17期の桶 哲治です。
昨夜11月8日(水)に東京協会「もの・ことづくり実践研究会」主催のオープンセミナーに出席してきました。株式会社北海道日本ハムファイターズ事業統括本部事業企画部の荒井 修光(あらい のぶあき)氏(千葉県我孫子高校から甲子園出場、早稲田大学から日本ハムにドラフト2位で入団、5年間プレー後現役引退し球団職員となる)による講演「プロ野球における地域密着の固定ファンづくりの取組みについて学ぶ」を大変興味深く聞かせていただきましたので概要をお伝えしたいと思います。
講演会場の中小企業会館の九階ホールは、ざっと70名くらいの出席者で、有料(と言っても1000円ですが)にもかかわらず大変盛況でした。一番人気の大谷翔平がいる球団であり、また来年は清宮幸太郎が入団と、話題が豊富ですので、私や皆さん大変興味あるのでしょう。
北海道日本ハムファイターズが札幌に本拠地を移したのが2004年ですが、それを契機として地域密着戦略により観客数を伸ばしてきています。その取組みについて荒井 修光氏から講演いていただきました。副題である「ひとづくり・ものづくり・ことづくり」への取組みを中心に講演されたのですが、もの・ことづくり実践研究会主催ということで、この副題となったようでした。
本拠地を札幌に移してから順調に観客数をのばしてきたが、2012年に観客数を減らしてしまった。東日本震災の影響もあったかも知れないが、大きく落ち込んだため球団事業を改めて見直すこととなった。
プロ野球の人気が落ちてきていることは、皆さん実感されていると思いますが、地上波テレビではプロ野球放送が日本シリーズなど特別な試合を除き殆どありません。日本テレビで人気の巨人戦も視聴率は数%に落ち込んでしまいました。子供達の人気もサッカーが一番です。しかし本当に人気が無くなり、球場にも足を運ばなくなったかと言えば、そうでは無く、実際に球場に行く観客数は増えているのです。これは各球団が必死に努力しているとも言えます。北海道日本ハムファイターズも、球団の企業理念、経営理念、行動指針を明確にし、ひと・もの・ことづくりの取組みを、行い固定ファンづくりの努力を行ってきています。
ひとづくりでは、「スカウティングと育成で勝つ」を基本にして、一番良い人材で、最もファイターズに欲しい選手を指名することにしている。また、指名後の契約の際には選手の将来を一番に考えた契約書とし、その交渉の場もイスやテーブルの配置、部屋の広さなども考えて行っているとのこと。大谷翔平の交渉の際には、彼の当初の希望であった将来メジャーリーグに行くことを叶えるような契約書にしたとのことであった。新人は必ず全員二軍を経験させることや、1軍と2軍のコーチの指導方針を一致させる等を徹底してきた。また、少年野球や、女子野球への支援を行うことで、野球のファンを広げる努力をしている。
ものづくりでは、北海道の全市町村の特産品の紹介を積極的におこなうこと、各地のグルメグランプリなどのイベントを球場で実施するなどして、北海道の産品のPRにつとめてきている。また、球団のTシャツ、レプリカユニフォームなどの販売による地域産業の活性化に協力している。
ことづくりでは、地域貢献や、CSR活動として、障害者や、母子家庭などの子供達を球場へ招待することを行っている。また、毎年5,6市町村に対し選手がPR大使として1年間宣伝などに協力している。北海道日本ハムファイターズが北海道に、無くてはならない球団として認められるようになってきていると感じているとのこと。
ひと・もの・ことづくりを地道に行うことで、固定ファンが増加し、2017年には過去最高の観客数となった。球団経営も一般企業経営と同じように、ひと・もの・ことを育てることがやっぱり一番大切と再認識させていただいた講演でした。他にも新庄選手のエピソードなどの話しを交えながら、分かりやすく説明され素晴らしい聞きやすい講演でした。北海道日本ハムファイターズのホームページには、経営理念などが記載されているので興味ある方は、検索して見ては如何でしょうか。