は経営にまで拡張された。
・デミング博士は日本企業の躍進につながる指導を行ったと評価され政府で指導を実施。アメリカ国家技術賞を受賞。
さて、なぜPDCAが上手く機能しないことが起こるのでしょうか。
私の周りの状況や書籍などの情報を踏まえると、以下のような理由が多いようです。
<PDCAが上手く機能しない理由(例)>
1.口先だけのPDCAが横行し形骸化しているから。
2.PDCAを回すための機構(エンジン)と、組織にPDCAを回させる推進者(ドライバー)が不在だから。
3.Pに必要な作法が踏襲されていないためCの行いようがないから。
※形骸化したPDCAの例
①丸投げPDCA: 「やっといて」、「どうだった」など、ただの丸投げ。Whyのない戦略や指示が多い。
②どんぶりPDCA: Pが大雑把すぎてどこに読み違いがあったかをきちんと検証ができず、精度があがらない
③なんちゃってPDCA: 一見、上層部からは上手く回っているように見えるが、都合が悪いところは隠して良い部分のみアピール。
では、どうしたらPDCAを上手く回せるのでしょうか。
<PDCAを上手く機能させるためには>
1.組織がしっかりとPDCAを回す文化・習慣をつくる
2.そのためにPDCAを回す機構(エンジン)を設計し、PDCAサイクルの外側に推進者(ドライバ―)を設置する
3.プランニングPの作法に則りきちんと計画する。
※機構(エンジン)設計に必要なこと
①業務内容の定義(使命、責任、業務フロー)
②報告帳票の設計
③報告、確認会議の設計
④管理ポイントの明確化
※プランニングの作法
①現状把握と事実ベースの見える化
数字などの「事実」をもとに、良い結果や悪い結果に結びついたであろう「原因を見える化」する工夫を行う
②意味合いの抽出と解の方向性の明確化
事実にもとづいた現状把握を深く進め「どこにどれだけのギャップが存在するのか」など細分化していく。
それにより、差異の原因が何なのかをより明らかにする。
③施策の評価と決定
いくつかの案についてのメリット・デメリットを評価する。
④実行計画の策定
施策の責任者にどのタイミングで報告するか、
また現場で施策がしっかり実行されているかの管理ポイントとなる数値を確認できるようにする。
また、PDCAサイクルを定着・機能させ、さらに組織学習を進めている企業例があります。
<上手くいっている企業例:ユニ・チャーム社>
1.ユニ・チャーム社は、1961年に四国・愛媛の建材メーカとして創業。
トヨタのPDCAを実践し、その結果を踏まえ自分達のやり方に進化させ、「SAPSマネジメントモデル」に行き着く。
2.SAPSマネジメントモデルは、「なぜできなかったのか」などのプロセスを重視し、
3つのツールと週次会議の4点セットで、行動目標によるマネジメントを行うもの。
3.ユニ・チャームの社員から以下のような声があがっている。
「SAPSを実施するまでは、できなかった業務があっても『できませんでした』とは言いづらくて、
つい『来週がんばります』と言ってしまうのが常でした。そして、いつまでたっても、がんばるだけになってしまっていました。
今は、できなかった理由を書くので、その原因の解決に向けて、物事が進むようになりました。」
※SAPSの意味
・S スケジュール: 思考と行動のスケジュールを立てること
・A アクション: 計画通りに実行すること
・P パフォーマンス 効果を測定し、反省点・改善点を抽出すること
・S スケジュール 今週の反省を活かして次週の計画を立てること
※SAPSマネジメントモデルの4点セット
①OGISM(A)表:緊急性と重要性で課題の優先順位を行う
②1Pローリング表: OGISM(A)表に記述した半期の重点を今月の重点に落としこむ
③SAP週報: 1Pローリング表で導出した今週の重点についてアクション計画をたてる。
④週次SAPS会議: 今週の活動結果を確認し、次週の重点を周りの人と共有・チェック。
PDCAという言葉自体は少々言い尽くされた感がありますが、ユニ・チャームの「SAPS」や、トヨタの「自工程完結」など
きちんと実践し継続している企業ではPDCAは進化を遂げているようです。
口先だけでなく、PDCAサイクルを実際に回し、失敗をして、
自分達なりの「やり方」や実践で使えるものに仕上げていくことが重要なのだと感じました。
時間はかかるかもしれませんが、私自身の今後のプロセス改善に活かしていきたいと思います。